異端者の家のレビュー・感想・評価
全294件中、61~80件目を表示
いやお前が言うんかいッ!!
布教活動の為にある家を訪れた2人の若いシスターだっだが、そこに住むヤバいおじさんに閉じ込められ…この家からの脱出を目指す物語。
…と言っても、想像していた脱出ゲーム的な話では無く、個々人の宗教観を交えたサイコオジサンと対峙するのがメインですね。
まず…初っ端から2人のお下品な会話。。
そうですよね、信仰心があるからと言っても人それぞれだし…これもワタクシの偏見ですよね。
小難しい宗教の歴史話とかも少々絡めてくるので、学の薄いワタクシには追いつけない部分も多々あれど、とにかく降りかかる不気味な災難の連続に背筋は凍るは手に汗握るはでハラハラしっぱなし!
協力し合わなきゃなのに微妙に方針の違う2人の言動にもソワソワさせられます。
数々の伏線や、アレレ?…と思った細かい変化もしっかり回収してくれるし、次々放たれるリード氏の言葉に観ているこちら自身も疑心暗鬼に…うん、こりゃワタクシも支配されかかってますな。
んで、ちょっと気になったのが割と序盤、「玄関が開かなかったので」…って言っちゃったら、出ようとしたことバレちゃわない?…まぁリード氏からすりゃそんな事織り込み済みだろうから特に影響はないか。
そしてそして!メインキャストのお二人、とても眼福でしたねッ!!
"信仰の扉"と"不信仰の扉"…どちらを選ぶことも難しいが、バーンズちゃんとパクストンちゃん、この2人のどちらかなんてもっと選べないよッ!!
…とにかく、終始のめり込まされる不気味でヒリヒリのホラーサスペンスといった感じでとても面白かった。
蝶に想う
面白かった。ただし、この映画は宗教にあまり関心のない人にとっては、完成度の高くないサイコスリラーのように思えただろうと思う。
実在の宗教団体である末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)を出しているのは、監督が「そうでなければ描けないテーマ」のためだと思う。
モルモン教というのはキリスト教系の新宗教の1つで、創始者であるジョセフ・スミス・ジュニアが1820年ごろに起こした宗派。独特なのは、カトリックなどが用いている聖書のほかに、ジョセフが神の啓示により発見したとされるモルモン書を使用している点。日本でも二人組で自転車に乗って布教活動している姿をよく見る。
宗派の特徴として、排他性が強い(自分たち以外の宗教を間違っているという信念を持つ)、根本主義的である(モルモン書を神の言葉とし、真実のよりどころとする)、伝道活動に熱心である、という点がある。キリスト教の各宗派はそもそもこれらの性格が強い宗教だが、モルモン教は特にこれらの傾向が強いと思う。
wikipediaによると、全世界で1700万人の会員がおり、キリスト教の教派としては米国で4番目に大きいらしい。政治にも大きな影響力を持つ。
映画の冒頭の「飲み物」「一夫多妻制」「モルモン教の由来」のやりとりは、たぶんアメリカでは「あるある」の議論で面白く観れるところなんだろう。
リードがねちっこく、やや茶化してモルモン教の奇異に見える点、教義の矛盾点を遠回しに指摘するのに対して、バーンズが(相手への嫌悪をおさえつつ)できるだけ誠実に答えようとする、というやりとりは、実際の伝道の現場でよくある光景なのだろうな、と想像できる。
この映画の登場人物である3人はそれぞれ異なる信仰への背景を持つ。
シスター・パクストン
いわゆる宗教二世で、信仰にさほど疑問を持たず、無邪気に布教活動を行っている。良くも悪くも信仰に対する葛藤がなく、深く考えていない。布教活動をまさにセールスのように考えている。
リードの示す「信仰」「不信仰」の扉で、安易に「不信仰」を選んでしまったのは、信仰に対する自分自身の信念を持っていないことを表している。
終盤では、自分の意志で選択したように見えて、実は他人の意志で選択させられている(自分は信仰によって支配されていた)、ということを自覚する。
シスター・バーンズ
親の改宗により信仰の道に入った。熱心で真面目な信仰者だが、その裏には信仰への葛藤があった。信仰への迷いがあったからこそ、それを打ち消すために熱心だった、ともいえる。
リードがトリックによって死者の復活の奇跡を見せたとき、バーンズは「これは単なる臨死体験であり、奇跡とは違う」と反論した。この反論は実は彼女自身の不信心を告白した(自覚した)瞬間でもあった。
彼女が冒頭のリードの宗教批判に対して論理の穴を指摘できたのも、彼女自身がそうした信仰への疑いに対して、以前から自問自答していたから、とも考えられる。
ミスター・リード
おそらくはもともとは熱心な信仰者で、「真実」をクソ真面目に追ううちに、「神はいない」「宗教は単なる支配のシステムに過ぎない」という結論に至り、闇落ちした。神に反抗して地獄に落ちた堕天使の絵が彼を象徴的に表している。神を熱烈に求めながらも、神はいないと絶望している、というゆがんだ精神をもっている。
