敵のレビュー・感想・評価
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虚の中のリアリティ
夢なのか妄想なのか現実なのか不確かな事象がスクリーンで起きる事自体を楽しむ映画なのかと思うが、終盤は全てが夢か妄想にしか見えなくて(実際そうなんだろうけど)割とどうでも良くなってしまった。
ギリ現実なのかもと思わせる描写があれば感じ方は違ったのかもしれないが。
映画や小説が全て虚なのは当然だが、虚の中のリアルのバランスとして自分はこの作品は上手く受け止められないと感じた。
丁寧な日常を丁寧に描写している序盤や、心の状態が日常の行動に波及している終盤の描写とかは好きです。
彼の様に地位も名誉も手にした人間でさえ、その地位と名誉の源泉から離れてしまった後の姿の描写として身につまされるリアリティがある。人間は一定以上自己のアイデンティティを外部に依存せざるを得ないが、依存の程度や強い場合や依存先が少ない場合の危うさについては老後に限らず意識しなくてはならない。
原作未読なので映画単体としての評価です。
良い映画、でも楽しい気持ちにはならなかった
この映画の“敵”とは
・大学教授としてのプライド
・プライドゆえに素直に振る舞えないストレス
・ちゃんとした生活を送らなきゃという自分へのプレッシャー
・本当はどう思ってるか分からない他者の気持ち
・出来なかった事への罪悪感(妻とパリに行く)
・管理が難しかったり手に負えない家
・若い女たちへの下心、教え子が尋ねてくる妄想への罪悪感、
それを隠したいけど隠すのは苦しい気持ち
・老いへの不安と、それに重なる連載打ち切り、新しい編集者(若者)への恐怖心
・詐欺メールが来る屈辱感
・健康への不安
・世の中からの孤立、寂しさ
などなど
妻の死後20年かけてジワジワと主人公のなかに溜め込まれた“敵”に
最後は自らが潰されてしまったように見えた。
ただ主人公が“敵”と思っているものは実際に悪い事をする者でなく、
主人公の内面の中で“敵”と認識してしまっているだけに見える所が気になった。
人間は、考え方や向き合い方次第で、敵でないものも敵と認識して心をすり減らして肉体的にもダメージを負ってしまう。
それはとても怖い事だけど、考え方次第ではその逆もあり得るというのは救いでもある。
舞台となる家に主人公が閉じ込められている感じも、主人公が“自分の認識”から身動きが取れなくなっているのを象徴している様にも感じた。
最後の主人公の幽霊のようなものはよく分からなかったけど、
最後まであの家=自分の頭の中に閉じ込められたままだった主人公の様になるなよ、
というこれからあの家に住む者と、観客へのへの警告の様にも感じた。
この映画から学ぶなら
気楽さやテキトーさも大事!という事なのかな。
一人の俗物を襲う「老醜」と「死」
仏教で説く「四苦八苦」の四苦は生・老・病・死を指す。老と死は一続きではない。老いることは苦しみであり、そして死は別に存在する。この映画は老と死を峻別して別々にみせているところに際立った個性がある。
主人公渡辺儀助は大学教授だったがすでに引退し妻にも先立たれた。古い日本家屋で暮らし、身の回りのことはキチンとこなす。食べることにこだわりがあり、凝ったものはつくらないが飯を炊き、肉や魚を焼くなどして菜をつくり食事を楽しんでいる。講演の謝礼は10万円と決めており(安売りはしない)貯金が尽きたときは自裁すると公言している。
要するに自律的、スタイルスティックな生活をおくっているわけだが、翻っていうとこれは老醜を恐れているからに他ならない。ありのままの自分を受け入れられないという意味で俗物であろう。
だが年月は人を老いさせていく。顔の張りはなくなり、身体はたるみ、加齢臭が漂うようになる。
そして儀助を取り巻く女たち。教え子の旅行雑誌編集者は時として儀助を訪れ心をかき乱す。彼女の狙いはよく分からないが、恐らくは学生時代の楽しかった記憶を思い起こしたいというような気持ちなのだろう。バーで出会った女子大生は金目当て、そして儀助の夢うつつに現れる亡妻は儀助の言うことを聞かず恨みごとを申し立てる。つまり、自分勝手な彼女たちと自分自身の欲望に振りまわさせることによって儀助の老醜が隠しようがなく晒されていくのである。
