「オリジナルは模倣に塗り替えられていく📕」異端者の家 minavoさんの映画レビュー(感想・評価)
オリジナルは模倣に塗り替えられていく📕
女子2人でモルモン教の布教に来たはずなのにヒューおじさんがジワジワと信仰心を剥がしにかかる宗教ディベートが珠玉。
この映画では、信じるもの(宗教じゃなくても、信奉してるもの、例えば推しとかでも)を引き剥がされる恐怖を描いており、その過程や、葛藤が見どころでありました。
つまりは宗教、音楽、ボードゲームなど、所詮人間の作ったものは同様に、何かしらの影響から生まれたものであり、本来大切にすべきオリジンは模倣に塗り替えられて忘れられていくという文化論を説いてるんですね。
で、そもそも映画、特にハリウッド映画こそが、どこかで聞いたことのあるような話、登場人物という風に似たような映画が多いなと感じますよね。
これはハリウッドのストーリーテクニック本「神話の法則」や新しいとこだと「SAVE THE CATの法則」の影響が大きいかなと思っています。これらのシナリオ指南本のおかげで良質なシナリオの作品が増える一方、模倣のようなシナリオでも予算がついて映画が作られるという。
これらのハリウッドのストーリーテクニック本の元になったのが、神話学者ジョーゼフ・キャンベルの「千の顔を持つ英雄」です。これは神話の中にある共通のエピソードを人間の共通課題として分析した本で、神話といいながら神話だけじゃなく、仏教とキリスト教の共通エピソードなど宗教の類似性も多く知ることができます。
この映画はこの本に大きく影響をうけた、というか脚本家は絶対読んでますよね?そういう意味でこの映画もまた、反復なのでありますね。
他の映画でも「この映画は裏側にキリスト教とか宗教とか神話が隠されてます」とか言われることがありますが、まあそうなりますよね。映画を作る方、評論家もこの本を読んでるから!😆
ラストは映画的にまあこうなるよなという着地でしたが、好みとしてはもう少し違うパターンが見たかったので⭐️4としました。
