お坊さまと鉄砲

劇場公開日:

お坊さまと鉄砲

解説

長編監督デビュー作「ブータン 山の教室」で世界的に注目を集めたパオ・チョニン・ドルジが監督・脚本を手がけ、初めて選挙をすることになったブータンの小さな村で、変化を求められて戸惑う村人たちの姿を、温かいまなざしとひょうひょうとしたユーモアでつづったコメディドラマ。

2006年。長年にわたり国民に愛されてきた国王が退位し、民主化へと転換を図ることが決まったブータンで、選挙の実施を目指して模擬選挙が行われることに。周囲を山に囲まれたウラの村でその報せを聞いた高僧は、なぜか次の満月までに銃を用意するよう若い僧に指示し、若い僧は銃を探しに山を下りる。時を同じくして、アメリカからアンティークの銃コレクターが“幻の銃”を探しにやって来て、村全体を巻き込んで思いがけない騒動へと発展していく。

2023年製作/112分/G/ブータン・フランス・アメリカ・台湾合作
原題または英題:The Monk and the Gun
配給:ザジフィルムズ、マクザム
劇場公開日:2024年12月13日

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(C)2023 Dangphu Dingphu: A 3 Pigs Production & Journey to the East Films Ltd. All rights reservedZ

映画レビュー

4.0このゆったりと広がる豊かな物語には悪意の入り込む隙など微塵もない

2024年12月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

『ブータン 山の教室』のドルジ監督による新作は、ブータンがさらされた時代の波と、そこで起こる人間模様をユーモラスな視座とゆったりした時間感覚で描き出す秀作だ。06年、尊敬を集める国王が退位を決め、いよいよ民主主義が導入されるという。その折に生じる国民の戸惑いは微笑ましくも至極もっともなことであり、本作を見ているとむしろ観客側の私たちの方こそ、よりもっと民主主義や選挙制度について思考を巡らすべきなのではないかと思えてくる。ただし本作の焦点は小難しい議論にあるのではない。あくまでそれを受け止める人間の心にある。そしてこの美しく平和な大地に銃を担いだお坊さまがたたずむ姿には、何か正反対の価値概念が同居しているかのような芸術的なまでの絵力が迸る。高僧の狙いが判明するラストは誰もが「なるほど!」と得心するはず。この国の善意と人々の思いやりがずっと続きますように。そう願わずにいられなくなる一作である。

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共感した! 7件)
牛津厚信

4.0物騒な仏僧と、幸せの赤い“銃”

2024年12月26日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

楽しい

知的

幸せ

パオ・チョニン・ドルジ監督・脚本の第2作となるこの「お坊さまと鉄砲」がとても良くて、デビュー作「ブータン 山の教室」も最近配信で観たのだが、両作品とも自然と宗教(祈り)にとても近い暮らしをいとなむブータンの村人たち(演者の多くは地元のエキストラ)が本当に素敵で、親しみと憧れの気持ちを抱いた人も多いはず。前作は比較的シンプルなストーリーだったが、今作ではちょっとしたミステリー要素も添えて観客を楽しませてくれる。

2006年に国王が退位し、民主主義と普通選挙が導入されることが決まったブータンで、国民に慣れてもらうため模擬選挙が各地で実施されることに。それをラジオニュースで知ったラマ(高僧)が弟子の若い僧侶タシに、4日後の満月までに銃を2丁入手するよう頼む。人々の平安を祈り皆から尊敬されるラマがなぜ銃を? その謎はなかなか明かされない。

師の頼みに従い村中を探し回るタシ、はるばるアメリカからやってきた銃コレクター、ある村人の家にあった南北戦争時代の稀少なライフル、さらには劇中のテレビ画面に映る「007 慰めの報酬」で使用されていた自動小銃AK-47の現物まで登場。物騒な展開も想像してハラハラしたが、終盤での種明かしにあっと驚き、喝采を送りたくなった。

ある人物の手に赤い“アレ”が渡るシーンで、私の脳内では自然にビートルズのジョン・レノンが歌う「Happiness Is a Warm Gun」のサビが流れていた。この歌詞の「銃」に性的なダブルミーニングがある、つまり男性器を示唆するのはよく知られた話。振り返ればジョンは暴力より愛とセックスを、戦争より平和をと、歌と行動で主張し続けた表現者だった(そのジョンが銃で殺されたのは悲しすぎる皮肉だが)。そんなジョンの願いと、西側から遠く離れたブータンで作られた映画のメッセージがつながっているようで、幸福をおすそ分けしてもらったような気にもなった。

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高森 郁哉

3.5幸せな国

2025年1月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ブータンの選挙システムは、シビアな状況であったのは初めて知った。しかし、映画は終始のんびりした雰囲気で、やはり幸せな国民性なのかなと思った。

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hanataro2

3.02006ブータン王国は改革の時を迎えた。しかし国民は民主制を知らない。

2025年1月16日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ブータン王国初の国政選挙を前に、高僧が弟子に、鉄砲を探してこい、という。意味不明と思いつつ、その答えが最後に明らかにされるのだが、ロケ地同様にストーリーものんびりと進行していく。ピュアな人々が巻き起こす、ちょっとユーモラスでシニカルなストーリー。それ以上の感想もないが。

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栗太郎