劇場公開日 2003年1月25日

「銃でする「究極の自己否定」」ボウリング・フォー・コロンバイン 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5銃でする「究極の自己否定」

2023年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

1999年に起きた米国コロンバイン高校銃乱射事件を追った映画です。
2002年(アメリカ)マイケル・ムーア監督作品。

今回の大統領選で、銃がまたしても爆売れしたと聞きます。
正直アメリカの全てにうんざりなのですが、この事件は日本でも過剰な報道があり、
印象に残っています。

コロンバイン高校の生徒2人は、家の地下室で2年間に渡る準備をして、
その日に備えた。
後に母親が多量のビデオの決起映像を発見する。
計画ノートなどが見つかったと言う。

なぜ題名に「ボウリング」が入ったのか?
第一に、犯人2人は、襲撃の午前11時の前にボウリング場に出向き、早朝2ゲームを楽しんでいること。
第二には、ボウリングのピンは人間に似ているので、銃撃の的に使用することが多い。
銃撃事件の犯人は生徒12人と教師1人を殺し、犯人2人は自殺した。
銃撃戦は45分間も続き、一人一人顔を見て識別して殺している。
生徒たちの恐怖を思うと心が塞がれる。
この事件は全米を恐怖に陥れ、世界中が戦慄した。
マイケル・ムーアは被害にあった生徒へのインタビューや、
ロッキード社のミサイル工場のあるコロンバインの背景などに、
突撃取材して迫って行く。
なぜアメリカだけダントツに射殺事件の死者が多いのか?
1年間に1万1127人も射殺されている。
その原因の一つは、誰でもいつでも簡単に銃や銃弾が手に入る。
(ウォールマートで9m弾が誰でも簡単に買える・・・2002年当時)

その二つ、アメリカ人は常に恐怖に支配されている。
(それは建国の歴史が常に戦いの歴史だった)
先住民のインディアンと戦い、
南北戦争で、国を二分して戦い、
第一次世界大戦、
第二次世界大戦、
ベトナム戦争、
湾岸戦争、
イラク戦争、
アメリカは常に戦時中にいるのだ。
それにしてもアメリカという国は、かなりの困ったちゃん・・・なのだ。
アメリカは、
《1980年、対ソ政策で、
CIAはビンラディンに、30億ドル供与

《1982年、対イラン政策で、
フセイン政権に10億ドルを供与

《2000年~2001年、タリバン政権下のアフガニスタンに、
2億4500万ドルを援助、

そして援助してきたはずの、ビンラディンに、
2001年9年11日、
ゲリラを使って同時多発テロがを起こされる。

資金を供与すれば、相手は武器を揃えるのに使う。

渡した金で銃及び兵器が買われ、襲ってくる。
これでは負の連鎖が終わらない訳だ。

兵器産業はアメリカの重要な軍事産業で多くの利権を生み出し、
その甘い汁から脱却することは永久に不可能だろう。

今日も銃弾で人が死ぬ。

琥珀糖