劇場公開日 2025年1月10日

オークション 盗まれたエゴン・シーレのレビュー・感想・評価

全37件中、1~20件目を表示

4.5この内容がわずか一時間半に収められている事に驚く・・・・。

2025年2月4日
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鑑賞方法:映画館

興奮

知的

幸せ

まごう事なき傑作。良くある事だがこの邦題は無いな。内容的には自分の専門である為評価を半ポイント落としてあるが、出来としてはパーフェクトである。表現としては「素敵な映画を見た」と言うのが一番正しい。一枚の絵を巡る歴史的背景、登場人物への細やかな描写、それぞれのキャラクターが織りなす見事なシナリオ。どれをとっても完璧なのに、こう言った映画がメジャー公開されず、今回も見に来ているのが自分含めて二人と言う悲しさ。このクラスの映画はキチンと映画好きと言われる人たちにもっともっと認知していってもらいたいものだと切に感じた。

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mark108hello

5.0星5は甘いかもだけど

2025年2月2日
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鑑賞方法:映画館

フランス映画はイケすかねーなと思いがちなので割と敬遠してるけど、絵画が絡む映画だからと観てみたらメチャ面白かった!
フランスらしいセリフの応酬がイケすかないながらもやっぱり面白いし人物一人一人のキャラが立っててやなヤツと思ってた人もだんだん愛せてきた。
見終わった時の満足度で星5です。

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ハム正子

4.0台風一過の青空のような晴れやかさで劇場を後にできる作品

2025年2月2日
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西洋絵画に造詣の深い知識人の皆様はエゴン・シーレと聞けば「あぁ、ウィーン分離派の画家ね」と思うのかも知れないが、その方面に全く疎い私にとってそんな名前は初耳。そのシーレがゴッホの作品にインスピレーションを得て自分なりの解釈で描いた「ひまわり」を巡る、実話に基づいた物語が本作。(どんな絵かは本作の公式サイトで確認できる。)

シーレの「ひまわり」は第二次世界大戦中にナチスドイツに略奪されたまま行方不明になっていた。それがフランスの工業都市ミュルーズで見つかったと聞いたオークションハウスで働く競売人のマッソンは鑑定士の元妻と共に、夜勤の工場労働者の青年マルタンの家を訪れる。そこから、純朴なマルタンの想いとは裏腹に、多くの人々の思惑が錯綜し……。

よっぽどの審美眼を持った一部の人を除いて、極々一般的な人々にとって美術品の価値なんて付いている値段以外には判断基準がないというのが正直なところだろう。しかも、その価格がどうやって付けられているのすら分からないまま……。

桁違いの価格がつくオークションを巡って繰り広げられる大人たちの心理戦や情報戦。そんな狂乱に巻き込まれる人とそこから一歩引いた場所に立つ人。自分ならどんな立ち位置を選ぶだろうか?

鑑賞後、台風一過の青空のような晴れやかさで劇場を後にできたのは救いだ。

なお、フランス語の原題の意味は「盗まれた絵」だそうだ。

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Tofu

3.5ぶっ濃い濃厚爆盛りフランス感。

2025年1月30日
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鑑賞方法:映画館

表情は防具で隠し、本音という剣で急所を狙い合う様なフェンシング会話劇は「らしさ」全開、フランスを煮詰めた様な印象。

お高くとまっている様で、実は鑑定士と名乗れない事にコンプレックス感じまくりの美術オタクのオークショニアが、田舎の夜間労働者の家で本物に出逢い思わずドゥフ。
本作の登場人物は皆、いわゆる「憎めない」ヤツらなんだろうな、と。何か歪だけどどこか整合性のある人間関係を垣間見た気分だ。

マルタンの友達2人、すまん。君らが物語をかき乱すもんだとばっかり思ってた。

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や

3.5エゴンシーレがもう少し絡むかと思っていたが…

2025年1月27日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

寝られる

人間関係が主軸になっているので、観やすい作品になっている。
青年マルタンの良心が光る作品。エゴンシーレを知らなくても大丈夫なのでぜひお勧めします。

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ma

4.0思ってたのと全然違ってたけど、良かった おしゃれ系フランス映画、み...

