私の想う国

劇場公開日:

私の想う国

解説

「チリの闘い」などで知られるドキュメンタリー映画の巨匠パトリシオ・グスマンが、リーダーもイデオロギーも不在のチリの新しい社会運動をとらえたドキュメンタリー。

2019年10月、チリの首都サンティアゴで、地下鉄料金の値上げ反対に端を発する新たな民主化運動が動きだした。リーダーもイデオロギーも存在しないその社会運動は爆発的なうねりとなり、若者や女性を中心とする約150万もの人々が、より尊厳のある生活を求めてデモに参加した。この社会運動はチリの保守的・家父長的な社会構造を大きく揺るがし、やがて2021年に36歳という世界で最も若いガブリエル・ボリッチ大統領誕生に結実する。

ピノチェト政権下にキューバに亡命し、現在はパリで暮らすグスマン監督が、目出し帽に鮮やかな花をつけてデモに参加する母親や、家父長制に異を唱える4人の女性詩人、先住民族マプチェの女性として初めて重要な政治的地位についたエリサ・ロンコンら多くの女性たちへのインタビューを交えながら、劇的に変わりゆく母国チリの姿をダイナミックかつ詩的な映像美で描きだす。

2022年製作/83分/G/チリ・フランス合作
原題または英題:Mi pais imaginario
配給:アップリンク
劇場公開日:2024年12月20日

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(C)Atacama Productions-ARTE France Cinema-Market Chile/2022/

映画レビュー

5.0女性と若者の力

2025年2月1日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

興奮

知的

インタビューに答える全員が女性で、毅然とした表情と力強い言葉が心に残る。とくに「ラス・テシス」のパフォーマンス「Un violador en tu camino(あなたの道に犯人がいる)」を連呼するデモの様子は圧巻であった。女性に対する暴力や性差別は世界共通なのだと痛感する。ちなみに起草された新憲法は可決されず、いまだに古い憲法が使われている、新大統領も苦戦している様子。それでも市民が人権を無視する政治にNOを突きつけ、新しい時代へ向かおうとする熱が感じられた。

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Rubysparks

3.5民主主義ってなんだろう

2025年1月25日
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鑑賞方法:映画館
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Tofu

4.5わたしたちを裁く家父長制

2025年1月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

チリの人口約1900万人のうち、120万の国民がデモに参加し、更に女性と若者がデモの中心だったということに大変驚きました。彼女たちは石を手に持ち花を頭に飾り詩を歌いながら闘っていて、こんなにカラフルでリズミカルな闘争映像を観たのは初めてです。

女性たちのインタビューがとても印象的で、彼女たちは貧しく希望の持てない現状を諦めて自宅に帰ることはできない、だからデモに行くしかないと言ってました。女性たちのインタビューを観ていると、過去の女性たちから現在の女性たちへ長年の痛みや怒りが時代を超えて引き継がれているように思います。

今までの闘争は結局は男性同士の権力闘争だったのかもしれないですね。なぜなら女性のポジションはまだまだ低いですし、女性たちを苦しめる家父長制度がそのままあり続けているからです。平等を求めるならばもっと女性の意思を取り入れませんか?

女性たちはリーダーを求めていませんでしたが、これが権力争いをする男性たちとは違うところですよね。今までは平等・権利を掲げた政党やグループの中ですら、意思決定ができるポジションに女性はほぼ付けなかったですから。

“もう家父長制(男性社会)には私たちのことを何も決めて欲しくない”

と、本作は私に語りかけてくるようでした。これはチリの女性だけの声ではなく、世界中の女性の声だと思います。もう老齢期の男性に権力を集めるのはやめましょう。

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ミカ

4.0民衆が その心の熱さを忘れていない国 こういうことが起きないと国や...

2024年12月31日
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民衆が
その心の熱さを忘れていない国

こういうことが起きないと国や政治が生まれ変わることがない
というのがいちばん悪い

ただの暴動に巻き込まれて家を焼かれたり
仕事を失った人のことを考えると
胸が痛む

ちょっと逸れるけど
軍用車が水を撒いて市民の後退を促すシーンを見て
1989年のあの国を思い出した
軍用車で無抵抗な人を轢く国のことを考えると、
チリの政府が少しだけまともに見えた
『そうだよ、水だよ!』と心で叫んだ

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jung