劇場公開日 2025年1月17日

敵のレビュー・感想・評価

全257件中、121~140件目を表示

5.0老人映画の傑作

2025年1月23日
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鑑賞方法:映画館

この映画の素晴らしさは他の方が語ってらっしゃるとおりだと思います。
夢精して白いじじ臭いパンツを洗うとこが…悲しい

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Ferma

ジイサンの心臓には毒

2025年1月23日
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 仏文教授の職を辞し、妻に先立たれて一人で暮らす男に忍び寄る「老い」を少し可笑しなホラーの様に描く筒井康隆さん原作の物語です。清濁も、高尚さもスケベな下心も、下らぬ妄想も現実も、冴えたモノクロ映像で目が離せない不思議な静謐さと共に描かれます。それだけに、正体不明の「敵」と思われる存在の映像が終盤に現れたのは残念でした。何なのか分からぬままで静かに終わってよかったのではないかな。それにしても、瀧内公美さんの艶っぽい眼差しは還暦過ぎたジイサンの心臓には毒だわぁ。

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La Strada

3.5タイトルなし(ネタバレ)

2025年1月23日
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りゃんひさ

5.0教養も、礼儀作法も、下ネタも、人のおちょくり方も、全て、筒井康隆から学んだ。

2025年1月23日
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病人28号

2.0教授は何回も寝る、私も何回も寝た。話が難解で寝る

2025年1月23日
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教授が寝すぎで幻想が多すぎて意味が分からなかった。
オチが夢、幻想だったという短絡的な映画が私は嫌いです。
お客さん多数寝ているじゃないか。

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チャーリー

4.0一人の人間を覗き見るような

2025年1月23日
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前半と後半の空気の対比が面白かったです。

前半は、「PERFECT DAYS」を思わせるように淡々と空気が流れていきました。それは私にとっての将来の過ごし方の理想でした。最低限の消費、関わりとしながら、食にはこだわり、会いたい人には会える、そんな毎日。

一点して後半は、突然あらわれた、夢と現実を交錯させる「敵」に静かに怯える毎日に変容しました。何となくそんな敵が来訪することも許容しながら(どちらかというと待ち望んでいたか)生活していたはずなのに、実際に訪れると慄いてしまう、そんな現実、そんな「恥ずかしくて面白い」人間というものを、冷静に見せつけられた気がします。

作品の世界観自体がフランス文学のようでしたし、映像も日本でないどこかを思わせてくれました。

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Eiji

4.0マズローの欲求五段階説

2025年1月22日
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丁寧にと言えば聞こえは良いが、他者の意見を受け入れない自分のルールでガチガチの独居老人の崩壊の要素をマズローの欲求五段階説から観察したい。

生理的欲求:生存のための基本的な欲求で、食欲や睡眠、呼吸、性、苦痛回避など
→前半では飯テロの如く旨そうな調理シーン、朝は目覚ましもなくベッドで6時ちょうどに起き、健康診断に行かないという苦痛回避。かつての教え子に感じる色香に陽気になる程度の理性をたもつ。
これが、カップ麺あんパン、酒と血便で壊される睡眠と健康。通院による苦痛。生徒への内的理性の崩壊。

安全の欲求:心身の安全性を確保したいという欲求で、健康や経済的安定性、社会福祉など
→月間の収支から貯金がそこつく日を計算することで、経済的な安定、入院等の健康寿命問題からの解放、死する恐怖のコントロールを図る。しかし女学生への援助により切り上がるXデー。

社会的欲求:集団に所属したい、仲間を得たいという欲求。家族や友人関係、企業などの組織などが含まれる。
→配偶者の死も乗り越え、行きつけのバーで会う友人との会話もある。そこから、友人は死に
妻への後悔が噴出。

承認欲求:仲間に自分の実力を認められたいという欲求
→教授として尊敬され、講演をし、連載をもち対価をもらう。バーであった女の子には権威を認められた上で尊敬される。そもそも家を守っている。という状態から、講演依頼はなくなり、連載は打ちきり、渾身のフレンチを振る舞う人もいなくなる

