「文学より書院」敵 uzさんの映画レビュー(感想・評価)
文学より書院
原作未読のため、粗筋から不穏な話か多重人格か、呆け老人の妄想なのか、判別がつかぬまま鑑賞。
結果から言うと最後が一番近かった。
劇中では儀助の平穏な日常が淡々と描かれるが、所々がファンタジー。
特に元教え子(しかも人妻)が自宅に来て、酒に酔って終電近くまで無防備に寝こけるとか、有り得ないわ。
後半にいくにつれて妄想パートが増えたように感じていたが、このへんからするとすべてが夢オチか。
最後の独白や遺書の内容からしても、教え子たちとの交流も絶えてそうだし。
それ以前に、妄想内でしか描かれてない出来事も多い。
特に歩美へお金を渡した件や夜間飛行の閉店、松尾貴史の手術などはその後も触れられず曖昧なまま。
個人的には独居老人の侘しさが108分かけて表現されていたような解釈に落ち着いた。
出ずっぱりで画面をもたせる長塚京三もサスガだが、出色は瀧内公美。
清純な妖しさとでも言おうか、とにかく魅力的だった。
画作りとしては、終盤に中島歩が庭を横切った際に、“敵”が侵入した場面がすぐ想起されるのが見事。
ただ、クライマックスのドタバタは中途半端さを感じたし、締め方もよく分からない。
不思議と嫌いではないし、原作があるので難しいかもしれないが、もう少しオチに工夫がほしかったかなぁ。
コメントありがとうございました。
文学より書院…笑。キオスクによく並んでいた記憶がありますが、今もあるのでしょうか。
寄り添って観ていたのに、それを容赦なくどんどんひっくり返されて、本当に切なくなってしまう映画でした。
共感をありがとうございます。
文学じゃなく書院、は多くのおじさんたちが共感したのでは。
身につまされるお年頃になりつつある私には、「春になったらみんなに会える」以降は最恐ホラーでした。