2025年1月25日
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思ってたのと全然違ってたけど、良かった

おしゃれ系フランス映画、みたいな感じ

元奥さん、キャラ最高

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jung

5.0なんて大人で知的でシャレてる映画だ。最近の邦画が幼稚に思えてしまう

2025年1月23日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

幸せ

今年鑑賞した第一作目が当たりで幸せ。映画の泉に放り込まれて日常を忘れ、美術館に行きたくなりました。
軽い気持ちでいきなり観てもほぼ大丈夫です。

フランス語映画は初めて。これをきっかけに各国の映画を広く見ようと思いました。

主人公と元妻の仕事ぶり、オークションを巡る各人の思惑。駆け引き、助手の機転。マルタンがちゃんとした青年で嬉しくて泣きそうになります。

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ハマー

3.5オークションをめぐる人間ドラマ

2025年1月23日
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難しい

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マリエル

3.0サスペンスっぽくないですよ。

2025年1月23日
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鑑賞方法:映画館

ナチス・ドイツが略奪したエゴン・シーレの『ひまわり』を巡る実話にインスパイアされた物語、とポスターに書いてあったので、

ナチスが大きく絡みハラハラするサスペンス・チックな作品だと思ったら、全然に違った(笑)

構えてたら肩透かし食らって、どんな姿勢で観ればいいのか困惑した(笑)

最後はホロっとして、そんな映画なんだと。

良かったトコは、この最後と、画家エゴン・シーレを知れたこと、主人公の元妻を演じたレア・ドリュッケールが綺麗だったこと(笑)

レア・ドリュッケールは、初めて認識したけど『クロース』や『地下室のヘンな穴』にも出てたらしい。

主演のアレックス・ルッツは『ヴォルテックス』にも出てたと知って、ビックリだ(笑)

話の内容には関係ないけど、寿司を食べるシーンがあり、フランスじゃ寿司って今は普通に食べてるんですかね?

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RAIN DOG

3.0タイトルなし

2025年1月22日
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とも

4.0エゴンシーレはあんまり関係ないよ。

2025年1月21日
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鑑賞方法:映画館

たまたま工場で夜勤する若者の家にあった名画と、群がる欲の塊、画商、富豪達という実際にあった話を元にした映画だそうです。
ヨーロッパの映画らしくどんよりとした空の下で大人の会話を楽しめるし、それぞれの関係性や素性も一癖あり気が利いているが誰かを深掘りする訳ではなく冒頭のシーンとかエンディングとかでわかるように、人間の欲望とか、ヨーロッパの階級社会の歪さを皮肉った、、、というのがテーマなんじゃないかと思う。
あと絵の由来でナチスが絡んでいる事を知って持ち主が突然権利を手放すとか実にヨーロッパぽい。

欲を言えば会話に重心がおかれているせいで、映像的なテンポや緩急がもう少しあるとミステリーとしても良かったかなぁと思うが、まあそれがフランス映画ぽさかも知れないww

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masayasama

4.0いかにもフランス映画らしい人物描写とセリフの応酬。リアルなオークション業界内幕もの。

2025年1月17日
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鑑賞方法:映画館

なんて小粋なセリフの応酬!と思ったら、
この監督、ジャック・リヴェット映画の常連脚本家さんなのね。どうりで。

信頼しているレヴュアーさんが激賞していたのと、
一応、大学で美術史専攻だったので観に行ってみた。
文化村は元東急のところが改築中で、現時点でビックカメラのある小汚いビルに移っているが、相変わらず客層の品が良くて、少しお金を持っていそうな中高年の夫婦が多い。明らかに他の映画館と一線を画している(笑)。

映画は、観に行った甲斐のある良い映画だった。
90分という軽めのヴォリュームで、フランス映画の一番上質な部分をさくっと味わわせてくれる、軽やかな映画。
「会話」と「間」と「空気」を楽しむ、心地よい「映画の時間」。
語りすぎず、適度に謎を残し、歯ごたえはあるけど、無理強いはしない。
食前に出てくる、重たすぎないワインのような、芳醇な映画だ。

