「おじさんに対して優しい世界がココにはあった」トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦 ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)
おじさんに対して優しい世界がココにはあった
香港映画をこれまで観てこなかった人、どちらかというと、
観るのを避けてきた人としての感想を言うなら、
1つは、あれだけ派手なアクションで闘って、
「人が死なないのが不思議」でしょうがなかった。
何回も、このダメージで死なないの?
と思う瞬間があり、だからこそいいんだよ、という声も当然ありそうで、
そういうスタンスで、楽しめば良かったのだろうが、
みんな強すぎて、私は引いてしまった。
特にラスボスは、化物級に死なない、ほぼ無敵状態のヤバい奴。
引くというか、客席から逃げたくなった。
それ以上に、なかなか倒れないのでイラついてしまった。
そして、強すぎるだけじゃなく、回復力も凄まじい。
もう1つは、香港のアクション俳優を、ほとんど知らない弊害なのかもしれないが、
「出演者が誰かしら知ってる人に似てる」のが、気になってしょうがなかった。
九龍城砦の棟梁みたいな床屋のマスターは、
文在寅前韓国大統領にそっくりだったし、
主人公を因縁のある奴の子供として、復讐しようとしてた白髪の爺さんは、
真島秀和にそっくりだったし、
ラスボスは、金子賢が香港に活躍の舞台を変えてやってるのかと、終盤まで疑っていた。
格闘技をやってた金子賢ならともかく、
文在寅や真島秀和がそんなに強いわけないだろと、
戦闘中に脳内でツッコミまくってたせいで、
頭が混乱し疲れてしまった。
なんだったら、主人公の貧乏おじさんは、知り合いのチンピラにそっくりだ。
サモハンキンポーは、流石に知っていたが、知っているだけに、
毎回なんでこんな、ヘンテコな体型のおじさんが、凄いアクションできるんだと、
容姿の造形に脳内のイメージが、追いついていかない。
アクションは凄かったし、九龍城砦の舞台設定の作りも凄かったが、
多分、本当の意味での凄さを、自分は何もわかっていない。
ジョン・ウィックの、ヘンテコアクションよりは凄いなぁという、
浅い感想しか出てこなかった。これはこれで、悲劇だ。
唯一、嬉しかったのは、
おじさんがみんな強くて引いたと同時に、
「おじさんたち、格好いいなぁ」と思えたところ。
常日頃、ダサくて、キモがられて、加齢臭を気にして、
なんかあったらすぐ、セクハラだのパワハラだのと、
言われる事にビクビクしながら生きなきゃならない、
この世知辛い世の中に、おじさんとして生息している私にとっては、
この作品の中に登場する、おじさんに対してとても優しい世界は、
最後の楽園のようで、嬉しかったのだ。
おじさんを元気づける映画、という事だけなら、
「バトルロワイアル」くらい、大人やおじさんに優しい世界かもしれない。
築地跡地に野球場を作るくらいなら、
築地におじさんの楽園として、九龍城砦を作ってほしいもんだ。