「ある家族、その道のり」どうすればよかったか? humさんの映画レビュー(感想・評価)
ある家族、その道のり
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片付けようとも頑固に崩れない山のように
はたからみれば茂みに迷い込んだような呪縛のなかで
自分たちを信じきり祈る両親を説得する手立てはなかった
頑なに閉ざされたその道を人の〝老い〟が自然に動かし始める
滞っていた秒針がようやく少し動きはじめた
しかし同時に、それが人生だといわんばかりに容赦ない現実も襲う
タイトルは家族としての監督自身からの長い間の自問にみえた
記録は正解を求めない自答であり、監督がこれからを生き抜く為に必要な「家族の存在の証」だったのではないだろうか
目をそらしたり晒さないままにもできたはずの壮絶な家庭の内側に、固執する両親なりの家族愛のかたち、息子としての親への疑問と恨み、ひと握りのある意味での尊敬、切なくもどかしい姉への思いが隙間なく映っている
そして私には、姉が弟にみせるおちゃめなvサインやおどけたポーズがせいいっぱいの〝ありがとう〟にみえて仕方なかった
だから監督は撮り続けることができたんだと、どこかで思いたいのかも知れない
別れの際の論文のシーンで永遠に消えない隔たりを感じて苦しさがこみあげた
修正済み
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