アット・ザ・ベンチのレビュー・感想・評価
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幸せが残していったモノ
今年の最後に、とてもいい作品だった。
【Ep.1】残り者たち
広瀬すずが残るワケないだろっ!…は置いておいて。
自然な会話の空気感と、「もう付き合っちゃえよ!」な距離感がむず痒く、ニヤける。
母からラインが来るまで、仲野太賀のお尻がずっとはみ出してるのよ。
【Ep.2】まわらない
絶妙に噛み合わない会話と、分かるけど面倒な喩えと、そして現れる理解者。笑
握るより早く飲み込めないなら別れた方がいいんだけど、相手に委ねてるならまだ好きじゃん。
だったら寿司桶を大きくするしかないよ。
【Ep.3】守る役割
今田美桜がずっと喚いてて、森七菜も負けじと叫んでる。
今田が結構ヤバい感じだけど、相手との繋がりをなんとか残したい気持ちは分からなくもない。
クスッとくる所もありつつ、最後ちょっと泣けた。
【Ep.4】ラストシーン
草薙くんがちょっとやり過ぎなような、吉岡里帆とのバランスからすると丁度いいような。
中身は面白いけど、ちょっと冗長かも。
吉岡里帆のお尻が迫ってくる映像を期待した変態は私です。
【Ep.5】さびしいは続く
その中学生男子と同じことを、社会人の歳でやってたんだけどね、太賀くん。
相変わらずの雰囲気ながら、座る位置だけでなくなんとなく変わった距離感が滲む温度が心地よい。
「ちょっと目を逸らすくらいで丁度いいんだよ」
コメディがベースなのに、ところどころに刺さる台詞があって、とても好きなバランス。
好きな役者だらけで幸せだったけど、芝居がしっかりしてれば無名の役者でもまた違った味が出そう。
物寂しくも温かい余韻が残る作品でした。
他人同士も家族でも、寂しさを分かちあうことはできないものなのですね
2024.12.30 アップリンク京都
2024年の日本映画(86分、G)
4+1の構成によるオムニバスドラマで、ある河川敷の取り残されたベンチを舞台にしている
監督は奥山由之
脚本は生方美久&蓮見翔&根本尚子&奥山由之
物語は、東京のとある河川敷に取り残された「ひとつのベンチ」を中心に描かれていく
第1編「残り者たち」では、将来に悩む保育士のリコ(広瀬すず)が、幼馴染のノリくん(仲野太賀)を呼び出す中で、リコのアプローチを絶妙に交わしていくノリくんが描かれる
第2編「まわらない」では、同棲カップルのナナ(岸井ゆきの)とその彼氏カンタ(岡山天音)がホームセンター帰りに訪れ、その痴話喧嘩を近所のおっさん(荒川良々)が聞いてしまうという物語になっていた
第3編「守る役割」では、男を追いかけて東京にきた姉(今田美桜)を連れ戻しにきた妹(森七菜)が描かれ、壮絶な姉妹喧嘩が繰り広げられていく
第4編「ラストシーン」では、ベンチを調べにきた職員(草彅剛&吉岡里帆)が描かれ、そのベンチは姿を変えた彼らの父だった、という設定の映画の撮影風景だったという内容になっている
そして、ラスト「さびしいは続く」では、「残り者たち」の幼馴染二人の距離感が変わった「その後」を描いていく
映画は、ベンチを中心として展開され、「恋人未満の幼馴染」「倦怠期に入った同棲カップル」「姉妹」「家族」という異なる人間関係が描かれていた
そのどれもに「寂しい」という感情が描かれていて、「将来不安に見える寂しさ(ぬくもりの消失)」「近くて遠い寂しさ(価値観の相違)」「精神的喪失(不寛容)」「物理的距離感(納得性)」というものが根底にあるように思えた
幼馴染は距離は縮まったけど「さびしいは続く」となっていて、根本的に「寂しさが解消されたわけではない」ことがわかるのだが、この「寂しさ」というのは個人の一人称目線の感情なので、誰かによって埋められるものではないということなのだろう
ベンチは見方によっては「寂しく見える」し、「運が良くも見える」という感じになっていて、それは寂しさの暗喩的なものとして描かれている
