「心の底には何がある」蜘蛛巣城 talismanさんの映画レビュー(感想・評価)
心の底には何がある
楚々とした風情とそそのかし、信頼と疑心暗鬼、矛盾したものを抱え込んでいる人間の本性を山田五十鈴が具現していた。彼女の動きも静も全て計算されたもので美しく空気に緊張感が漂う。山田五十鈴でなくてはできない。歩み、暗闇からぼーっと現れるこの世のものではないような姿、無表情に見えて豊かな能面の顔に声、衣擦れの音がこれが能でないことを気づかせてくれる。
三船敏郎といい志村喬といい、立派な顎と口に日本の男の脚と足。三船敏郎の声としゃべり方はあまり好きでないが、姿と表情がこの映画では素晴らしい。最期の姿、どうやって撮影したんだろう?演出、撮影、照明、ヘアメイク、衣装全てのレベルが高い。
コメントする
トミーさんのコメント
2024年6月4日
共感ありがとうございます。
シェークスピアの作品には凶悪な脇役が居て、舞台上は全てさらってしまう感じですが、今作はやはり奥方が一番おいしい役でしたね。あと魔女の住処の美術が印象的でした。
もーさんさんのコメント
2023年1月18日
talismanさん、今晩は。この映画の山田五十鈴本当に素晴らしいですね。全く同感です。黒澤明は女性を描くのが余り上手くないと私は思うのですけれど、その黒澤映画でこれだけの演技・存在感を出せるのは山田五十鈴だからこそと思います。