「「敵」は老いとその先にあるもの」敵 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
「敵」は老いとその先にあるもの
見ていてすぐ、認知症か統合失調症の人の、時間経過とともに症状が進んでいくさまなんだろうと思った。
高名な仏文学者で元大学教授、インテリで穏やかで、長身、体格も姿勢も良い絵に描いたようなダンディーな老人が、夏から、変な夢を見るようになり、季節を追うごとに頻度も奇妙さも増していく。
本人も、事実ではなく「夢」だというのは自覚があるが、どこからが現実でどこからが夢なのか、分からなくなってくる。
そして、春が来る頃には、「敵」に追いつかれてしまった。
眼の前で展開する出来事は、老・元教授の、妄想と現実が入り交じった脳内現実なのだろう、今まで生きてきた中の、願望や、後悔、後ろめたさや諸々の感情が半端にリアリティを持って奇妙な形になって現れているよう。
「敵」が北からやってくるというのは、老元教授の中での仮想敵が某北の将軍様の国らしいのがちょっと笑える。
時間の経過とともに、妄想の割合が多くなっているのが分かる。
老元教授の生活が几帳面で丁寧で、掃除も洗濯も手慣れており、特に食生活は自分一人のために朝食にわざわざ魚を焼き、コーヒーは豆から挽いて、ただの昼ごはんのそうめんに、すり鉢で胡麻をすり、冷麺には卵をひとつだけ茹でる。一人の晩酌のためにレバー買ってきて牛乳に浸けて臭み抜いて、ネギ切って串に刺して網出して一人焼き鳥には脱帽。
都会に古くて広い一戸建てを所有、仕事はあるし教え子やら編集者やら、ヒトは来るし、馴染みのバーはあるし悠々自適な、それこそ「Perfect Days」じゃないかと思った。どこまでが彼の脳内現実か分かりませんが。
春になったら、みんなに会える、ってつぶやくが、春のお葬式には一人の教え子の姿もありませんでした。。
もしかして、全部が妄想⁉️。。
老境に差し掛かった人なら、我が事として切実に理解する映画。
若い人には何が何だか❓ だと思います。
長塚京三が、まるで当て書きのようにぴったり、良いキャスティングでした。
コメントありがとうございます。
確かに、どこまで現実なんでしょうね。自分なりにここまでは現実だろうなと思っていたラインに、自信がなくなってきました(笑)
ご飯美味しそうでしたね。私は一人暮らしだったら絶対あそこまで出来ません。
例のトップの人。いろいろな記事を読めば読むほど、暗い気持ちになってしまいます。
この映画、ただの妄想となると面白味はなくなるので、やはり本当に「「敵」はいる」と考えてた方がおもしろそうな気がします。
主人公がもっと若いバリバリの人で、不条理の極みのような内容だった方が個人的には好きだったかもしれません。
あと、北から来る敵はもっと大きい別の国を考えていました。
こんばんは。
そうなのぉ〜!!教え子誰もいない所か、かなり自己中な遺言状でしたよねw
ほぼ隠居の身でも、常に誰かに気にかけてもらえていた。来客もあるし人望もあったように見えた。
だけど、それも全て儀助さんの妄想(願望)で、実は誰からも忘れられていた存在だったのでは?!なんて思うと切ないの〜!!
そして、家に侵入者がいて取り乱す。実はあの頃にはもう亡くなっていたのかもしれない。。と、今となって思います。あれは儀助さんが亡くなった後家に来た甥っ子(中島さん)の姿だったのかな?とか。。
私も色々と妄想が止まりませんw
あっ!生レバーを切れ味鋭いナイフで"シャクッ"と切るときの"音"が実に良かったですw
うちの包丁も研がなければと思いました。
有🈶パンフ今見返したら 長塚さんのインタビュー 脚本シナリオ は 当てがき の模様です。
筒井康隆さんの原作を変化させた模様です。 長塚京三さんの食生活丁寧すぎでした。美味そうでした。
夢と妄想 だそうです。おっしゃるとおり キャスティングは最高でした。同感👍です。
イイねありがとうございました😊😊
共感ありがとうございました。
すべてが妄想?というご指摘に、ますます切なさが募ってしまいました。やるせない…。
それにしても、自宅焼き鳥のレバーは美味しそうでしたね。