そこに座ることで孤独を癒す者(姉)もいれば、誰かがいないとダメ(リコ)もいて、一緒に座ってもダメ(カップル)というのもいる
第4編だけは唐突な設定になっているが、1〜4編の流れを考えると「寂しさを割り切る家族」というふうにも見えるので、ある意味においては「守る役割」のアンサーになっているのではないだろうか
いずれにせよ、役者が豪華で設定も面白いのだが、さすがに絵作りがキツいのでシアター向けではないと思った
特に第4編の字幕表記がとても読みづらく、画面もかなり暗いので、ストレスを感じる人もいると思う
内容よりも完成度の観点において映画館で上映には届いていないと思うので、そのあたりをもう少し作り込めば印象も違うのかな、と感じた
ベンチは社会
同じ社会でも、そこに居る人達は皆違う。
最初のエピソード、一つの話題が終わる度の静粛、その沈黙が最高でした。寿司エピソード、全編大爆笑。二人の会話に参入前の、二人の間の後方の荒川良々、最高でした。今だに寿司ネタの意味、分かりませんが。撮影エピソード、突然の宇宙人語?のシーン、字幕がよく見えなかったんで、てっきり宇宙人語字幕だと思うてましたが、日本語でしたか。まあ、オムニバスは、ひと休みエピソードが有るのも映画社会です。
心に沁みた
先週末、ある出来事があった。そのため、ただの会話劇なのに、とても心に沁みた。
追記
2回目の鑑賞。
1話5話のなんかもどかしい感じがとても初々しく、2人の演技に魅了された。
2話の途中までの何もしない荒川さんがおかしくてたまらなかった。お寿司がたまっていく話、一緒に見た人は、見た後で「気持ち、とてもわかる」と言っていた。怖い怖い。
3話は軍鶏の喧嘩みたいだが、それなりにおもしろかった。お姉さん役は最初有村架純さんだと思っていた。
4話。3人とも芸達者ですね。(特に役者役の二人) 最後の監督とベンチの会話もよかった。
エピソード4は退屈、字幕が読めない。
テアトル梅田で鑑賞。オムニバス形式で5つのエピソードからなる作品。エピソード1→仲野太賀と広瀬すず。2人は幼なじみで2人とも独身。2人のほのぼのとした会話が良かった。エピソード2→岸井ゆきのと岡山天音。恋人どおしだか、別れ話の最中に荒川良々が参加してくる。3人のやりとりが、笑わせてくれます。エピソード3→今田美桜と森七菜。姉妹の設定で2人の喧嘩が見せどころだが、怒鳴りあっている時のセリフが聞きづらい。エピソード4→草彅剛、吉岡里帆。ベンチの縦、横、長さの定義の言いあいがつまらない。で、しばらくして宇宙語になってきて、字幕が出てくるのだが、字幕が小さくて見えません。私は前から5列目で観たのだが、もっと後ろだったら全く読めないでしょう。あえて字幕を小さくするメリットって何なの?デメリットの方が大きいでしょう。神木隆之介も出てきたが、もったいない配役だと思う。エピソード5→1の続き。幼なじみの2人のこれからの人生は...(あえて記載しません) 3はまだしも4は失敗作だと感じた。(吉岡里帆さん、ごめんなさい)😅
設定は面白いが、何かが足りない
本作を観て「偶然と想像」を思い出しました。どちらも同じオムニバスですが、こちらはワンシチュエーションという事で、なかなか斬新で面白い設定だと思います。ただ、ワンシチュエーションなので脚本はもちろんですが演技力が問われる作品です。
まず、内容に関しては2話と4話は笑わさせてくれる内容で面白かったです。3話は兄弟げんかのお話しなのですがとても迫力があり見応えがありました。1話と5話は全5話の中で最も日常的な内容で、幼なじみの二人のお話しでほっこりする内容なのですが、会話の内容がつまらなく退屈でした。