「信仰」「不信仰」の扉は、どちらも正解ではない。これは、「信仰」の道に進んでも、「不信仰」の道に進んでも、どちらも地獄だと彼が考えている、ということ。
彼は、「熱心な信仰者」を支配することで、「神はいない」こ証明しようとすると同時に、その試みを打ち砕いてほしい(神がいると証明してほしい)と考えているのではないか。
映画の最後で、シスター・パクストンは祈りの効果は無い、と分かっていながら、祈りをささげる。この彼女の態度こそが信仰の本質ではないかと思わされる。
パクストンの手にとまった蝶が、次の瞬間に消えたのは、いろいろな解釈がありうる。蝶は、バーンズが「死んだあと蝶として戻ったとき、自分だと分かるように手に止まる」と語っていたこともあるが、リードの語っていた「胡蝶の夢」も連想させる。
この映画では、リードによって何度も「二者択一」の選択を要求される。「信仰」「不信仰」の扉もそうだが、シスターたちがリードに会った瞬間から、常にリードに「どちらを選ぶ?」と聞かれている。「胡蝶の夢」の話も、「現実」か「非現実」か?
リードは、「どちらを選ぶか人間にゆだねられていること」が自由意志ということだが、実は真の自由意志というものは存在せず、「どちらを選んでも実はそれは選ばされている」、という主張なのだと思う。
蝶がバーンズの魂か、そうでないか。それを考えるとき、はっと気づく。それをはっきりさせる必要があるのだろうか?ということに。二者択一を考えることが無意味なこともあるし、ときに有害なこともある。
“Mazzy Starは、Bob Dylanの「反復」…”な映画
海外の映画作品には宗教を取り扱ったものが少なからずあり(特にキリスト教圏)、その宗教的・歴史的背景を知らなければ、鑑賞後もなんだか“奥歯に物が詰まった”ような感覚が鑑賞後も残りがちです。この作品もそうでした。しかも、対話形式の信仰に関する問答が結構長い時間費やされ、作品の重要な要素となっていました。一部うなずける部分があるにはありますが、なんだか分かったような分からなかったような気持ち悪い感じが、鑑賞後もずっと残りました。スリラーとして普通に楽しめる部分もあったのですが、海外での高評価に比して、日本ではやや評価が低くなるのは仕方がないですね。
*キリスト教というのは、ユダヤ教の上書き=“反復”だったのですね。そういう風には今まで見ていなかったです。勉強不足でした。
*エンディング曲は、Mazzy Starの“Fade Into You"のイントロが流れてくるのですが、声が違うので誰かのカバーかなと思ったのですが、歌詞も何となく違いました。あとで調べたら、歌詞だけBob Dylanの “Knockin’ on Heaven’s Door” に変更されていたそうです。つまり、これも“反復”ということだったのでしょうね笑
ちなみに歌っているのは、シスター・バーンズを演じていたソフィー・サッチャーでした。
(2025年5月現在、Amazonなどの配信で聞くことが出来ます)
*全然関係ない話ですが、昔、飛行機で隣り合わせになったことがある人が、日本での2年の布教活動を終えてカナダへ帰国するという若い男性でした(日本語が多少話せる方でした)。活動の見返りとして本国で大学へ進学させてもらえるとのことでした(学費がいくらか出るみたいでした)。日本で好きな娘が出来たが、「さよなら」しないといけなくなったと、少し涙ぐんで話してくれました。あの例の“布教活動”は事務的で冷たく、非日常的な感じですが、私生活は平凡で妙に人間臭い面もあるんだなぁと思ったことを思い出しました。
面白い密室ミステリー
面白い映画でした。
イメージ的には、もっと舞台が大仕掛けかと思っていたけれど、それほどではなかったですね。
強引にジャンル分けするなら密室ミステリー。
主役のクロエ・イーストが可愛いです。ヒュー・グラントは、紳士的な仮面の下にゲス野郎の素顔を隠していて、それが良かった。
テーマ的には、世界中の全ての一神教を敵に廻してしまう感じで、そこは心配になりました。知らんけど。
帰りの終電の地下鉄で
酔っ払いのイキり陰キャオタクがふたり
大声でポケポケのアルセウスの話してて
「お前は神を背負えるのか?」とか御託並べてるけど
日本の神様って本当にカジュアルで素敵よね。
過去も現在も世界の混乱は大抵は三大宗教と
そのバリエーションによって引き起こされてるし
(まあ自由主義経済が現在の最大の宗教だとしてもさ)
何かを信じさせることで人々を戦いに導いてきたから
結論を聞く限りこの話はその縮図でしかないんだよな。
オリジナルがユダヤ教で
あとは模倣とアレンジでしかないって言われて
それぞれの宗教を信じる人はどう思ったんだろ?