自己実現の欲求:最終的に自己実現に至るという欲求
→自分のルール中で尊厳をたもったまま死んでいく予定であった主人公が、あらゆる崩壊により認知する世界が歪んでいく。

これらの欲求とその裏返しの恐怖がこの作品の根底に流れる。時には虚構に欲望が見えることもあれば、恐怖(敵)が現れる。はたまた時には、現実に欲求を過剰に刺激するものがあれば現実に絶望する。

この虚実の入り乱れを、吉田大八監督によって見事に描く。
そんな崩壊した主人公が納屋という子宮で空襲を聞きながら飛び出し敵と向き合うラストも秀逸であった。

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さいてょ

4.0内なる敵

2025年1月22日
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2024年度の東京国際映画祭でグランプリを受賞した本作。正直、同映画祭のことは国際映画祭とは名ばかりのショボイ邦画宣伝会程度にしか思っていなかったが、あまりのこの「敵」という映画の素晴らしさに、映画祭の評価も上昇してしまった。これは本当に取るべくしてグランプリを取った映画だ。

冒頭、フィックスのカットを繋ぎ合わせて、主人公渡辺とその邸宅が詳らかに語られていく。どこにでもあるように見えて、そこしかカメラ位置は無かったのだと思わせるようなカットを、そこで切るしか無かったのだろうと思わせる編集に、いかにも邦画らしい心地良さを感じる。映画の文法を熟知している者が目論んだ、圧倒的なオープニングである。
それから物語は進むことも留まることも無く、渡辺の生活の記録の間に、迷惑メールや井戸や犬のフンなど幾つかのエピソード
を交え、それらが絡み合うことも互いに拒絶することも無く、確かな日々を映し出していく。
そこに2人の女性が介入してくることで、映画が動き出す。
2人の女性はそれぞれ違うベクトルで渡辺の人生に変化をもたらす。それが渡辺に「敵」を意識させるキッカケになる。

「敵」とは結局何なのかは、見る人によって感じ方が全く違って来るだろう。映画の終盤で敵は、思った以上に具体的な姿と、確かな敵意を持って襲って来るが、渡辺が劇中で自覚していたように、それが現実のものでは無いことも間違いない。
そのように具体的に顕現させてしまうに至ったのは、劇中で丁寧に描かれる渡辺の内にある様々な感情。そしてそれ自身が渡辺の生活に対する「敵」ということな気がしている。

思ったが、映画を1回見たくらいじゃ「こんな映画だった!」というような映画の全体は全くもって語れない!

(随時加筆予定)

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スライム

3.0「敵」が現れると???

2025年1月22日
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洋一

4.5迫り来る敵

2025年1月22日
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悲しい

知的

幸せ

吉田大八監督最新作。
この言葉だけで生きる意味が見い出せる。そのくらい好きな監督。とは言っても「騙し絵の牙」しか見たことがなく、好きを語るにはあまりに浅はかな新参者なんだけど、あの作品で受けた衝撃は相当なもので、見事すぎる原作改変が4年前の映画にも関わらず未だに頭から離れない。

本作「敵」は情報解禁されてから鑑賞に至るまで、キャストやモノクロ映像であることを除いて、内容に関することはほとんど取り入れず、更には予告も見ずで劇場へと足を運んだ。というのも、「騙し絵の牙」では予告からの想像と大きくかけ離れた作品であったことから面を食らってしまい、初見では思うように楽しめなかったという経験があったから。予告は出来ることなら見るものじゃない。あの作品からの教訓です。

上映館が少ないため、遠方まで赴き遥々鑑賞してきたのだけど、今回も吉田大八節全開のホントにホントに素晴らしい映画だった。しばらく席を立てないほどの衝撃とスタンディングオベーションを送りたくなる感動。いやいや、とんでもないな...。
東京国際映画祭で19年振りに日本映画がグランプリに輝いたのも納得の出来。なぜ上映館が少ないのか。なぜこの映画が100館に遠く届かず、「ロード・オブ・ザ・リング ローハンの戦い」が300館を超えていたのか(言わないであげて)。Filmarksでは話題の映画として常に上位になっているとはいえ、劇場の入りが少ないのはなんとも悲しい。この傑作を映画館で見らずしてなにを見る!

