金子差入店のレビュー・感想・評価
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家族の絆
刑務所に差し入れを代行する差入屋という
お仕事があるのを初めて知り、その独自の
世界観とルールや現実にぶち当たる葛藤
等に強く引き込まれた。
台所の換気扇下で煙草を吸う真司の姿は
印象的で観てる側もうっとくる。
日中から切り離された静かな時間。
その姿には自分の前科、この仕事への
意義と葛藤。父親という大黒柱と家族。
内面から涌き出る脳内葛藤が伝わる。
そこに寄り添う奥さんも肝がかなり座ってたなぁ。
岸谷五朗さんや北村匠海さんの演技が
良かった。
北村匠海さんは実在しそうな怪しげな細かな
動きと言動が上手い。
目に温かな光が映らない、人間の底にある
哀しさが出てて圧倒的。凄い。
いじめ、家族、職業偏見、人間葛藤
最後は視聴者に投げ掛けたかった感じだが
もう少し纏めても良いかなとも思った。
家族の絆と人に寄り添う気持ちへの
大切さと大変さを改めて考えさせられる映画でした。
正直、この映画で何を表現したかったのか理解できませんでした。
傷害事件を起こして服役していた金子は服役中に子供が生まれる。
出所後、おじが営んでいた刑務所等に差し入れを代行する金子差入店を継ぐ。
ある時、金子の子供の幼なじみが無惨にも殺されると云う事件が起きるが、その殺害犯の母親から差し入れを依頼され葛藤する。
更に刑務所の面会受付で何度も出会う少女が、自身の身代わりになって母親殺しの罪を被ってくれた元ヤクザな会いたがっていることを知り手伝うことになる。
結局、その少女とヤクザの面会には成功するが、息子の幼なじみを殺害した事件との連関が見いだせないのです。
元関ジャニ∞の丸山隆平主演ですが夫人役の真木よう子の演技の方が光っていました。
素材と着眼点は面白いのだが、この職種ゆえにあるはずの熱量が足りないように思えた
2025.5.21 イオンシネマ久御山
2025年の日本映画(125分、 G)
差入店を営む夫婦がある事件に直面して苦悩する様子を描いたヒューマンドラマ
監督&脚本は古川豪
物語の舞台は、都内某所
差入店を営む金子真司(丸山隆平)は、妻・美和子(真木よう子)に支えられながら、息子・和真(三浦綺羅)とともに慎ましく暮らしていた
真司はかつて暴行事件で服役していたことがあり、出所後に叔父・辰夫(寺尾聰)の仕事を引き継いでいた
ある日のこと、和真の幼馴染・花梨(金子莉彩)が夜になっても帰ってこないと連絡が入った
美和子とともに捜索に参加した真司だったが、数日経っても見つかる気配はなかった
そして、最悪な知らせとともに、その事件は幕を下ろしてしまった
犯人は花梨を含む7人を殺害したとされる小島高史(北村匠海)という若者で、彼の母親・こず江(根岸季衣)はマスコミの前で態度を二転三転させる曲者だった
そんな彼女はどこかで差入店のことを知って、真司の店に訪れたのである
物語は、知人を殺した犯人に差入をするというもので、そこで感じる憤りなどが描かれていく
相手はサイコパス気質の若者のために対話にならず、見透かされているように翻弄されていく
とは言え、これらの事柄も真司に起こることのひとつに過ぎず、後半には別の関わり合いがクローズアップされていた
それが、拘置所に面会に来る女子高生・佐知(川口真奈)に関係する事件で、冒頭で真司が肩をぶつけた元受刑者・横川(岸谷五朗)が起こした殺人事件だった
横川は自宅売春をしている佐知の母・芳恵(まひろ玲希)を殺した罪で再度刑務所に戻った人間で、佐知は彼に会いたいと願っていた
被害者遺族の未成年が被疑者と会うということは許されておらず、それゆえに刑務官たちからは煙たがられていたのである
映画は、お仕事系としては興味深いのだが、ヒューマンドラマとしてはイマイチに感じる部分がある
それは、真司がこの仕事にどう向き合っているかというところが見えづらく、小島との対話から推測すると、「社会的制裁のためにやむなく叔父の仕事を引き継いだ」というものになると思う
また、和真のいじめに際しても「いじめられるくらいなら辞めても良い」と考えていて、差入店に対する思い入れとか、存在意義、哲学というものを持ち合わせていない