特にモルモン教徒とレディオヘッド教徒は
かなり複雑な心境になったと思うけど
いまいちピンとこない日本に生まれて良かったね。
でも日本には「無関心」と「意地悪」と「陰口」っていう
とてつもない宗教があるからなあ。
お天道様が見てても悪いことするようになってしまったし。
パパ活や風俗がすごいのも倫理観が宗教に根ざしてないから?
と思ってGrokに聞いたら全世界的な現象だったごめん。
そう考えるとシスター・バーンズの改宗させる手段は…?
ビショップとの関係は?とか邪推したりしちゃう。
なんだか所々に性的な話出てくるしね。
あとストーリーの核に荘子の逸話しか持ってこれないのは
西洋文明の持つ閉鎖性を如実に物語ってるわね(私見)。
まあ共通のナラティブはそれぞれの聖典しかないものね。
主演の2人は本当に可愛くて素敵。
ヒュー・グラントはすごい良いんだけど
狂気を演じるにはどうしても上品すぎるんだよなあ。
あと家のミニチュアの演出はすごく良かったです!
それではハバナイスムービー!
布教訪問って正直怖いなって思っていたら、まさかの訪問先が怖すぎた!
みなさんはご自宅に布教訪問されたことはあるでしょうか。
いきなりインターホンでピンポーンってやってきて、玄関開けると聖書を持った人がいるってやつ。
最近は少しずつ見かけなくなってきたけど、飛び込み営業みたいで、正直不気味だなって不安感を抱くことも多いです。
本作ではその布教訪問する人ではなく、逆に訪問された側の人の主が実はヤバかったって映画です。
いわゆる、舐めてた相手がヤバいやつだったの最新作。
「クワイエットプレイス」の脚本を担当していたスコット・ベックが監督を務めていることもあり、音のない緊張感の演出はかなり良かった。
なんといっても「ノッティングヒルの恋人」「ラブアクチュアリー」など出演し、ロマンティックコメディの顔であったヒューグランドが今回恐ろしい悪役を演じていただけで大満足。
また、布教活動する2人の少女には「ブギーマン」や「エクソシスト」などホラー作品に出演し、今注目されているソフィー・サッチャー。「フェイブルマンズ」にも出演しているクロエ・イースト。2人の健気に布教活動に取り組む姿、徐々に罠にハマっていく姿が辛い。
前半、宗教観を軸に繰り広げられる会話劇によるスリラーから後半、脱出できないし、何が襲いかかるかわからない良い不気味な展開までも面白かった。
単純なホラー映画とはいえない、まさにA24が放つ新感覚ホラーと言ってもいい作品。
ジャンプスケアも比較的多く無く、基本は対話や思想について描かれていく。
いきなり見せずに想像させる猶予がまた怖い。
ブルーベリーの香りするキャンドルに気づいたとにに、キャンドルとカメラが一緒に回るためすぐには視聴者は見えない。
扉を開ける際にも、空いた扉側からのカメラカットになり、一体何があるのかが、すぐには見せてくれない。
このちょっとした猶予が恐怖を煽る。
本作の魅力の一つなのがリードが住む家。さまざな奇妙な仕掛けが用意されており、しかも不気味なのが、微かに気づけるように仕組まれていることである。
気が付かない仕掛けなら意外に怖くないが、気がつく仕掛けほど不安感を抱く罠はない。
オープンに議論しにくいテーマを選んだらしい。それが「宗教」らしい。
たしかに、本来宗教は人を支え、導くもの、救うものから、他のもので例えるさまは非常に興味深かったし、共感する部分も多かった。
神様からの助言であればもともと受けたお言葉が最も正しい助言になるはず。
ただ、実際は時代や生き方に合わせて変化しているのは、結局のところ人の解釈によって調整している気がする。
ようは都合よく人間が解釈しているのでは。
しかも、いろいろ派生していいとこ取りみたいなのって違和感である。
ここに関する疑問視や着地の思想については映画表現として興味深かった。
ただ、本作でもう少し見たかったのは、なぜリードがその思想にたどり着いたのか?
