敵のレビュー・感想・評価
全107件中、101~107件目を表示
主人公は認知症ではない。空想の世界に没入しているのである。
試写会にて鑑賞。
ずっと観たかった作品を鑑賞することができました。
主演の長塚京三さんの表現力に魅せられながら
後半にかけて「敵」 に対する恐怖が増していく描写に
引き込まれました。
モノクロ映像の奥深さに終始没頭です。
自我が強い主人公が欲に負けるとき
リアリティを感じました。
生きるために必要な毎日の食事、使う言葉、
夢と現実の線引きがない曖昧さ。
「老い」というテーマをこれほどまでに
深掘りしている作品はなかなかないです。
原作を読みたくなりました。
吉田監督と小澤プロデューサーの対談、
観客からの質疑応答を
たくさん聞くことができて
貴重な時間を過ごせました。
本日はありがとうございました。
徹底した妄想?夢?幻?幽霊!?
どうする?
「敵」とは何か?受け入れ・割り切っているつもりでも、そう簡単には割り切れない「死」(や老い)。それは備えてもゆっくりは来ないで、突然やってくる。
本人曰くXデー"最期"を意識することでハリの出た、淡々と規則正しく過ごす日々を彩る食事シーンの数々がどれも美味しそうで、見ているこちらまで食欲をそそられる。モノクロだけど、まさかの飯テロ映画だった。自炊モチベーション上がる!自分もこんな丁寧な暮らしが送れるようになりたい。
そうした日々が、「敵」の存在によって徐々に狂い始めていく…それは北(上)からやってくる。「敵」の存在が示され、作品が進むほどに、夢のパート(とも言い切れない?)が長くなっていき、また現実との線引きもどこからどこまでか曖昧になっていくのが印象的だった。
儀助=長塚京三さん。まさしくハマり役とはこのこと。パリというバックグラウンド含めてご本人とよくマッチした役柄を、前半はごくごく自然体に(見えるような演技で)、物語が進んでいくにつれ感情の起伏や無意識的に自制の行き届かない部分で際立った -- 故に観客から見れば間抜けで滑稽な -- キャラクター描写を演じている。シュッとしたスマートさとコミカルな無様さ、そのバランスがよかった。
自分を律することで無意識にでも少し悦に入る、そうした説教口調や知らず知らずに出てしまう上から目線など、脇の甘さに起因するアレやコレやの手痛いしっぺ返しもそこそこに、密かな慾望を抱えていた魅力的で妖艶な教え子にも翻弄される始末。妻との永遠の愛を誓った自らへの自戒も含め、遠目に見れば「目(瞳)」のようにポスタービジュアル然り"壁に耳あり障子に目あり"な人生か。
吉田大八監督らしさはありながら、その苦手さよりも今回は好み・面白さが勝った。無論モノクロ撮影も、題材に対して必然性のような力強さを感じて、作品によくハマっていた。笑いのセンスもGOOD◎
監督参考作品『ア・ゴースト・ストーリー A GHOST STORY』『ツイン・ピークス:リミテッド・イベント・シリーズ The Return』
勝手に関連作品『PERFECT DAYS』
P.S.『雨の中の慾情』にしても、今年は難解な"夢か現か映画"が日本映画のトレンド?とは言っても本作のほうが格段に素直に楽しめる。
モノクロだけど飯テロ映画
観ていて単刀直入に思ったのは、モノクロでも立派に飯テロ映画になるという事。色がついてないのに、出てくる料理全てが美味しそうに見えてしまう。
その料理を作る75歳の独居老人男性が、「敵がやって来る」というメールを受けた事で、よからぬ事態に巻き込まれていく…というか現実と妄想の狭間を行ったり来たりする。筒井康隆の原作は未読だが、こういう展開はいかにも彼の作品らしい。
若い女性に抱く淡い期待(a.k.a.アバンチュール)という男ならではの悲しい性(さが)を、長塚京三が巧みに演じる。瀧内公美と河合優実の『由宇子の天秤』コンビも黒沢あすかも実に艶めかしい。
妄想描写のしつこさは途中からかったるく感じたし、一見ではオチがよく分からなかったのがマイナスだけど、想像力を掻き立てる効果があるモノクロ作品の良さを再認識できたのは大きい。試写劇場にはTIFF審査委員長のトニー・レオンもいたが、はたしてどう評価するのだろうか。
―――――――――――――――――
11/6追記:…と思ったら見事にグランプリを含めて3冠達成!確かに観る事ができたコンペティション作品の中では一番面白かったし、まぁ納得です。
筒井康隆ワールド全開😹
全107件中、101~107件目を表示