「全編モノクロームの夢物語。」敵 はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
全編モノクロームの夢物語。
元フランス文学教授の儀助、77歳。広い日本家屋で家事をこなし、細々とコラムの仕事をしながら自ら定めたXデイに向かって一人静かな生活を送っている。
自分を慕ってくれる元教え子、フランス文学を学ぶ若き苦学生、そして亡き妻。パソコンに突如表れた「敵」の襲来を告げる謎のメッセージ。夢と妄想と現実がこんがらがって儀助の精神が混乱してゆく。長塚京三の魅力たっぷり。声が渋くて色っぽい。そして3人の女性のキャスティングが絶妙。
これ結局「敵」ってなんぞや?って話になるんだろうけど「死」そのものなのか、自分自身のことなのか、もっと複雑で精神的なものなのか、哲学か価値観か、特に終盤の流れは私には難しかった。全編モノクロってどうかなと思ってたけど、この曖昧で現実離れした世界観によく合っていた。
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