「船酔い注意!!でも、その先に広がる圧倒的な映像詩!と猫🐈⬛!」Flow 吹雪まんじゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
船酔い注意!!でも、その先に広がる圧倒的な映像詩!と猫🐈⬛!
まさか映画館で船酔いするなんて…(笑)「FLOW」はその名の通り、視点も世界も常に「流れて」いて、序盤の水中パートで私はしっかりやられてしまいました。とはいえ、その酔いすら作品の一部に感じられてしまうのが、本作の不思議な力。没入感が素晴らしい。
監督はギンツ・ジルバロディスで、前作「Away」と世界観が繋がっているようにも感じられました。まず人が出てこない。そして文明の痕跡。あと動物達。さらに言えば「死」を考えさせる描写があること。作風自体、観客に自由に考えさせる、感じさせるってスタンスが引き継がれてたと思います。
登場人物は人間ではなく動物達。猫、犬、カピバラ、鳥、キツネザル…。それぞれにキャラクターが宿っていて、でもあくまでリアルな挙動を保っているのが面白い。特に猫の描写は、私が飼っているのでよく分かるのですが、凄く観察されていて、目の動きや身体の反応に感心しました。あと、キツネザルの物への執着が妙に人間臭く、とても興味深いです。
本作最大の謎は、山頂での鳥の昇天と、あの巨大なクジラ(?)の存在。鳥はただ死んだわけではなさそうで、猫も途中まで一緒に浮かんでいたことを考えると、あれは別世界への扉が開いた瞬間なのか?と思ったり。友人の「生贄説」も面白いなーと思いました。鳥の昇天後に起きる急激な水位の変化は神の怒りが収まったことの暗喩なのか、それとも祝福だったのか…。
そしてクジラ。神のような絶対的な存在のように感じました。エンドクレジット後、再び水中を泳ぐ姿を見ると、この世界の象徴のようにも思えます。水位が上がってみんなが大変な時に悠然と泳ぎ、水位が下がると打ち上げられてヘロヘロになってるクジラ…。この対比は面白いと思いました。
音楽は前作に続き壮大で美しく、映像は前作を遥かに超える完成度。特に鳥の昇天シーン、水位が急落するシーンは息を呑むほどのクオリティでした。
「FLOW」の最大の魅力は、答えを提示しないことだと思います。 観る者に自由な解釈を委ね、感情と想像力を刺激する。それはこの監督の特色なのかも知れません。今後も要注目の監督さんですね。尚、名前は覚えられん(笑)
コメントありがとうございます
人といる時の犬たちはお利口だけど、目を離すと...
セリフがないから解釈はそれぞれだけど、なんとなく宗教感の違いもあるのかなと思いながら観ました。
共感ありがとうございます。
この作品はあまり考察したくないのですが、疑問点一つ。黒ネコはネコオブジェのクリエイターに飼われてた(モデルらしき描写も)と思うんですが、彫刻の木くずとかベッドとか変にきれいなんですよね。ぱっと思いついたのが、人類は大気圏外に全員一時的に逃れてるのか?というイメージでした。