― ― ― ―

話の大筋は、概略でいえば、田舎の工場労働者の家からエゴン・シーレが出てきて、それをオークションにかけたら高値で売れましたってだけで、それ以上でも以下でもない。
個人的には、オークションにまつわる真贋の鑑定だとか、コレクター間の駆け引きだとか、競りを用いたコン・ゲーム的な仕掛けだとか、そういう要素を強調した「美術ミステリー」だとばかり思って観に行ったのだが、ぜんぜんそんなことはなかった(笑)。
一応、「仕掛け」は出てくるけど、トリック自体にそこまで力点は置かれていない。
「エゴン・シーレ」という部分についても、たいして多くの蘊蓄が披露されるわけではない。簡単な絵の描かれた経緯と、たどった来歴が語られるだけだ。

むしろ描かれるのは、その過程で登場する人々の群像劇だ。
バルザック『人間喜劇』の伝統とでもいうべきだろうか。
成り上がりで偉そうだが、仕事には誇りを持っている有能なオークショニア。
もはや恋愛関係にはないが、仕事の同志としては信頼しあっている彼の元妻。
出だしから息を吐くようにウソばかり吐いているオークショニアのアシスタント。
欲がなく周囲との和を大切にしながらも、芯のしっかりした絵画所持者の青年。
交渉の大事な山場で、休暇をとってスキーに行っているマイペースな女性弁護士。
その他、アシスタントのお父さんとか、お父さんみたいなのとか、青年の友人とか、お母さんとか、絵の所有権をもつユダヤ人一族とか、周辺の人物を含めて、磨き上げられた人物描写がつづく。
この人たちが、絶妙にクセがあって、(青年以外)絶妙に感じが悪くて、それでも絶妙に嫌いになれないんだよね。なんとなく人間味があって、目を離せない。

彼らの関係性や、彼らの性癖について、ことさらの説明があるわけでもない。

たとえばアシスタントのオロールが、なぜウソばっかりついているのかも、結局、彼女の血縁関係はどうなっているのかも、最後まで観てもよくわからない。
でも、彼女が複雑な家庭環境のもとで育って、父性に対して執着とともに対抗心を燃やしていて、虚言癖で武装する自分の在り方に本人も疲れを感じていて、父性に対するわだかまりが職場での上司との衝突にもつながっているというのは、しっかり伝わってくる。
他人のことなどどうせわからないものなのだから、それだけわかればあとは「謎」のままでも、別段映画としては構わないわけだ。少なくとも、監督がそう考えているのはわかる。

あるいは、主人公のオークショニア、アンドレ・マッソン(著名なシュルレアリスムの画家と同姓同名。わざと?)の半生についても、映画の中できちんと語られるわけではない。きちんとは語られないながらも、彼が田舎から出てきた「成り上がり」で、上流階級にしがみつきながらもガッツを持って仕事に臨み、背伸びをしながら技量を磨き、今の彼が自身のオークショニアとしての鑑定眼と絵画売買の能力に誇りを持っていることは、よくわかる。何本もそろえられた高級時計や室内の凝った調度品、服装、高級車愛好、立ち居振る舞いなどから、彼の「出自」と目指している「見え方」がほの見えてくる。彼のスノビッシュな部分は、彼の燃え盛るガッツと反骨心の裏返しでもあるのだ。

それから、エゴン・シーレのオークションに立ち会った青年が、終盤で大泣きするシーンがある。あれはとても印象的なシーンだ。あそこで、なんであんなに泣いていたのかについてのちゃんとした説明はなされない。でもあのシーンで大の大人が「泣く」というインパクトはとても大きくて、こちらも「なにが彼をあそこまで泣かせたのか」を一生懸命考えることで、この映画への理解と認識が深まっていくところがある。

かように、「語りつくさない」部分で、観客の能動的な参加と思考の加速をうながすような、「働きかける」作用が、この映画にはたしかにある。
そして、僕はそういう映画がけっして嫌いではない。

― ― ― ―

僕には、美術業界を題材にしたフランス映画で、ものすごく好きな映画がある。
アラン・ドロン主演の『プレステージ』(76)という映画で、ワーカホリックの美術商が、ひたすら走って、走って、働いて、働いて、セックスして、働いて、走って、セックスして、働いて、働いて、唐突に心臓麻痺を起こして倒れて死んで、話がそのまま終わってしまう凄い映画だ。

僕も比較的近いような仕事のスタイルでもう30年近くやってきたので(笑)、ものすごく主人公の生き方には共感するし、なんならアラン・ドロンの映画で一番かっこいいアラン・ドロンが観られる映画だとも思っている。今回のオークショニアを見て、ちょっと『プレステージ』のアラン・ドロンを思い出して、良いよなあ、こういう生き方、いっつもヒリヒリしてて、アドレナリンもドバドバ出るだろうなあ、とうらやましく思った。

