「亡くなった家族の想いを体験する」SPIRIT WORLD スピリットワールド minavoさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 亡くなった家族の想いを体験する

2025年11月8日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

意味不明なタイトル、ポスタービジュアル。予告もカトリーヌ・ドヌーブの役どころもよくわからず、ちょっとスピっとくか?くらいの気持ちで観に行ったら、席から立てないくらい泣かされた。

大傑作。

親の死というほとんどの人が経験することを、子どもを思う死んだ後の親を実体として寄り添わせ表現する。

子どもの立場なら、親が亡くなったあと、こんな時、親ならどう言ってくれるかな?とか、親の立場なら、自分が死んだ後、子どもが人生に苦しんでいるのをみたらどんな気持ちになるだろうと想像する。

この映画はそれを体験させてくれる。
そんなの泣くに決まってる。

他の方のレビューを読むと特に主人公のアルコールについての描写に不自然なイメージを持たれているようなのでちょっと追記します。

主人公は重度のアルコール摂取障害(こちらが正式な病名で、アルコール中毒、アルコール依存症というのは病名ではない)に間違いない。インスタントラーメンに酒を入れる、ウイスキーのボトルをがぶ飲みするなどでわかります。

アルコール摂取障害の怖さとして、お酒に対して耐性ができることがあります。つまり、酔いたくて酒を飲むのに酔わなくなる。酔わないから飲み過ぎる、ブラックアウトで意識をなくす、周囲への迷惑行為、自傷、指先の震え、通常時の思考低下と進行していきます。

ちなみに飲酒運転もモラルの問題ではなく、すでにアルコール摂取障害の方が起こすと考えています。アルコール耐性があるから、本人は酔ってない、酔いがさめたと思ってハンドルを握るのです。正体を失くすほど酔い潰れてたら、車にすら乗れないはずですから。

結果的にこの課題が、海での事故につながり、臨死体験により、すでにこの世にいないもの達の本当の気持ちを知ることになる。

後半の自分でウイスキーを捨てたり、でも飲んじゃう、周りからビールをすすめられて断れないなど、このあたりの描写はかなり意図的にインサートされており、本作の裏テーマとなっています。

minavo