「長塚京三は今なおダンディー」敵 may 618さんの映画レビュー(感想・評価)
長塚京三は今なおダンディー
淡々と進みながらも不穏な空気に取り込まれ見入ってしまった。
モノクロだし昔ながらの一軒家で倹しく一人暮らしをしているので時代設定が昔なのかと思いきや、先生は普通にiMac使っていてそういう意図でのモノクロじゃないんだなと。話が進むにつれ、前後の文脈がプツッと切れたり先生の妄想やら亡くなった奥様やらが出てきて不可解になってくると、モノクロであることの意味みたいなものがわかったような気がした。
仏文の元教授で表向き品位を保ちながら、内に秘めている人間的な欲望を表現するのに、長塚京三というキャストがドンピシャで、あれだけ曝け出してなお不快感を与えないところがすごいなと思った。
瀧内公美、河合優実、黒沢あすかの軽薄でない艶かしさも、学のある人物を翻弄するのに十分な説得力あり。
最後に出てくる中島歩は先生の親類設定に大きく頷けた。
全部をわかろうとしなくても面白かった。
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