もう何から賞賛すればいいのか...。
まずポスターを見てもわかる通り、本作は全篇モノクロ映像。近年の日本映画でモノクロームと言えば「せかいのおきく」が記憶に新しいが、あの作品とは違い、舞台設定はMacBookも悪質な迷惑メールも存在する、我々が今生きる現代。それじゃあなんでこの技法が使われているのか。
物語はなんとも美味しそうな朝ごはんから始まる。77歳男性の一人暮らしとは思えない、生活の質の高さ。白黒なのにお腹が空いてくる。これ、色があっては意味が無いのではとも思えてくる。たった2色で構成されているからこそ感受性が豊かになるし、自然と心も満たされていく。質素な絵に抱く、鮮やかな感情。まさに、主人公・渡辺儀助の生き方そのもの。

この例え、あまりにしすぎているから言葉にするのは気が引けるけど、本作こそ「PERFECT DAYS」と最も近しく、むしろあの作品の先を行く「PERFECT DAYS2」のように思える。ただ、あの映画は時間をたっぷりと使って生きる幸せを噛み締める主人公の話だったが、本作では残された時間を考えながら近付いてくる死に立ち向かっていく主人公の話で、近しくも遠いテーマ性だった。比較するとかなり面白い。
あれもこれも、同様に現代人の生活を問うような話だけど、2人の考え方はまるで違うように感じる。喜びを感じる瞬間は似ているけど、そうする理由は異なる。1年と少し前は平山の生き方に感銘を受けたが、渡辺の考え方にも共感を覚える。

『健康診断は人間を健康にしないよ』
『残高に見合わない長生きは悲惨だから』
『君もあと何年生きれるか計算してみるといい。不思議と、生活にハリが出るから。』
これらの言葉が凄まじく強く、胸を打った。自分の考え方を彼が声高らかに代弁してくれたようだった。馬鹿げているかと思われるかもしれないが、私も彼と同様に病院をできるだけ生活から遠ざけている。それは決して診察が注射が場所が嫌なのではなく、定められた命を無理矢理延ばすという行為が到底理解できないから。人間いずれかボロが出る。綻んでいく。一時的なものはまだしも、長期的な治療はそれを否定する行為だと感じてしまう。
ただこれも、愛する人となるとそうはいかないもので。大好きな人はずっと長く生きて欲しいし、健康でいて欲しい。それもまたエゴなのだろう。1人が悲しいという嘆きなんだろう。妻に先立たれて立派な日本家屋に1人で生活する渡辺を見ていると、羨ましくもなんだか未来の自分を見ているようで寂しくもなった。

渡辺儀助という1人の男が生活するだけの108分間。日常の中にカメラがある、そんな映画であるため、彼の登場しないシーンは無いと言っていいほどなのだけど、永遠と魅せ続けられてしまう。
長塚京三。77歳にしてこのカッコ良さ。「お終活 再春!人生ラプソディ」での色気も半端じゃなかったが、今回はもっとすごい。主人公の生き方を真似するかは別として、長塚京三のピシッとした姿勢や佇まい、そして心の余裕を感じさせる話し方は是非とも私生活に取り入れていきたい。こんな老人になりたい。いや、老人というにはカッコよすぎる。
この映画の鑑賞を迷っている人はYouTubeで日本外国特派員協会特派員協会 記者会見の動画を見て頂きたい。彼の魅力を知ってしまうはず。本気で惚れてしまうんだよなぁ...。

この「敵」というタイトルが鑑賞後じわじわと効いてくる。なんて秀逸なんだ。一体全体、私はどうしたらいいのか。《敵》にどう立ち向かっていけばいいのか。この〈敵〉の正体はなんなのか、それは作中で明言されているわけではなく、見る人の捉え方次第といったところ。
味方が敵へと変わる瞬間。その敵が自身を襲いかかる時。誰も何も待ってくれない。ただ、それはひたすら自分に迫ってくる。生きとし生けるものが逃れることの出来ない恐怖。これまで客観的に映し出された主人公が、急に一人称視点として主観的に映し出された時、これは彼の物語ではなくみんなの物語なんだと恐ろしくなる。構成の妙。季節の移り変わりもゾッとする。

