「どうすればよかったか?と問われたら」どうすればよかったか? かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
どうすればよかったか?と問われたら
答えは聞くまでもありません。
異変に気づいた時点でちゃんとした病院へ行き、適切な治療をすればよかった。
ですが、この問いは、当事者である父親に向けたものだったよう。
息子(監督)の追求をはぐらかし続け、追い込まれると「そんなことをするとパパが死ぬ」と夫のせいにする母親の態度はただ腹立たしいし、最後に「どうすればよかったか」と聞かれた父は、「ママがどうしても認めたくなかったので云々」と妻に責任をなすりつける。そして、「自分は失敗したとは思っていない」と開き直る。
この家族の失敗の根源がさらけ出されている。
両親はふたりともかなりのインテリで医療関係者、娘が統合失調症であることを認めたくなかった、なので何十年も受診もさせなければ当然治療もしていない。
よくそんな気になれるもんです。虐待ではないのか。
我が子のことですよ、私だったら心配と不安で、引きずってでも受診させ適切な治療を受けさせますよ。
母が認知症になったことで両親が折れて、ようやく治療を開始した後、姉は少なくとも「人間」を取り戻していた。
もっと早くそうしていたら、姉は何十年もカオスの中で暮らさず人間らしく生きてこられたのに。
親自身も苦しんだだろうが、申し訳ないけど自業自得、自分たちのエゴで娘の人生を潰したことも多分認めたくない、反省することもないだろう。
両親は海外生活も経験したインテリらしく、両親はパパママ呼び、食事やイベントは凝った料理を食べシャンパンを飲んだり優雅なのが余計にこの両親の黒さを感じる。
会話が8割方聞き取れず、両親が何を言ったか正確にはわからない
字幕にするとか工夫はできなかったのだろうか。
こういう映画を撮ったことに、監督のスケベ心らしきものをちょっとだけ感じます。
今どきはまともな親ならもっと早く受診し治療を受けさせているはずなので、映画には、無知な人への啓蒙的な意義はあまりないと思う。
毒親を告発した映画のように感じました。