劇場公開日 2025年1月31日

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「あなたの一言が、誰かを追い詰めているかもしれない——。」遺書、公開。 おひさまさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0あなたの一言が、誰かを追い詰めているかもしれない——。

2025年2月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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映画『遺書、公開。』は、学園ミステリーと心理スリラーが交錯する衝撃作。ある日、灰嶺学園2年D組に突如届いた「クラス序列」のメール。誰が作ったのかも分からないこのランキングは、担任を除くクラス全員に受け入れられた。頂点に立ったのは、皆が納得する完璧な少女・姫山椿。しかし彼女は、ある日突然学校で命を絶つ。そして、葬儀の後に届いたのは、彼女がクラス全員へ宛てた"遺書"。

「なぜ、彼女は死を選んだのか?」
「この遺書は、本当に姫山椿が書いたものなのか?」
「そもそも、"序列"を作ったのは誰なのか?」

遺書が読み上げられるたびに、クラスメイトたちの裏の顔が暴かれていく。彼らは、椿の死にどう関わっていたのか? そして、事件の裏に潜む"真実"とは? 伏線が次々と回収されていくスリリングな展開に、最後まで目が離せない。

若手実力派キャスト陣の熱演も、本作の魅力のひとつ。特に、注目すべきは志田彩良。彼女が演じるキャラクターは、物静かな雰囲気の中にどこか不気味な冷静さを宿しており、その存在感が物語の奥深さを際立たせる。決して派手な演技ではないのに、表情の微細な変化や視線の使い方ひとつで、観る者に底知れぬ恐怖や違和感を抱かせる。まるで何も知らないのか、それとも全てを知っているのか――。その曖昧な境界線を巧みに演じ分け、観客を翻弄する。志田彩良の静かで研ぎ澄まされた演技が、この映画の心理的な怖さをさらに引き上げているのは間違いない。

観終わった後、ふと考えてしまう。
「自分が、もしこのクラスにいたら?」
「無意識の一言が、誰かを追い詰めていたとしたら?」

デスゲームのような派手な展開ではなく、リアルな人間関係の闇を鋭く描いた本作。心理戦が織りなす緊張感、暴かれる本性、そして言葉の重み。観た人の心に、深く突き刺さる映画だ。

おひさま