劇場公開日 2025年3月14日

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「まさかカピバラに強く心を揺さぶられる日が来るとは思いもしませんでした」Flow よしてさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5まさかカピバラに強く心を揺さぶられる日が来るとは思いもしませんでした

2025年2月7日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ご縁があって試写会に招待いただきました。
人類がいなくなった後の世界を主人公の黒猫が冒険をする物語。旅の過程で様々な動物たちと出会って、別れて……。

動物たちしかいない世界のお話ですので、当然セリフはありません。『ロボット・ドリームズ』を思い起こす設定ですが、擬人化された動物ではなく、より生身の動物に近い設定で、多少のデフォルメこそありますが、動物たちは動物たちとして生きています。

各動物たちはCGのモデリングやテクスチャーはやや粗いものがあります。背景の描きこみや水や光の表現に比べると質感の差がはっきりとあり、一昔前のゲーム機のような印象も感じるものですが、それぞれのキャラクターの動きや感情表現などが高いクオリティで表現されているため、全く気になるものではありません。

好奇心旺盛な猫、馬鹿なのか利口なのかわからない犬、少し抜けてるキツネザル、自らの判断に絶対で孤高な鳥、そして何よりおっとりしてるようで慈悲深く存在感のあるカピバラ!!

彼らが人間のいない終わりゆく世界を旅する過程で、それぞれの役割をこなしていき、小さな共同体を作っていく過程で一人一人?が愛おしくなって感じられるのです。

前作『Away』は監督お一人で、本作もアニメ映画としては極めて低予算で作られていると聞いています。かつてアマチュアCGコンテストで新海誠さんの作品を見た時に感じた可能性-コンピュータの発展で作り手の情熱と才能があれば、素晴らしい映像作品を個人でも作れるということーの延長線上にこの作品があるのだと思い、とても感動しています。

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よして