劇場公開日 2025年1月17日

「観る人によってそれぞれ違う「敵」」敵 おつろくさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観る人によってそれぞれ違う「敵」

2025年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

中学生の時、筒井康隆の「狂気の沙汰も金次第」を読んでからファンになって、筒井康隆作品はほとんど読破しました。多くの作品を作り出している大御所ですが、すでに映画化されている「時をかける少女」や「俗物図鑑」みたいな解りやすいSF作品と、「虚構船団」や「文学部唯野教授」みたいな少々難解な純文学作品とに二分されます。今回の作品は後者ですね。

原作はもちろん読んだのですが、解りやすいSF作品とは異なり読むのに物凄く時間がかかったのを思い出しました。で、映画版なのですが、全編モノクロ(というか淡いセピア色?)で構成されていて、原作の雰囲気を上手く反映させていました。以前から教師役が上手な長塚京三を元フランス文学教授の主人公に据えて、エッセイやイラストにも造詣が深い松尾貴史を主人公の友達のデザイナー役、「ナミビアの砂漠」でも難解な役を演じきった河合優実を小狡い女子大生役に起用するなど、とても解りやすい作品に仕上がっていました。

おつろく