敵のレビュー・感想・評価
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途中からよく分からなくなった
前半は、高齢男性の一人暮らしの日常の表現が良かったです。
ルーティンは「PERFECT DAYS」と同様で、いいなと思いました。
セリフも面白くて、「健康診断は健康にしない」は明言でした。
よかったのはここまでで、後半は様相が変わってしまった。
現実なのか想像なのか、よく分からなくなりました。
鑑賞後にこちらの各レビューを拝見させていただいて、なるほどと振り返りましたが、単純にはよく分からなかった、残念、というのが感想です。
敵はいきなりやってくる
長塚京三さんのようになりたい。
長文のレビューが多いですね
良い作品だったが、
しばらく放置していたが、感想書くことにした。とはいえ、この映画については既にたくさんの激賞が届けられており、今更なにかを加えるのも蛇足のように思えてしまう。
ただ、その点こそが自分にとって本作に感じた言葉にならない引っかかりであり、多くの褒め言葉がなんだかこそばゆく感じられてしまう所以かと思われる。
確かに吉田大八の演出も、今どきにしては美しいモノクロームの映像も、長塚京三、瀧内公美、河合優実といった華麗な俳優陣の演技にも文句を言う筋合いはないのだが、個人的には「桐島、部活やめるってよ」の冴えた描写の方が優ってたように思うし、独りの孤独な老年を迎える男性の描写についてもヴェンダース「PERFECT DAYS」に軍配を挙げたい。
おそらくこの問題は、原作、筒井康隆の映像化困難に由来しているのだろう。原作は未読だが、筒井の作品世界についてはそれなりに読んできたつもりだ。
だけども、分散した出来事が、ラストに向けて収斂することなく、ある意味放置されたまま終わっていくのは嫌いではない。まあもう少し最期の長塚京三さんの感情が剥き出しになる瞬間があってもよかったかなとは思った。
犬の名はバルザック
仏文学の権威だった老爺が痴態を晒しまくるという身も蓋もない話。『文学部唯野教授』あたりを読んでもわかる通り、筒井康隆のアカデミズムに対する愛憎の強さにはやはり計り知れないものがある。そこが彼の文学の最大の糧というのが凄まじくもあり、同時に物悲しいが…
元大学教授の渡辺は妻に先立たれ、中野区弥生町の広大な一軒家で余生を送っている。一見して『PERFECT DAYS』のように小綺麗な彼の生活だったが、そこへ女という闖入者が次々現れることで歯車が狂っていく。
元教え子の鷹司や、行きつけのバーに出入りする立教大仏文学科生の菅井に対し、年甲斐もなく男として振る舞おうと奮闘する渡辺の姿は滑稽で悲惨だ。
鷹司のためにわざわざ海外のサイトから食品を購入するくだりや、バタイユを読む菅井が「大学で取り上げられるテクストはつまらない」と言ったのに対し「若いうちはそうかもね」と答えるくだりなどは老爺の気持ち悪さへの解像度が無駄に高くて笑ってしまった。
よく言えばラブコメのような日々はしかし、「敵」なるものの存在によっていよいよ妄想の次元へ突入する。「敵」が北からやってくる。曖昧模糊とした不安が渡辺の中で徐々に肥大化し、それと同期して現実の中に妄想が溶け出し、無際限に拡散していく。
後半のめくるめく夢の入れ子構造は今敏やデヴィッド・リンチを彷彿とさせる。だがしかしそれゆえに目新しさは感じない。現実を基準に開始された物語が現実を放棄し始めたら、我々には眼前のカオスにひたすら耐え続けるしかない。しかし耐え続けるに値する視覚的快楽がそこにあったかといえばそんなことはない。
たとえば遂に現れた「敵」が暗闇の中から渡辺に襲いかかるくだりでは、画面に躍動感を与えようとGoProを用いるという小手先の演出が取り入れられるわけだが、それまでのスタブルなフレーミングとの落差に落胆を覚えるだけだった。
本作は渡辺の死をもって終幕を迎える。ゆえに「敵」とは死のメタファーである、との解釈ができるだろう。とはいえそこをはっきり明言しないままエンドロールに突入できるのはさすが『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八だなと感じた。
現実的な非現実、 ザ・筒井ワールド
原作未読ですが、子供の頃SF小説にはまり筒井作品も読み、またドラマ化された作品もテレビで楽しみに見てました。
久しぶりの長塚京三の好演が話題になっていたことと、他の出演者も最近の売れっ子揃いで見る価値ありと鑑賞。
