「せんせい・・・」敵 ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)
せんせい・・・
原作は筒井康隆の小説、大学退職後の余生を過ごす独居老人に突如現れた「敵」との物語を描いた話題作。
私なりの見所と勝手解釈、楽しみ方を申し上げると、まず出演者が素晴らしい。先生の長塚京三は実年齢も先生と変らないのに若くも年寄りにも見えた。皺や毛穴までクッキリと見えるのになぜかカッコいい。先生のアップに見惚れてしまった。元教え子の鷹司靖子の瀧内公美もイイ感じの妖艶さを醸し出し、彼女に「せんせい…」と呼ばれてみたくなる魅力があった。
もう一つの見所は、全編のモノクロだ。造形物が映えるので、何気ない生活用品が調度品のように美しく見えた。確かにカラーより美しいと思う。
肝心の先生像に迫ると、よく食べる、よく飲む、若い女に仏文学を語る、そして「敵」と戦う、のである。食、酒、女、敵、これは男の「生きる」そのモノではないだろうか。
最後に、鑑賞後の私なりの楽しみ方を。物語に対し意味微妙なアイテムがいくつか登場する。井戸、犬の糞、古い写真、双眼鏡等…これらは心理学では何かあるのかもしれないが、寓意として何かあるのか、それは自分なりの解釈で楽しみたい。まさに話題の尽きない話題作である。
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