劇場公開日 2025年2月21日

「人と犬の命の重さ」犬と戦争 ウクライナで私が見たこと La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

人と犬の命の重さ

2025年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻に伴って多くのウクライナ市民が国外に避難しようと国境地帯に押し寄せ、その様子はニュースでも紹介されました。しかしその時、家族の一員であった犬や猫も無事に避難できたのかと、「犬と戦争」の実情を確かめる為に日本からウクライナに飛んだ人が居た事にまず驚かされました。そして、監督が捉えた映像を観て二度ビックリです。ポーランドとの国境地帯にはウクライナからの避難民を一時収容するための施設が多数準備され、その一角にはペット用のケア・センターも設けられていたのです。そして、そこでは各国からのボランティアの獣医やスタッフが働いているのでした。恐らく、人のケアと同時に動物のケアも始まったのでしょう。緊急事態であったのに、その視野の広い即応性には感心させられました。

 しかし一方では、避難が間に合わずにウクライナに置き去りにされケージの中で餓死してしまった多くの犬の姿も捉えらえられます。

 そして、本作が静かに問うのは「人の命と犬の命の重さ」です。それは安易に比較すべきではないのでしょうが、僕はやはり人の命が大切だと考えます。人か犬かどちらかしか救えないのだとしたら僕は人を選ぶでしょう。でも、その人が生きて行くには犬によってもたらされる安らぎが必要なのです。

 東出昌大さんの落ち着きながらも力強いナレーションがとても良かったです。

La Strada