劇場公開日 2025年1月31日

  • 予告編を見る

「24人を完璧に塗り分けてる!」遺書、公開。 60代の男ですさんの映画レビュー(感想・評価)

3.524人を完璧に塗り分けてる!

2025年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

[60代男です]
全員の遺書を読めば、自殺した理由の手がかりがあるのではないかということになり、夕方のホームルームのときに数人ずつが読み上げていく……のだが、なぜすぐに全員のものを読みたがらないのかが不思議で、どれも30秒もあれば読めるような短い文章なのに、一気に読まず、数人が読んだら続きは明日、と解散できるのが信じられない。
よく宙ぶらりん状態で自宅へ帰ろうという気になるもんだ。
という不自然さは気にしないことにすれば、なかなか楽しめた。

遺書はどれも当たり障りのない平凡な文面に思えるのに、それをこう解釈できるとかこうも読めるとか議論して、その遺書を受け取った人間の隠していた闇が順番に暴き出されていくという趣向。
知名度は低いが面白かった「狂覗」を思い出させた。

ようやく見えて来たと思える真相が簡単に揺るがされてしまうのは、現実でも友達同士の会話で決めつけてかかることが、いかにあやふやで不確かなものなのかということと一緒だ。

撮影も良かったが、本作で最も感心したのは、教師は別として、男女用2種類しかない学生服をみんなが着こんでいるため服装で違いを付けにくいというのに、24人もいる生徒たちの色分けが完全に成功していることだ。
まったく混乱することなく識別できる個性を全員が持っている。
わざとらしい言葉遣いをしたりする嘘っぽいキャラクターなど作りもせずに、これをやってのけているのは本当に凄いことだ。
英勉監督の手腕。

60代の男です