リードは宗教について関心があり、かなり勉強をしていた、ただその結果、信じていた思想が違うと否定された瞬間があったはず。
その結果、本作のリードが生まれてしまったのだと思う。
そのリードが生まれたきっかけをもう少し深く知りたかった。
まさにエスターのエスター0みたいな内容がいずれみたいと思った。
ヒュー様見たさに頑張った💜
脱出できるよう祈ります
宗教の違い(内容)が分からないと十分理解出来ない
ここの評価点を観て余り高くなかったし、なんか上映期間が短いようで全く期待しないで観た。だからなのか逆になかなか面白かった。確りサスペンスになっているしハラハラさせる所もちゃんとあった。
序盤の進行でショートカットの女の子の方が可愛いし利発そうなので生き残ると私は単純に考えたが甘かった。この物語は主に宗教的な話しとなるので、日本人には理解し難いと思う。二人の女の子達はモルモン教のシスターで布教活動を行っている。実際モルモン教は米国でも少数派である。劇中に出て来る一夫多妻制の話しも昔は許されていた数少ない宗派でもある。そんな話しが出て来るので日本人には内容が入って来ない。また一方でモルモン教は厳しいので自慰行為すら禁止なのである。そんな宗教の矛盾も突いて来る。
この犯人はそんな若いシスター達を理詰めで弄ぶ。半ば趣味の如く。あの色男のヒューグラントがシワが増えそれらを怪演している。優男の悪役は非常に似合う。
宗教の種類はあれども
どの宗教も説いていることは同じである。
同じことを説いていても、人種地域生息環境により
説いていることの解釈に差異が生れる。
この差異を比較し何が優れているか?
と違いを強調しオセロゲームを繰り広げてきたのが
一神教の世界だろう。
この一神教を強く支え広く普及することに
貢献してきたのは、間違いなく母となる
女性達であったことは歴史的に
明らかだと思うが、そこに着目し
それが歪んでくるきっかけとなることを
露わにしストーリーへと落とし込んだ秀作が
本作だと思う。
僕はその点で本作を良い作品だと評価したい。
強く支え広げる原動力となりうる女性達は
信仰でありながらも利益追求が短期の現世利益的で
現実的である。
だが信仰は人間が生み出した幻想で理想故
現世利益を求めるものではなく勿論現実的なものではない
この歪みに気づいて宗教的解決が起これば
そもそも宗教の説く最高値は得られるのだから◎
以上、
僕にとって現状の最終地点に到達した
今だからこその名作(^^)ええ鑑賞でした和
普通のブルーベリーパイが食べたいのだよ
会話に引き込まれる
オープニングはガールズトークかと思いきや、全く違った笑
布教活動する若者。
実は複雑な事情を抱えてることもあるのだろうか。
昨日観ていた「ホエール」でも思ったのだが。
しかし、布教活動が盛んな宗教、そうでない宗教。
違いはなんだろう。
パイにつられて?家に入る2人のシスター。
入った時に匂いは…あった?
張り付いた笑顔のヒューさんがほんと不気味。
しかし女子2人も聡明だった。
恐れながらもギャンギャン騒がずにしっかり受け答えするところ。
偉いと思ったわ。
本部?との連携も割としっかりしてるんだ。
実際こんな事件があったのかも?