そして「敵」。恐らくこれは死を指している。死は老いとは別のところから現れ、容赦なく人を打ち倒していく。青森から上陸し、黒く汚く這いずる者たちというのは儀助の持つ「敵」=死のイメージなのであろう。
「敵」=死は突然やってくる。これは映画の中でフランス語の引用でも示されるし、儀助の友人であるデザイナー(松尾貴史)が敵を見た後、突然死ぬシーンでも説明される。
老醜から逃れられなかった儀助は「敵」=死からも逃げられない。
残酷な映画であるとしか言いようがない。
映画の最後は、儀助の残した遺書によって家を相続した遠縁の槙男と思われる人物が家を見て回るシーンで終わる。槙男がのぞき込んた遺品の双眼鏡に、儀助の姿が一瞬映る。人は死に、その記憶はかすかに亡霊のように残るが、やがて跡形もなく消え去っていく。その無常を改めて感じた作品でもあった。
敵とは…
女性たちが上品
敵とは
ダブル松尾😁
寝落ちした😂
目覚めたら、自宅に訪ねてきた編集者の不躾な男と女の子が、黒沢あすか扮する奥さんが振る舞う鍋を囲んでいたら、主人公が奥さんとケンカになったと思ったら、不躾な男が女の子に殺されて、井戸に落とそうと引きずっているのを、松尾諭が手伝って井戸に死体を落とすカオス…🤯
何だ、夢オチかいなと思ったら、今度は爆撃始まって、また夢オチかいなと思ったら、ホントに死んだのか🤣
結局、演技派女優の河合優実の出演シーンを見逃すという😌
それにしても、昔、あっち系でお世話になった黒沢あすかは、この系の役柄をやらせたら、右に出るものはいないよなってくらい、安定感抜群ですわい😆
現実と妄想のバトル
こういう映画が好きなら
老いの恐怖を経験している人にとってはあるあるネタ的な感じでメタ的に...
crescendo(だんだん強く)
なんじゃこりゃ
最初は年配男性の一人暮らしの丁寧な暮らしぶりが淡々と描かれていて、
モノクロというより極限まで彩度を落とした映像で、
登場人物もセリフも少なくとにかく眠かった!!!
一人また一人と登場して話は進むが、途中から夢?妄想?現実?ごちゃ混ぜで
なんのこっちゃの世界でした。これがSFというものなのか。
私はSF作品を読んだことがありません。筒井先生の作品も読んだことがありません。
知識がないからか理解できない。。。
最後なんてもう、とんだ安っぽい映画を見せられている気分。
筒井先生が以前、関西ローカルの番組にコメンテーターとして出演しており
いつも最後に確信をつく一言や粋な一言を仰るのがとても面白く好きでした。
だけどこれはよくわからなかった。原作を読んでみたくなりました。
「PERFECT DAYS」と表裏一体
よしだメンタルクリニック
ホラー?
一昔前のアートシアター系っぽい映画。つまり、芸術性が高いのか、製作者の自己満足なのか、いずれにしても難解で私のような凡人には理解不能!最後の双眼鏡を覗いたあとのシーンも意味不明!
それはともかく、映画の中の河合優実に頼まれたら私も騙されてかもしれません。
朝から米を研ぎ、鮭を網で焼く…というような老インテリの絵に描いたよ...
長塚京三さんだからこそ。
一歩間違えたらイライラする主人公像が、
表面が知的、紳士的でありながらみっともない、俗的、けどどこか人間味があり憎めない魅力的な
キャラクターになっている。
長塚京三さんの演技が変わらず素晴らしく魅力的で
感動してしまった。
あれだけ、みっともない姿はみせたけど
そんな中で後半の夢のような世界で亡くなった奥さんを追って『行こうよ!フランス』と、叶えられなかったことを叫ぶシーンは胸に来た。
どんなに若い女性に夢想しても奥さんが
忘れられないしコートを抱きしめてるシーンも
なんともせつない気持ちになった、
更に主人公の一番最後の台詞もよかった。
あの一言は涙がでそうになるね、自分も死ぬ時は
意識が遠のく中で『皆に会いたいな』と
親しい人を思い呟くんだろうか。と
しかしながら後半は筒井先生ワールド全開なので
好き嫌いわかれる表現は満載。
私は好きですが、あの世界観は教授の自己嫌悪や後悔が見せた夢、精神世界だったのかな。
まだ、教授の魂は生前の後悔と思い出の中で終わらない時間を過ごしているんだろうか。
良い映画体験でした。
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