劇場公開日 2025年1月17日

「時間や空間を超越するモノクロ映画の威力」敵 HKさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0時間や空間を超越するモノクロ映画の威力

2025年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

終活しつつ、潔く自分の死までの道筋を計画している老齢の元教授に
様々な敵が次々と襲い掛かってくるが、
現実・非現実が不明瞭で、その浮遊感がモノクロであることによって強調される。

さらに、ときに強いコントラストの画面描写によって質感が薄まり、
対象物体や人物の年齢、時代設定すらも曖昧になって、
後半の得体の知れない不可視な遠方からの強力な敵の攻撃が、
時間や空間を超越して同居しても不思議と現実感が損なわれない。

その長い時間軸を包含しているモノクロの表現が
老齢の生活、欲など生々しい部分をも描いたストーリーでありながら、
長塚さんの佇まいも相まって、
全体に美しさを保ち、雰囲気を醸し出しているように感じた。

惑乱体験にガツンとされて鑑賞後に呆然となりました。

HK