劇場公開日 2025年3月14日

「「万物は流れ去っていく」ことを見事に見切った素晴らしい作品です。」Flow あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「万物は流れ去っていく」ことを見事に見切った素晴らしい作品です。

2025年3月16日
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鑑賞方法:映画館

人間は一人も登場しない洪水に覆われた世界の話ということだけは聞いていた。これはアポカリプスでもなくディストピアでもない。ましてやトランプが主張するように化石燃料を「掘って掘って掘りまくった」人類の未来を警告する話でもない。水は時として静かに、時として荒々しく、地上に満ち、そして時としてひいてもいく。人間はマリー・セレスト号の船員たちのようにひっそり姿を消している。建物や、装飾物や、そしてボートを残して。
動物たちは残っている。野生動物もペットも。この動物たちが、主役のネコをはじめとして、一隻のボートに乗り合わせて生き残ろうとする話である。そしてこの動物たちの動きの表現が素晴らしい。多分、タイトルの「flow」が示す通り、制作者たちはアニメーション技術を用いて、ものの流れ、動きを、美しくダイナミックに表現しようとしているのだろう。水の流れ込む動き、水が流れ出し木々が再び立ち上がる動き(ここが特に素晴らしい)、船が水上を滑るように走る動き、嵐の中で揉まれる動き。そして走る動物たち、彼らの仕草。お互いの感情の動き。
動物たちの擬人化は可能な限り抑えてある(終盤の皆でロープを引くところは少しあれっと思ったが)
何かで読んだのだが、この世界で時間に抗して万物の変化を抑え込んでいるのは人間がいるからだという。確かにコンクリートで護岸することにより水の流れは変わり、アスファルトで舗装することで草花の成長は止まる。
だから、この映画は人がいなくなることによって、時間の流れと万物の動きがシンクロした世界の姿を描いているともいえる。

あんちゃん
トミーさんのコメント
2025年3月16日

共感ありがとうございます。
人間たちの居なくなった時期がよく分からないのも狙いですかね。仕事跡は割と新しいのに、ネコやイヌに首輪は無くほぼ野生化してるみたい。カピバラやキツネザルが居るので南半球なんでしょうか。

トミー
トミーさんのコメント
2025年3月16日

乗って来たボートは壊れ、どこかの陸地に辿り着いた動物達、最後水面に映った自分を見る様子は希望、というより途方に暮れてる様に見えました。

トミー
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