「北から敵が攻めてくる…。老いと死と自分自身が襲い掛かってくる。瀧内公美の妖艶さがモノクロに映える。」敵 ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
北から敵が攻めてくる…。老いと死と自分自身が襲い掛かってくる。瀧内公美の妖艶さがモノクロに映える。
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二十年前に妻を亡くした後、穏やかに暮らしていた元教授である老人のもとに、ある日パソコンに「敵がやって来る」というメッセージが届く。
それを境に、静かだった毎日が徐々に崩れていく。
長年の後悔と、現在の恐怖、傷つけられていくプライド、そして、かすかな下心までもが入り混じって襲い掛かってくる。
自分自身の思考、感情から作られる生々しい幻覚の恐怖。
夢と現実が交錯し、次第に幻覚の比重が大きくなっていく。
モノクロの映像がちょうどいい。
カラーでは情報が多すぎて、うるさすぎる。
要するにA・ホプキンス主演の「ファーザー」のように思ったが、筒井康隆は「あくまでも”夢と妄想”」であるということらしい。
主演の長塚京三の抑えられた緻密で繊細な表現がいい。
そして、かつての教え子を演じた瀧内公美の、妖艶さを湛えた美しさが、ひときわモノクロの画面に映える。
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ひでちゃぴんさんのコメント
2025年1月29日
ITOYAさん、共感、コメント&フォローをありがとうございます!吉田大八監督は儀助の「現実と妄想」と表現されていらっしゃいましたが、私はどうしても老いによる認知症を想像してしまいました。そして怖くなりました。