さらに、そのことについては妻の方が理解度が高く、現場にいくことはないのに、その意義を感じている部分があった
それならば、美和子自身が女性受刑者に差入に行くとかで関わりの深さを示す必要があると思うし、実は彼女も元受刑者で、真司の差入を受けていた、という設定があっても良いと思う
真司自身が差入された側としての恩義を感じていないし、されることに対する感度というものがあまりない
叔父自身も依頼を淡々とこなすだけと言うように、この仕事に向き合う強さと言うものは元々ないのかもしれない
実際に差入している人がこのようなマインドなのかはわからないが、業務の重たさを考えると、普通の人にできる仕事ではないと思う
なので、その部分も含めて、この仕事の意義を真司が強く持っているとか、それが小島の存在によって揺らぐと言うエピソードがあった方が、物語としてはまとまったのではないだろうか
いずれにせよ、面白い設定だなあと思いつつも、あまり響くところがなかったのは、ひとえに真司の熱量の低さなのだと思う
母親(名取裕子)に反対されていると言うこともないし、その母のエピソードも物語上で必要には思えない
映画には、いわゆる毒親が登場し、その因果が事件を起こしているように描かれるのだが、それが真司たちの家族との対比にもなっていないように思う
社会から理解されづらい仕事であると思うのだが、どのように社会が捉えているかと言うところも映画では短絡的に描かれていた
また、植木鉢が割られる程度の嫌がらせしか発生せず、あんなに堂々と開店しているのかも不思議に思った
そのあたりの「リアルに感じられるクオリティ」と言うのが弱く感じるのが難点で、そう言った部分を改善するだけでも良くなったように思う
佐知が人を押し除けて座ろうとするとか、最後の植木鉢は花ごと捨てるみたいな描写になっているのも意味不明に思えるので、そういったところも含めて、細部を詰めた方が良かったのではないか、と感じた
詰め込み感はあるけど
よく東映作品でムショから出るとすぐ近くに商店があり主人公が煙草を買うシーンがあるけど面会もする差し入れ店があるのは知らなかった。
題名だけだと地味な人情ドラマかと思いきや様々な事件が絡まりサスペンスタッチ。
ジャニ系の主人公役は知らなかったけど、真木よう子、甲本雅裕、寺尾聰、岸谷五朗、名取裕子、根岸季衣と豪華出演者ばかり。
幼女連続殺人鬼役が北村匠海にはびっくり❗️
最初は似たルックスなので主人公があのイキリ野郎かと混乱…。
2つの凶悪事件がストーリーのキーになっているけど、事件の概要が性急過ぎていまいち消化不足になったのは残念。
しかし、極力、無駄なシーンは排除しあえて規制がかかりそうなシーンもしっかり描いている骨太さ❗️
世の中の冷たさ残酷さを真正面に描いている。
意外なお仕事を知りました
刑務官を取材したマンガを読んでいるので、刑務所については多少の知識はあるつもりだったけど、差入屋なる仕事があるのは初めて知った。
面会予約ができなくて平日となると、差入屋という仕事があっても不思議ではないか。
かりんちゃんの事件はなかなか凄惨な殺人事件だけど、犯人役は伏せられていたから見てビックリ。
奇しくもこっちの役もタカシか。
1回目の差入の後の母親からの着信履歴が怖い。黒背景に赤字だから余計に怖い。その後の近距離通話も怖い。
高史も壊れてるけど、こず江もだいぶ壊れてる。
そもそも立派に育てあげられた人は殺さないのよ。
だけど日本もだいぶ治安が悪化していているから、身内が被害者になったり、加害者になるかもしれないと考えたら怖いな。
その事件が主軸かと思いきや、横川と佐知のエピソードが強い。
事件の真相は予想がついたけど、差入屋という設定を活かした大博打と、佐知のメモ書き、横川の返答に持ってかれた。
泣き崩れる岸谷さんがすごい。
川口真奈さんはじめましてだったけど、これからが楽しみ。
丸山君はバラエティでしか知らないけれど、執行猶予つかなかったのも納得のキレ芸が良かったと思う。
高史は個人的に北村匠海史上一番良かった。
あとはちょっと真木さんの滑舌が気になった。あんなだったっけ?
