「このバカイヌといわないで」Flow MARさんの映画レビュー(感想・評価)
このバカイヌといわないで
人がいない(嘗てはいた!?)世界にて大洪水が発生し、ボートに乗り込んだ黒猫があらゆる動物達と冒険に出かける物語。
終始、主猫公のクロネコが可愛いのは勿論のこと、途中で出逢う仲間達も個性が光っていて良い感じ。
物語としては、直接的な説明は無いものの、自然の厳しさや異族の触れ合いを前面に死生観を描いた作品といった所でしょうか。
人も動物も、災害の前には無力になるのは一緒ですね。哀しげに映る水面の表情はそれを悔いているようでもあり…。
対して、優雅に泳ぐ色とりどりの美しい魚達。誰かにとって生きやすい世界は、裏を返せば他の誰かにとっては生きにくい世界でもある。このクライマックスは…。
そして異族でも協力し合えること、同族だからこそうまくやれないこと…。人間の世界だけではないんだなぁ。
映画だから動物達が擬人的な行動をとったりもするが、それぞれの動物の特性がうまく描かれており、思わず笑みがこぼれてしまいそうになるほど。サルは常に振り回されている感じがしてちょっと気の毒でしたね(笑)
幻想的な映像美と動物達の癒しが溢れつつ、壮大なメッセージに包まれた良作だった。
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