演技については2話と3話が上手いと思いました。2話は長いセリフが多いのですが、会話がとても自然な感じで上手かったです。3話はのどが潰れてしまうのではと思わせるほど迫力のある演技で圧倒されました。1話と5話についてはお互い思っていることをストレートに言い出せずもどかしい、という設定のせいもあると思いますが、言葉に詰まる部分とスラスラと話す部分の切り替えが不自然でとても幼なじみとは思えなかったです。4話については判定不能です(笑)
以上、良かったところも沢山あったのですが、退屈なところもあり、全体としてはもう少し何かが足りないという感想です。
ベンチになって、人の話を盗み聞きしたくなる
一つのベンチの周りで繰り広げられる4組の人々の物語だが、登場人物たちが話す内容を聞いているうちに、彼らの関係性や、置かれている状況等が徐々に明らかになってくるところに引き込まれる。これは、おそらく、人の話を盗み聞きするような面白さが味わえるからで、その点では、自分も、epsode3で出てくる荒川良々演じるおじさんや、epsode4の「お父さん」と同類なのだろう。
登場人物たちを、後ろや横から写したり、正面から捉えたり、手持ちカメラで追いかけたり、定点からの長回しで撮影したりと、epsodeごとにカメラワークに特徴があるところは楽めるし、各epsodeの会話の内容が微妙に繋がっているところもニヤリとさせられる。
豪華すぎる俳優陣の共演は堪能できるし、それぞれの話の内容も面白いのだが、それでも、epsode2に、おじさんは登場しなくても良かったのではないかと思えるし、epsode4の、「実は、これは撮影現場でした」というメタフィクションも、必要なかったとしか思えない。
何となく結婚に向かいそうな幼なじみの話もepsode1だけで十分で、epsode5で話の続きを描くのなら、むしろ、epsode3の姉妹が、その後、どうなったのかを知りたくなってしまった。
epsode1にはほのぼのとした温かさが感じられたし、epsode2では何度も笑わされたし、epsode4には意表を突かれた驚きがあったのだが、感情をむき出しにして激しく怒鳴り合う姉妹が、やがて心を通わせる姿を描いたepsode3からは、「人を思うこと」の切実さが感じられて、胸に迫るものがあった。
期待以上
あの生方美久さんが2話も、ねもしゅーも脚本!!豪華!!!楽しみ!!と期待いっぱいで観に行ったけど、期待以上にさらによかった。
2話の蓮見くん脚本の面白さも、映画館がこんなに笑いで溢れるの初めての体験だった。荒川良々さんの存在感、本当に素晴らしいなあ。
なにより最後、生方美久さんの5話目の
【寂しさは、幸せが残していったもの】
という言葉が、きっとわたしがこれから生きていくうえでずっと大切にしていくだろうなと思った。ずっと欲しかった言葉を貰えた気がして最後の最後に泣かされてしまった。宝物の言葉ができました。この作品に出会えてよかった。
仲野太賀×広瀬すずが本当にベンチがあるだけで、その他の小道具が限られた中であんなに惹きつけるのは、脚本と役者さんのすごさなのかなと感動しました。
瞬発力
俳優陣の瞬発力を感じる映画
物語が転がる前の会話劇 それだけに物足りなさと妙な満足感が入り混じる
生方美久さんの脚本のリズムの良さと 広瀬すずさんのメロディが心地良い
広瀬さんて ホント オフのセリフが良いよね 義理の〜のところとか クイって引き込まれる
蓮見翔さんの脚本はちと狡い 岡山さんも岸井さんも好きだが 荒川良々さんという飛び道具 反則だよな
荒川さん 年齢を重ねて益々良い 絶対いなさそうだけどホントはいる人が上手いよなぁ
ねもしゅーの脚本は通常運行 今田さんも森さんも 上手に乗りこなしてる感
まぁ それもこれも やっぱり不思議でふわっとしてシュルってしてるのは 監督の手腕なんだろうな
夕日の沈んでいく広瀬さんの横顔を撮りたくて撮ったんじゃないかと思うほど その視線が心地良かった
先日 弟さんの映画も楽しめたんだけど この兄弟 かなり注目だよな
自作も期待しています
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