なかなかない内容の作品かと。
会話をもう一度じっくり確認したいと思った。
ずっと背中に汗かいて観ていた
ほぼほぼ犯人の家の中でのシュチュエーションホラーですが
長い会話も作品の緊張感を維持することにとても役立っている
むしろ会話劇としての面白さを感じる
そのうえで、冒頭から彼女たちが心理的に感じる「逃げられない」緊迫感が
観客にも同様に共感させていく力がものすごい
そのために、ずっと平均よりやや高めの心拍数を我々に維持させ続け
じっとりとした汗を背中にかかせ続け、エンデイングまでずっと疲労感を
与え続ける
この手の作品で「2回目を見てみようかな」と思わせる映画も珍しい
もっと会話内容を噛みしめて、ヒューグラントの目の奥の狂気を堪能したい
オープニングの二人の会話の意味と本編とどう絡んでいるのかだけが
よくわからなかったのと、入れ替わりのトリックについてはその機会が
訪れるには「偶然」も味方にしなければならなかったように思え、そこだけが
種明かしの時に引っ掛かりました
この点を読み解いている方がいれば教えてくださいませ
観たことの無いホラー?映画。
これ迄に観たことの無い、会話劇、推理劇サスペンスホラーとでも言うのだろうか物凄く面白い映画でした。
ヒュー・グラントのうざ似非アカデミック親爺の人物造形と演技!あまりにも素晴らしい!被害者である2人の少女達の聡明さと宗教的頑迷さが混在した人物造形と演技も負けず劣らず素晴らしかった。
登場人物の誰にも好意を抱けませんが、共感出来るのは圧倒的にヒュー・グラントという意地悪さ、監督さんクレバー過ぎです。モルモンの一夫多妻への突っ込み、ワクワクし過ぎて仰け反りました。
何故か本格推理劇をも織り込みつつお話は楽しく進み、美しいエンディングのまとめ方も素晴らしく感動でした。
レディヘなんて若者は知らないんだよ!って事で傑作です。
エンディングの妙
アレの亜流
観客4人
モルモン教の布教活動をする若い女性2人組が、ある家に入って体験する恐怖を描く。この家の主がヒュー・グラントで、一見温厚そうな紳士だが、じつは異常者なのであった。
ま、『サイコ』の亜流ですね。
ショッキングなシーンもあるが、それほど怖くない。
ヒュー・グラントが、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教の違いをモノポリーにたとえて説明書するくだりが面白かった。というか、よくわかった。(この説明のときになぜかスター・ウォーズもでてくる。)
特にオススメしません。
もっと布教の話をさせてあげて
女性二人が伝道のために怪しい家を訪れる話が気になり、レビューがやや低いのもわかっていながら映画館へ。結果、やはり設定の面白さは申し分ないが、それを生かしきれない感が上回る映画だった。
ヒュー・グラント演じるリード氏が若い女性(シスター)の信仰心を試すように議論を吹っ掛けるところは期待通り。モルモン教創始者の一夫多妻制や、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教がボードゲームやファストフードと同じで、オリジナルに対するコピーでしかないことを挙げて難癖をつける。
しかし知的な議論というよりも物理的に監禁された恐怖が先に立ってしまい、女性二人は立ち尽くしたまま反論できない。後半はリード氏に捕らわれたゾンビみたいな人たちが登場、ビジュアルで怖がらせるお化け屋敷みたいな場面が続いて落胆した。
人生経験豊富で理屈っぽい男性が、単に若い女性を黙らせるだけではつまらない。ましてや力づくで監禁するのでは。むしろ彼女たちなりの感情とか人生経験に寄り添い、互角の戦いをしながら論破してほしいと思うのだった。実際、シスターがファストフード店の好みを不等号(>)を使って列挙するあたりはおかしみがあった。
また宗教は力でねじ伏せるよりも自発的に信じさせることに本当の怖さがあるはず。ストーリーの終盤でシスターの一人が「私たちを自分自身の意思で殺させようとしている?」と毒づくあたりは鋭いと思った。そんな心理戦もリード氏がシスターを刃物で切り裂くように殺害するので台無しになってしまうのだが…。
そういうわけで、鑑賞中はまるで屋敷に捕らわれているのと同じく、早くこの映画が終わって欲しいと思わざるを得なかった。それでもリード氏が宗教や音楽が「反復」でしかないと指摘するのは本質をとらえている。
入信するかどうかは別として、自分の死生観や世界観を確かめるため、宗教の映画は見ておく価値があると思うのだ。
最後に、パクリを指摘されたレディオヘッドのクリープが、まるでリード氏の弾き語りのようにおどろおどろしく鳴っていたのは笑ってしまった。エンドロールを見る限り、特に加工はしていない原曲通りなんですよね。
全294件中、61~80件目を表示












