劇場公開日 2024年12月13日

「幸せの国からメッセージが届きました」お坊さまと鉄砲 コショワイさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0幸せの国からメッセージが届きました

2025年2月17日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

幸せ

1 鉄砲と選挙を巡る騒動を通じて、幸せとは何かを描く。

2 「ブータン山の教室」が良かったので、期待を込めて見に行く。本作の粗筋は次の通り。舞台はブータンの僻地の村。ネットの解禁や国営TVなど近代化と初の直接選挙に向けた準備が進められていた。他方、村の高僧が弟子に鉄砲二挺の調達を依頼したころ、外国のバイヤーが年代物の鉄砲を求めて入国。
一人の村民が骨董品を持っていて、バイヤーと弟子とで争いになる。そこに警察も登場する。そして・・・。

3 劇中、模擬選挙により一族内での分断や仲の良かった家庭内での不和が起こったとのエピソードがあった。また、投票結果では善き伝統を活かそうとする議員の得票が最多であった。このことでブータンは近代化が進んでも伝統を重んじ、幸福の根源となる和を尊いものとする国民性が現れた。

4 高僧が鉄砲を求めた理由は最後に分かる。
二挺だった理由は謎で、一挺の銃のために外国のバイヤーが登場し、警察が取り締まろうとするのは大袈裟すぎる。そこは置いといて、僧侶は皆が集まるなかで、目的を伝え、参加者は同調する。そしてバイヤーにはあるものを進呈する。こうした場面を通じて、現在の世界情勢に対する強烈なメッセージと繁栄のために大切なものを示した。彼の地において高僧が信仰と共に大切にされる所以であろう。

5 結末に向けて涙とともに笑いを禁じ得なかった。弟子を始め顔が日本人の作りに似ており親しみを感じた。また、伝統や和を尊重する国民性や身の丈に合わない金銭に頓着しない老人の姿は、古き善き日本人と重なる所があった。

コショワイ