主人公はリタイアして悠々自適の生活だった筈が、少しずつおかしくなっていく感じで描かれていたけれど、本当は最初から既におかしくなっていたのか?とか、中島歩は従兄弟の息子なのか、死んだ祖父の亡霊なのか?本当は主人公の方が亡霊だった? とか終わってから様々想像して楽しむところ、実はSFっぽくまさに筒井ワールド。夢か現実かそのうち曖昧になっていく畳みかけが凄くて、恐怖が加速していく感じ。
老人の一人暮らし、という将来を考えた時、いつまでも1人で正気でいられるかはわからないのかも、なんて考えたりして。
真面目で律儀な現実味のある元フランス文学教授を演じきった長塚京三は昔と印象が全く変わらず美しい佇まい、見事な演技だった。
白黒の映像がストーリー展開や雰囲気に効果的で、しかも不思議と色が見えるような光の使い方で見事だった。
期待通りの作品でした。
こんなメールは来てほしくない
1 老フランス文学者の身に起きた不思議な出来事を描く。
2 規則正しい生活をしていた文学者。かつての教え子に慕われ、幾許かの仕事をこなし、一人暮らしを楽しんでいる。時折家に来る教え子の女子とは現役時代にはちょっとした関係を持ち、今は逢瀬のように食事を共にする。気持ちが若やぎ、よこしまな思いを抱くこともある。そんなとき、敵がやってくるとのメールが届く。以来、身の回りで不思議なことが起
き始める。不審な影が見え隠れしたかと思うと、死んだ妻が姿を現し絡んでくる。そして・・。
3 本作において、敵は何を意味するのか?について、観客に判断を任せている。素直に考えれば、学者は、死に近づいていたと思われる。夥しい血便をもたらす重篤な疾患に罹っていた恐れがあったこと、死んだ妻が学者に見え始めたのは死出の旅路へのお迎えの為であったこと、資金繰りの相談を受け、大金を渡したことで自身の生活資金が激減したことから想像できる。敵に関するメールで運命のテンカウントが鳴り始めたと考える。
4 陰影の濃い白黒の画面は、長塚の悠然とした演技や台詞を少なくしたことと相まって静謐さを感じ見ていて落ち着く。そうした中で、中途から学者の日常のやり取りの描写と非現実的で白昼夢のような描写が境目なく現れるのには面食らった。全体を通せば、本作において、吉田は筒井の現実と虚構がない交ぜになる小説世界の映画化にチョー真面目に取り組んだと思えた。
犬の名はバルザック★死という『敵』
公開からずいぶん時間が経ってしまった。
鑑賞後の映画見たぞ! という疲労感が心地よい
モノクロームの陰影と自然光が
皺や弛みをリアルに引き立てる
カメラマン 『四宮秀俊』 好きだ
主役の長身俳優。
この人の演技をスクリーンで
見たのははじめて
作り食べる
(料理を見ただけで
飯島奈美の仕事とわかる)
洗濯機の横でたたずむ
下半身裸の後ろ姿
走る
病院での検査の姿態
かと思えば 15歳男子のような
甘酸っぱい空気感を
醸し出してくる長塚京三
2人の女優との会話
そして
後半の亡くなった妻との会話が良い
最近見た 『しらないカノジョ』『ファーストキス』との
共通点も。
・子供のいない夫婦
・タイムリープ
・犬
比較も楽しい
迷惑メール、クリックした後の
パソコン画面が もう怖い怖い怖い
そうだ筒井康隆が原作だった
フランス文学や料理に詳しい人なら、
きっともっと楽しめただろうと
己の不勉強を恥じる
余計なBGMも少なく 音楽 効果も良い
(このレビューのBGM/千葉広樹のサントラ)
ラストシーンへの描き方も
賛否両論あるだろうが 私は好きだ
ラストの遺言に被せての
甥っ子(骨格・体型を主役に寄せてるのも良い)の佇まい。
古いアルバム。
双眼鏡のその先にいる人物
そう。
タイムリープだ
(ファーストキスの松たか子の螺旋のオブジェを思い出す)
そして皆 殺られて
誰もいなくなるのだ
死と言う『敵』に。
仏文学をこよなく愛する元文学部教授の加齢なる妄想と恋
2025年映画館鑑賞21作品目
3月2日(日)フォーラム東根
一般会員料金1500円
原作未読
原作は『時をかける少女』『ジャズ大名』『日本以外全部沈没』『パプリカ』『七瀬ふたたび』の筒井康隆
監督と脚本は『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』『クヒオ大佐』『桐島、部活やめるってよ』『美しい星』『騙し絵の牙』の吉田大八
なぜかモノクロ
一人暮らしの元大学教授の夏から冬にかけての平凡な日常と妄想または夢
敵は我に有り
『失われた時を求めて』
シュール
多少難解
恋する夢精
どこまで現実でどこまで妄想か
それとも全てが妄想か
ラストも?
