劇場公開日 1957年1月15日

「もう矢だぁ!もう矢だよぉ!」蜘蛛巣城 かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0もう矢だぁ!もう矢だよぉ!

2025年2月3日
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鑑賞方法:VOD

脚本監督、黒澤明。
シェイクスピアの『マクベス』が作劇のベース。

【ストーリー】
戦国。
鷲巣武時(三船敏郎)と三木義明は、主君・都築国春の命により、"北の館"にて謀反を起こした藤巻を討伐する。
国春の根城、"蜘蛛の巣城"にもどる道すがら、"蜘蛛の手森"にて嵐にあい、そこで奇妙な老婆と出くわす。
老婆は言う。
「鷲巣は北の館の主となり、やがて蜘蛛の巣城の城主となるであろう。三木は一の砦の大将となり、その子供は蜘蛛の巣城の城主となるであろう」
気がつくと老婆は居なかった。
不気味さに怖気をおぼえつつ、二人は蜘蛛の巣城へとたどり着く。
二人に国春は言う。
「鷲巣は北の館を、三木は一の砦を守護せよ」
北の館に居を構えた鷲巣は、妻の浅茅にあの夜の出来事を話す。
浅茅は言う。
「であれば、都築を暗殺なさいませ」

マクベス読んでませんごめんなさい。
マクロスなら……あほう!
この超時空あほう!

終盤のあのシーン、本当に無数の矢にさらされて、主演の三船敏郎がのちにお宅までいって「死んじまえ黒澤!」ってキレまくったそうです。
なにせ大学の弓道部員を何人と用意して、打ちまくったそうで、本当に生きた心地しなかっただろうなあ。
すんごいおもしろいシーンなんですけど、演じる側はたまったもんじゃないよなあと。

クロサワ・お公家眉ヒロインでも最怖なのが、山田五十鈴演じる妻・浅茅。
能の動きをとり入れたすり足で、すべるように移動し、時武をそそのかし、謀殺にまで手を染めるその攻撃性と狂気。
クロサワ闇系ヒロインだぁ……。
よほど印象が強かったようで、ロンドン映画祭に呼ばれた際、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラを演じたヴィヴィアン・リーに、メイクのことをやたらと訊かれたそうです。
ヴィヴィアン・リー、舞台でマクベス夫人を演じていたので、それつながりで気になったんでしょうね。
浅茅、こわいもんね。

あんまり浅茅がこわくてあんまり見返す気は起きないんですが、あの矢のシーンだけはくり返し見ちゃったりします。
悲劇にひたりたい夜なんかに、よかったらどうぞ。

かせさん
トミーさんのコメント
2025年2月5日

共感ありがとうございます。
白塗りの奥さん・・とても愛でられんと思うんですが、ノイローゼになってからはもう恐怖描写。
大体、蜘蛛巣城って所の主になりたくないですよね。

トミー
talismanさんのコメント
2025年2月3日

矢!矢!矢!見応えありました!

talisman