劇場公開日 2025年2月7日

「今なお驚きと鮮烈さを与える伝説的デザインの制作秘話にコービンが迫る」ヒプノシス レコードジャケットの美学 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5今なお驚きと鮮烈さを与える伝説的デザインの制作秘話にコービンが迫る

2025年2月24日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

アントン・コービンといえば、劇映画の監督のみならず、時代の寵児たるミュージシャンの姿をモノクロームで活写したポートレイト写真でも知られる。以前、インタビューした折、とても物腰柔らかく周囲への目配りや観察眼の秀でた方で、なるほどアーティストたちともこうして心地よく距離を縮めていくのだろうなと感じたものだ。そんな彼の初長編ドキュメンタリーが、パフォーマー側ではなく、太陽と月で言えば月側、ジャケットやポスター制作を担ったアート集団「ヒプノシス」に焦点を当てているのも納得だ。誰もが目にしたことのあるデザインは、時にサイケデリックだったり、強烈に意識に訴えかけてくるものだったり。全ては時代を彩る異才たちの運命的な出会いと化学反応から始まり、そんな伝説を形作った制作秘話の一つ一つが深淵で興味深い。もし彼らのデザインがなかったら70年代の音楽シーンやその影響は多少印象の異なるものになっていたに違いない。

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牛津厚信