長々と語ってしまったが、正直まだ足りないくらい。それほどこの映画は底知れず、一生かけて読み解きたくなる、かつてない面白さがある。見る読書とでも言おうか。1本の映画にしては満足度の高すぎる、噛みごたえのありすぎる作品だった。
ここで点数をあげすぎちゃうとここからの楽しみが薄れてしまう気がするのでこの辺で。また必ず会いに行きます。面白すぎて無心で映画館を出たもんだから、パンフレット買うの忘れてたじゃないか。

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サプライズ

3.0一億総、長塚京三、の世か。だからホラー。

2025年1月22日
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死と生の境目が無い「生きる」系ホラー。
老い故の認知混沌の先に
性愛、暴力、被虐、自死の甘美な衝動。
そこに経済不安、健康不安、夢を阻む亡き妻が。
まんざらでもないかの瀧内河合を夢想する老人に
私も成るか?成るだろう。
気を揉む近親者不在が怖さの味噌。
一億総長塚京三の世か。
支持。

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きねまっきい

3.5文学より書院

2025年1月22日
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笑える

悲しい

難しい

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uz

現実か妄想か

2025年1月22日
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悲しい

怖い

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ゆな

4.0長塚京三さんありての力作。

2025年1月22日
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前情報なしで鑑賞。

渡辺儀助氏の毎日のルーティンが良い。
退屈そうにさせていないのが
この役を演じた長塚京三さんの力感のないリアルな
演技力なのだろう。
渡邊儀助(77歳)はフランス文学の元教授、長塚京三さん(79歳)はパリ大学卒業で、偶然なのか?これ以上ない配役であり驚かされた。
老人特有の何ともおぼつかない言葉のやり取りや仕草。でも食卓テーブルの上はフランス仕込みなのか上品な香りがしたからその辺のバランスが良かった。
そして後半に「敵」が現れる。
それは自らの死に対する、或いは老いと孤独に対する恐怖心なのか? 亡くなった妻の言葉に対する反抗心なのか?夢また夢、妄想また妄想。
色々な交錯した心情が痛いほど伝わってきて、でもそれは重くはなく切々と伝わってきてクスッと笑ってしまった。
菅井歩美役の河合優実さんも良かった。
儀助と歩美のBARでの会話は本当に元大学教授と現役学生のそれだった。

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オット

5.0現代設定なのに昭和の敵が襲ってくる不条理劇が面白い

2025年1月22日
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楽しい

知的

 妙にコントラストの強いモノクロ画面に高齢者の一人暮らしが精緻に描かれるうちに、突然異様な光景が挿入され、次第にその頻度が増し、何が現実で何が妄想なのか混然となる不条理劇でしょうね。ちょっとベルイマンの初期作品を思い出す、リアルなのにリアルじゃない、境界線を漂う不思議な感覚が、逆に心地よくもあり実に面白く鑑賞しました。

 長塚京三扮する元大学教授でフランス演劇史の権威だった男、妻には遥か20年も前に先立たれ、それでも講演依頼やら原稿書きで収入もある優雅な1人暮らし。立派な庭付の日本家屋(Netflixの傑作「阿修羅のごとく」の家とそっくり!)に品のある調度品に囲まれ、見事な手さばきで料理もこなす毎日のルーティーンが微に入り細に入り描写される。モノクロなのに舌なめずりしたくなる程のシズル感が画面と音から溢れる。預金も漸減とは言うけれど、金の心配もせず、たまには洒落たバーにも通い、程々の社会とのコンタクトもある暮らしぶりは羨望でもある。

 孤独を感じさせない秘密が徐々に展開される。出版関係での旧友続くグラフィックデザイナー、かつての教え子の女、バーで知り合った女子大生、後継者とも言えるまだ若い准教授、出版社からの新米編集者、そしていよいよ姿を現す亡くなった女房まで、結構賑やかなのです。ことにも瀧内公美扮する教え子には心浮くのが抑えきれない若さを歳に遠慮なく表現する。瀧内は前述の「阿修羅のごとく」でもそうですが、そこに佇むだけで色香がダダ漏れなのが雄弁で、そんな彼女の口から、「終電がなくなってしまうわ」とか「近々夫と離婚します」なんてセリフを聞かされれば浮足立つのもむべなるかな。

