Underground アンダーグラウンドのレビュー・感想・評価
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地下の闇と映画館の闇がつながる
小田香監督の撮るショットは凄みがある。作品を発表するごとに抽象表現に向かっているなと感じているのだけど、本作はそれをさらに推し進めている感じだ。今回はダンサーと組んでドキュメンタリーのようなインスタレーションの実験映像のような、とても不可思議な映像空間を作り上げている。
シャドウという存在が出てくるんだけど、それが何の化身かはよくわからない。しかし、彼女の目を通してみた世界の「驚き」みたいなものはスクリーンを通して如実に感じられる。世界の体験の仕方を変えてくれるような、そういう気分になる鑑賞体験だ。
映画館の暗闇と地下世界の暗闇が地続きになることで、フレームの喪失を感じてしまうような、非常に強い没入感を生み出すすごい映画だと思う。小田監督のショットはそうやって見る人を非常に深い深部にまで連れて行ってしまう凄みがある。よくわからないけど、もう一回見たくなる、というかもう一回体験したくなる。
難解な作品
監督がこだわりを持ってこの作品を作った事はよく伝わったが、自分には監督が何を伝えたいのかを読み取ることができなかった。
地下の洞窟や施設の映像、戦時中の語り手の声や地下鉄の音などの使い方など、撮り方には独特の魅力がある。
思想入り映像作品
地下世界三部作の完結編と監督がおっしゃっていたけれど、前2作はドキュメンタリーなので未観賞。
天然や人口の構造物や山や野原などをみせつつ、そこにただずむ人(人の姿を影)をみせていく。
沖縄戦で避難した人のことを語る語り部やガマの砂から採骨する人の後ろに佇むシャドウだったり、読経する坊さんの隣にいるシャドウ、劇場でダムの映像をみるシャドウ等々、Undergroundと言いつつも半分ぐらいは地下ではない感じだし、ドキュメンタリー的映像の中に残留思念か地縛霊的なものを放り込むことで、なんとなく訴えたいことはわかるようなわからないような…。
結構光にこだわったような演出もあったけれど、フィルム撮影のおかげで映像は粗く、映像美みたいなものはあまりなし。
物語的なものもないし、アーティスティックなものがみたい人向けの作品ということですね。
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