上司や部下との関係性も、別れた奥さんとの関係性も、あまり日本ではなさそうな感じのノリで、いかにもフランス映画といった感じが強い。
でも、これはこれでなんとなく楽しそう(笑)。
言いたいこと言い合って、文句も言い合って、嫌いな感情も思い切りぶつけて、ひりひりして、ぎすぎすしながら、それでもエキサイトしたあとは和解して、熱い思いも共有できて、最後は自然な形で寄り添えるというのは、日本とはまた違う個の尊重の在り方だろう。

それから、本筋のオークションに関わる「仕掛け」自体は簡素なものだが(リアルな人間描写のテイストからすれば、このくらいのギミック程度でちょうどよい)、その代わりに、周辺の事項で思いがけない展開や伏線を結構張っていて、なんでこんなエピソードをぶち込んできてるんだろうなと思っていたような話が、終盤で巧みに生かされてくるのが純粋に面白かった。
特に、「新たな恋でわくわくしてる」元奥さんの意外な「恋の正体」とか、
アシスタントのトラウマになっている過去話が終盤生かされる展開とか、
思っていたよりも素直で良い人だったユダヤ人富豪の変わり身ぶりとか、
昇進を確約されたあとに主人公が見せる意外な決断とその「理由」とか、
「ミステリではないけどミステリみたいな」組み立ての巧さに感心した。

そう思いながら、家に帰ってからパンフを観たら、この監督ってアガサ・クリスティの『ホロー荘の殺人』を原作とする『華麗なるアリバイ』(2008)を撮った人だったんだな。あれは映画館で観た記憶がある。というか、2010年7月に、劇団フーダニット公演の『ホロー荘の殺人』(戯曲版)と映画『華麗なるアリバイ』をハシゴしつつ、原作小説を合わせて再読するという得難い「三重」体験をさせてもらったのだった。あの映画を撮る監督なら、ミステリ的な手法に知悉していてもおかしくない。

― ― ― ―

以下、雑感。

●予告編がほとんど映画のダイジェストそのまんまなんだけど(笑)。

●主演のアレックス・リュッツって、ダリオ・アルジェントとフランソワーズ・ルブランが老夫婦を演じた『ヴォルテックス』(2021)の息子役だったのか!! パンフを観るまでまったく気づきませんでした。あっちはジャンパー来たヤク中の兄ちゃんだったからなあ(笑)。雰囲気変わるもんだ。

●本作に登場するエゴン・シーレの『ひまわり』は実在する。ただし、実物はロンドンで競売にかけられ、クリスティーズがそれをとりしきった(なので、日本クリスティーズの社長がパンフに寄稿したり映画のゲストに呼ばれたりしているのだと思う)。
ゴッホの『ひまわり』をエゴン・シーレなりに解釈した絵画だというが、一見して銀色っぽい平面的な背景といい、ちょっとセンターを外して天地を切ったような構図感といい、僕にとっては琳派の銀箔貼の秋草図屏風あたりをより強く想起させる作品である。具体的にいえば、酒井抱一(東京国立博物館本)や鈴木其一(出光美術館本)のような。ゴッホ自身、ジャポニスムの影響を強く受けた画家だったことはよく知られているが、エゴン・シーレもかなりジャポニスムの影響下にあった画家であることは間違いないと思う。
あと、あのひまわり、なんとなく「ほおずき」感があるよね(笑)。

●『ひまわり』に関してさんざん贋作呼ばわりしていた主人公と元嫁が、現地で作品の前に立った瞬間、大笑いを始めるシーンは印象的。バカにして笑うなんてひどいじゃないかと言われて「失礼、興奮してしまって。まさか真作と出合えるなんて」と返す。要するに、ふたりとも観た「瞬間」にこれが真作だと「見極め」、確信し、その自分の判断には一切の疑念がない。それだけ、二人が絵画鑑定に関しては本物のプロであり、自信をもった目利きであることを示す好シーンである。
ついでに、お母さんがぶっ倒れる様子が「音だけ」のオフスクリーンで描かれるのは粋な演出。テンポ感も絶妙で面白かった。