 一方で、今や飛ぶ鳥を落とす勢いの河合優実扮する文学に対し真摯な女子大生に余計なお節介まで突き進んでしまう。もっともこれには手痛いしっぺ返しをくらうのですが、折角の河合優実なんですから、後になって「実は・・」なんて再登場するものと思ってましたよ。普通ならそう描くでしょうけれど、本作ではそう描かない所がポイントかも知れない。こうして徐々に周囲の人物が入り組んでゆく過程で、リアルを逸脱する作劇が素晴らしい。

 血便に慌てた病院で恐ろしい診察を受けたり、旧友が唐突に死んだり、無遠慮な編集者が押しかけたりと妄想が拡張してくる。クールな1人暮らしを気取ってはいるけれど、いずれ訪れるであろう死への恐怖がそうさせる。教え子に体を重ねる妄想の裏で、妻に叱責されるのもまた妄想で。極めつけは「北」からの侵略でしょう、なにも北朝鮮とも中国ともロシアとも言ってません。が、家の中にまで押し寄せるゾンビ如くの群れは確かに恐ろしい。そもそも早々に登場する隣家に放置された犬の糞とて敵であったわけで。原作ありきの映画化ですが、この辺りの映像化は難しかったのではないでしょうか、それを見事に観客に疑念を持たせずに曖昧なまま提示出来たのが圧巻です。

 なにより主演の長塚京三が素晴らしい。インテリで、落ち着き払った物腰で、なのに奥底に秘めた欲望と恐怖と真正面から取り組む知性。同世代の名優はいくらでもいるけれど、常識と言う鎧を纏った自然体を思い浮かべれば彼しかいないのかもしれない。チラッと喋るフランス語の発音を聞くだけで、私なんぞ平伏すしかありませんから。

 現代の設定で、MacのPCが鎮座しレーザープリンターがスペースを食う書斎を除けば、殆ど昭和の雰囲気と言うか彼の生きた昭和が匂い立つ。お中元とかで頂き物の石鹸が溜りにたまって放出する。エメロン石鹸って今はもうないはず、ですが石鹸の香りってのがポイントでしょう。庭の井戸の存在感も凄いわけで、「貞子」で出て来やしないか心配してました。遂にXデーが到達し、子供もいないせいで、従弟の子供に遺産が受け継がれることに。ここでまた中島歩が登場し、いよいよもって前述の「阿修羅のごとく」と意識が被って来る。でもそれもまた味わい深いのですよ、美人4姉妹からは馬鹿にされそうですが。

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クニオ

4.5人生の客たち

2025年1月22日
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hum

4.0老人の日常を見ているだけなのに、なぜか退屈しない不思議な映画でした。

2025年1月22日
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老人の日常を見ているだけなのに、なぜか退屈しない不思議な映画でした。

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blue

5.0バルザック!

2025年1月22日
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ただならぬ緊張感。吉田大八監督、前作はイマイチでしたが、今作は拍手喝采です。このような作家性の高い作品がどんどん生まれ、国内外で高く評価されることを強く望みます。
平日の昼間とあって、映画館は長塚京三さん世代で8割方埋まっていたのですが、上映中は「ガサゴソ、ピカピカ、ブルブル」と賑やかで、図らずも「老い」というテーマをよりリアルに感じてしまいました(笑)。
それにしても、瀧内公美さんのエロさはモノクロだとさらに際立ちますね。京三先生の気持ちが解ってしまう自分は既に老人なのかも知れません。

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ハチ

4.0長塚京三の所作を観る。それだけでも僥倖

2025年1月22日
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役所広司でも堤真一でも中井貴一でもない。
日本にはこういうかけがえのない役者が居るのだ、と心から思った作品。

蛇足だが。
こんなビッグな役者と軽やかにやり取りする河合優実の存在感はやはりハンパない。

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LukeRacewalker