敵とは北朝鮮らしいがそれもまた妄想
無意味に近いエロと井戸の登場で村上春樹を連想した
唯野未歩子の登場シーンが好き
面白かった
配役
妻を亡くし古民家に一人暮らしをしている77歳の元大学教授の渡辺儀助に長塚京三
儀助の教え子で離婚を考えている人妻で雑誌編集者の鷹司靖子に瀧内公美
行きつけのバーのマスターの姪っ子で父の会社の経営が苦しく学費を払えず儀助に支援される大学生の菅井歩美に河合優実
儀助の亡き妻の渡辺信子に黒沢あすか
儀助の親族の渡辺槙男に中島歩
儀助の教え子で小道具屋を営む傍ら儀助の自宅の庭にある古井戸を掘る樺島光則に松尾諭
儀助の教え子でロゴのデザイナーの湯島定一に松尾貴史
儀助がフランス文学のエッセイを連載していた旅行雑誌の編集者の望月に高橋洋
望月と同じ出版社の新しい担当者の犬丸健悟にカトウシンスケ
犬を連れて散歩中の女性に高畑遊
儀助の隣人で自宅の前に落ちている犬の糞におかんむりの老人に二瓶鮫一
医師に戸田昌宏
女医に唯野未歩子
司法書士に桜井聖
この先の人生を思った
ちょっと大袈裟だけど21世紀の「野いちご」
60歳すぎて、あまりストイックに生きるのも考えものだ!
後半は、主人公の悪夢なのか、認知症なのか、統合失調なのか不明。だだあまり真面目に生きるのも、その反動で前記の兆候が現れるのかなあ~。老人は気楽に生きないと行き詰まるかもしれないと思いました。
しかし瀧内久美が美しい!
新鮮味があるモノクロ映像
筒井康隆の同名小説を実写映画化したヒューマンドラマ。モノクロで描いている映像が非常に美しく独自の世界観に引き込まれました。淡々とした日常生活で一見面白みの無いような展開ですが「敵」が現れる恐怖を絶妙に描いています。
2025-29
なんだか良くワカリマセン
認知機能不全症一歩手前の高齢者が、孤独死までの晩年の日常生活と
幻想を映像化したドキュメントテイストなドラマ、で合っているのかなあ?
それを見たからって何て事もないわけで、怖い夢を見たので映像もホラーに
なったり、サスペンスになったり、セクシービデオになったり、でも非現実だよね。
で、最後どうなるのか、一応期待して待ってましたが、これがもう???なんです。
ラストシーンのあの一瞬に見えたのは誰だったのか? 死んだ筈の誰か?
そして、エンドタイトルの終わりで音楽がフェードアウトする中、聞こえてくる
生活音(水廻り、台所?)は何の意味があるのか???
これは、観客各々が勝手に想像するしかないのでしょうか?
こういうハッキリしない作品は嫌いなんですよ・・
長塚さんのファンなので期待しましたが、原作を知らないのが裏目に出て
理解できずに終わりました・・( 一一)
仕方が無いので、原作を買って読む事にします・・
時間をおいてまた鑑賞したい映画
これは観るときの年齢によって解釈が大きく変わりそうな作品。
カメラは通常客観的な視点で映すが、この映画に映し出される映像は主人公の主観。夢を白黒で見る人がいると聞くが、これはそんな主人公が見た夢(混濁した意識?)なのかしらとも思えた。
Xデーを決めて生きる主人公。しかし普通の人間に、日めくりの様に薄くなっていく自分の人生を見つめながら冷静に生きられるものだろうか。もし出来たとして、不用意に大金を失い大幅にXデーが前倒しになるような事態を受け入れられるだろうか。
そんな事を考えていると、Xデーを決めるという行為自体に生への執着を感じる。そして、それが性への執着とも重なる所に妙な納得感がある。
本音と建前、認知と非認知、客観と主観のギャップ、時間による変化。様々なことから生まれた矛盾に責め立てられる。その姿はセクハラという言葉の広がりに恐怖した当時の男達の姿を思い出させる。
そんなドタバタの末に主人公が口にした「春が来たら皆に会いたい」と言う一言。これがパンドラの箱から最後に出た希望の様に感じたのは楽天的すぎるだろうか。
それにしても、自分で作った自分らしさという体裁の中で悶えた男の遺言が何とも押し付けがましい内容だったところに、人というものの度し難い独善性が現れているようにも思えた。
…
焼鳥とハムエッグがとても美味しそうに見えた。お蕎麦、胡麻はすり鉢であてるが山葵はチューブを使うところに、生活臭のあるリアリティを感じた。
…
最後、遺言を開封した後のシーンはどう言うことなのか、残念ながら自分には理解が追いつかなかった。
全258件中、21~40件目を表示