●ユダヤ人の絵画所有者の見た目って、誰かに似てると思ったら、指揮者のクリストフ・エッシェンバッハか。ラストの拍手のシーンは、感動するというよりは、ちょっと自己啓発セミナーみたいな空気でしょうじき怖い。

●「ナチスによる絵画略奪」「退廃美術」に関しては、これまでも何本か劇映画やドキュメンタリーが撮られている。本作では、ここにはあえて深入りはしないと決めて撮った気配があるが、原題「盗まれた絵画」の「盗まれた(volé)」の使い方はちょっと気になる。

― ― ― ―

本作のキモになっているのは、ウソにまみれた美術売買の業界のなかで、ウソに順応してしたたかに生きる主人公と元妻および、強迫的にウソを吐きつづける部下を描きつつ、対比的に、いっさいのウソのない生き方を選択して貫く青年マルタンを置いてみせる構図である。
本作でのマルタンは、絵画がナチスによる盗品だと判明した瞬間から、無償で手放して遺族に返すことを当たり前のように決めて、その決断を貫くためならば親友とのつかみ合いも辞さない信念の持ち主である。
ただ彼の場合、かたくなに清廉な生き方をごり押ししているというよりは、あくまで自然体で過ごしているだけ、というのが重要だ。当たり前のように無私に、まともに生きて、勤労をたっとび、仲間をたっとび、家族をたっとぶ。そして、ラストのあの決断!

僕は本作でのマルタンの描写を見ながら、少しロッセリーニの『神の道化師、聖フランチェスコ』(50)を思い出していた。
あそこに出てくるフランチェスコや、同志ジネプロの虚心で自然体の虚飾を排した生き方こそが、実はマルタンの原型なのではないか。欲にまみれた美術売買の世界を描くにあたって、監督が対比したかったのは、実はフランシスコ会修道士たちの純粋な精神性なのではないか。
フランシスコ会の会則には以下の文言がある(Wikiより抜粋)。

高価な衣装を着、美味な飲食物を食べている人を見ても軽蔑したり裁いたりしてはならず、むしろ自分自身を裁き軽蔑せよ。直接にせよ間接にせよ金銭を受け取ってはならず、何物も所有せず、清貧と謙譲のうちに主に仕え、喜捨を請うことを恥じず、清貧を友とせよ。

この「軽蔑したり裁いたりしてはならず」の部分が、いかにもマルタンっぽいと思ったのだが、いかがだろうか。

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じゃい

5.0文句なし!面白すぎる美術オークションドラマ

2025年1月16日
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興奮

知的

幸せ

文句なし❗️素晴らしかった。
美術オークションにまつわるドラマだが、オークション業者側、売る側、買う側のエゴン・シーレにまつわる思惑、駆け引き、絵に対する想いもスクリーンから伝わった。
観ごたえ満点。
ラストも後味がいい。面白かった。
洋画ファン、フランス映画ファンはぜひおすすめしたい作品。

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ナベウーロンティー

3.5小判に興味がない猫

2025年1月16日
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真贋や正統性は美術作品の価値に直結するが、それを扱う人の価値は出自より能力なのだ、という対比が面白かった。

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ひろちゃんのカレシ

3.0人生と大金を天秤にかけて、それでも自分の人生を歩める人が幸福への入り口に立てるのだろう

2025年1月16日
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知的

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Dr.Hawk

3.5フランス映画らしい説明不足もまた味

2025年1月16日
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鑑賞方法:映画館

主人公の競売人マッソンの目を通して、オークションの仕組みや、バイヤーたちの裏での詐欺まがいな駆け引きなどが見どころで、かなり楽しめました。

マッソンのところに来たインターン女学生のオロールが、何故誰に対しても怒り、呼吸するように自然に嘘をつくのか、その後何故素直になるのかの説明描写が一切なく、「察して感じろや」的に突き放した不親切設計具合に、フランス映画らしさをたっぷり味わえましたよ。

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コージィ日本犬

3.5配給会社に感謝!

