チェイン・リアクションズ
解説
2024年・第37回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門(第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF)上映作品。
2024年製作/102分/アメリカ
原題または英題:Chain Reactions
2024年・第37回東京国際映画祭ワールド・フォーカス部門(第21回ラテンビート映画祭 IN TIFF)上映作品。
2024年製作/102分/アメリカ
原題または英題:Chain Reactions
ホラー映画のマスターピース『悪魔のいけにえ』(以下、『いけにえ』)についてのドキュメンタリーだが、特筆すべきは製作に関わったキャストやスタッフが思い出を語るのではなく、この作品の影響を受けた映画人や小説家ら5人が検証・考察する構成になっている点。
結論から言えば、面白かった。今回のTIFFで観られた作品の中でも、こと「面白い」という点ではトップかもしれない。
1人目のパットン・オズワルド(有名コメディ俳優)は『いけにえ』と『風と共に去りぬ』の類似点を提示し、3人目の映画批評家アレクサンドラ・ヘラー=ニコラスが『いけにえ』と彼女の出身国オーストラリア製映画との共通性を指摘し、4人目のスティーヴン・キングは『いけにえ』が自著に及ぼした影響を語れば(ここでも映画版『シャイニング』=キューブリックをしっかり貶すあたりがブレないというか…)、5人目の映画監督カリン・クサマは「『いけにえ』はアメリカの闇を描いている」と断言する。
そして何と言っても2人目の三池崇史の証言が、ホラー映画で出世しただけあってどれもこれも珠玉。「『いけにえ』で痛みの表現を学んだ」というだけあって彼の作品は確かにどれも観てて痛さが伝わるし、『いけにえ』を観るきっかけとなったエピソードも面白い。『いけにえ』以降に劇場で観て衝撃を受けた作品に某日本アニメを挙げるが、納得できないようで納得できるチョイス。
そして何より、各人の証言で挙がる作品のフッテージ映像を、許可取りが大変だったろうにちゃんと使っているあたりに好感が持てる。
過去いろんな識者が『いけにえ』について語ってきただろうけど、切り口を変えれば、まだまだ語りがいがある。それだけ『いけにえ』がエポックメイキングな作品という証なのだろう。