2025年1月14日
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ナチス・ドイツによって退廃芸術と見做され、1939年に喪われたエゴン・シーレの「ひまわり」の再発見をめぐって、実話をもとに紡ぎ出された物語。

再発見されたのは、フランス東部のミュルーズと聞いて、まず思い出されるのは、バーゼル・ミュルーズ空港、そうなのだ、この地はアルザスに属し、スイス、ドイツとの国境に近く、特にこの空港はバーゼルとも直接つながっていることで知られている。ドイツのフライブルグにも近く、その地で「ひまわり」が見つかったことに意味があるのだろう。そのせいか、映画でも、飛行機の飛ぶ姿が何度か出てきた。なんと言っても、ミュルーズはフランス鉄道博物館、国立自動車博物館(この映画で出てきた)で知られている工業都市、その化学工場で夜勤の労働者をしている若者マルタン・クレールの家で、その絵が見つかったと言うわけだ。

ただ、ゴッホのひまわりの影響と言っても、ゴッホのひまわりは、アルルで友人の到着を待ち侘びて描かれたものだけでなく、やや暗い色調のものもある。またシーレには、恩師クリムトの影響もあるに違いない。クリムトは、その比較的初期に、庭に花が咲き溢れる風景をたくさん描いている。

見つけ出されたこの絵が、エゴン・シーレの真作と鑑定したのは、パリのオークション・ハウスで働く競売人アンドレ・マッソンと、彼の元妻でシーレの専門家であるベルティナ。ただ、それから一悶着あり、なんと新米の研修生にすぎない、しかも少し変わったオロールの助けにより、無事、オークションにたどり着く。

そういえば、この映画の中には、地方出身者が(アンドレはションリュプト・ロンジュメール、オロールはモントーバンの出身)貧困もあったのだろうけど苦労したり、鑑定人のお得意には、あからさまに黒人を差別する老夫人がいたりする。

それにしても、これだけの内容を91分で理解するには、美術やフランスとドイツの歴史などの知識も、ある程度は必要だろう。今でもフランス映画の半分近くは、90から100分で、入れ替えを考えると、(午後4時、6時、8時、10時の)定時に映画館で鑑賞が可能、でもこれ以上長いと大作で料金も高くなったりする。池波正太郎さんが、いつもあと10分切ったらもっと良くなると言っていたのは、このことだろう。少し前だったら、エール・フランスの機内で見るくらいしかできなかった普通のプログラム・ピクチャーをミニシアターで観られるなんで、配給会社に感謝したい。

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詠み人知らず

3.0夫と映画デート

2025年1月14日
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新婚旅行中に函館で偶然見た
エゴン・シーレの展示を思い出して
祝日のデートに丁度良いおしゃれフランス映画
内容はとても興味あったのだが、出来は薄い
深い感銘はあえて求めない感じの作り
モヤモヤを足し気味のこれぞフランス映画

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mamagamasako2

4.0競売人の世界

2025年1月14日
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鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

アートオークションの煌びやかな世界の裏側が垣間見れて楽しかったです。
騙し騙され、みたいな手に汗握るシーンもないわけではないですが、オークションをめぐる人間ドラマがメインです。
主人公の競売人とその元妻、絵を発見した労働者一家、主人公と研修生の女性、研修生の女性とその父親、などの間で断片的なドラマが展開されますが、やや散漫な印象。
特に研修生の女性がやたら謎めいていて、なぜその行動をするのか不明なシーンが多く、もうすこし丁寧に説明してほしかったです。
数十年間、行方不明になっていたエゴン・シーレの絵を労働者階級の家族が所持していた経緯はリアリティがありました。

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すーちゃん

3.0何を見せられたのだか

2025年1月14日
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ナチスが敵国の美術品を強奪する中で近代美術に関しては興味がなく、その絵画をナチスへの協力者に対する礼に使っていたが、その中には有名な作品もあり、フランスのある家にエゴン・シーレのひまわりの絵画があった。その家を譲り受けた赤の他人の家の息子の友達が有名な絵画であることに気づく。
性格に難のある競売人の主人公と、ウソで固めている主人公のアシスタントの女性、絵画の持ち主の家の息子の3つの話が、何も説明がなく進む。特にアシスタントの話がわかりにくい。
「黄金のアデーレ 名画の帰還」と共通のモチーフかと思ったが、あちらはナチスの愚行による悲劇を描いていたのに対して、その絵画を安く処分しようとするアメリカ人を除いてこちらは特に劇的な展開がなく、見終わった時に「何を見せられたんだ⁇」という気になった。

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ミーノ