差入品は女子高生
主演の方を知らなかったのもあり、冒頭で離婚届を持ってきた人が主役かと勘違いしてかなり混乱した。
もうちょっと違う風貌の人を使ってくれないかな。
その後は主要キャラをチラ見せしながら差入店の仕事を描いていく。
今回初めて認知した職業なので、ここは興味深かった。
しかし全体で見ると詰め込みすぎで散らかった印象。
花梨ちゃんの事件だけでも犯人・依頼人・遺族らとの向き合い方、派生する風評や息子のいじめが絡む。
そこに母との確執や佐知関連、自身の過ちなども加わる。
その結果、遺族は丸投げ、いじめは理由なく解消、母との関係もぬるっと軟化など消化不良感が強い。
母の件は貰い物をお裾分けというのも如何なものか。
真司が服役した事件の詳細は明かされず、穏やかな時と感情的な時で二重人格ばりの変貌ぶり。
美和子が離婚届から「父親は1人しかいない」になった経緯も不明。
認知症に見えたこず江は途中からただのモンクレに。
なんだか掴みどころのないキャラが多かった。
その点、犯人の高史は支離滅裂なのに何故か人間的な一貫性を感じ、北村匠海の凄味が窺える。
真木よう子は、演技は良くなったのに滑舌が絶望的で、何度も噛んでいたのがリアルだけど残念。
主演も滑舌は微妙で、芝居も何となく半歩ズレてる感じ。
佐知と横川の話は好きなのだけど、どのみち助からなかっただろうし「私が殺した」は余計だった。
あの年齢差で「待ってる」も、「それでどうするの?」という疑問が浮かぶ。
高校生とはいえ、あの事件の後で夜道を一人で帰らせる金子一家よ…
差入店への嫌がらせが何故か鉢植えのみで、ガラスや車にいかないのも不思議。
真司が受付に言った「今までのこと全部バラす」って何のことだろ。
結局主軸がどこにあってテーマが何だったのか判然とせず、連ドラの総集編を観たような感覚が残った。
人と人の緩衝人
差し入れ代行さんの存在初めて知りました。退職代行さんの先駆けですね。世間の偏向視も知り、ショックでした。退職もそうですが、面と向かう依り人を立てるのがお互い本音、気遣いの面で接しやすい場合もあると思います。あのサイコパスの標的が、何故女の子なのか全く理解できませんでした。ラストの女子学生と母親殺人者との面会、何とも言えない、感涙でした。
しかし、監督さん、ビックリしてるでしょうね、あの小学校事件。映画を観てた私も本当にビックリしました。動機も何もかもそのままでしたから。
職業映画‼️
こんなお仕事があったんですね⁉️刑務所への差入代行業‼️そんな差入店を経営する家族を中心に、小学生の息子の同級生の女の子が殺人事件の被害者になったり‼️母親から犯人への差入を依頼されて葛藤したり‼️差入店という仕事上嫌がらせを受けたり、息子がいじめられたり‼️描かれる人間ドラマの数々は使い古されたものばかりで、あまり新鮮味は感じなかったですね‼️特におじさん役の寺尾聰さん、母親役の名取裕子さんとか、エピソード的にもキャラ的にも本当に必要だったのか疑問‼️ただ岸谷五朗さんと川口真奈ちゃんのエピソードは良かったと思います‼️クライマックスの面会室でのノートによるやりとりや、岸谷さんの演技は素晴らしかった‼️まるで「タクシー・ドライバー」のトラヴィスを思い出しました‼️
色々な母親
北村匠海はさすがに上手い。けど母親役の根岸季衣さんが上手くてあの笑顔が恐怖でした。映画では色々な母親が登場しますが断トツの存在感でした。ただこの親子のことは最後までよく解りませんでした。
真木よう子さんが苦手なので観に行くか悩みましたが、母親役に違和感が無くていい役だったと思います。冒頭の発狂シーンも含め良かったです。
子供が亡くなったり、子を殺された母親のシーンなど泣けましたが、自分を助けてくれた女子高生と元ヤクザとの面会シーンは号泣でした。
前に歩き出した女子高生や主人公家族を見て最後は少し心が軽くなる映画でしたが、最後の最後、エンドロールの後のワンシーンは、きれい事だけではない差し入れ店という仕事のリアルが見える重要なシーンでした。
面白い映画でした。見に行って良かったです。
貴重な知る機会となった
差し入れ店について知る初めての機会となり、非常に嬉しい思い。
殺人を肯定するわけではないが、世間からは冷や水を浴びせられ続ける役回りなので
ちょっとヒロイックに映りもすると思ったが、そこまでの描かれ方ではないのがいい。
殺人を犯した男との対話は続きそうだったが、依頼を受けて金を稼ぐわけなので、依頼人である母親に対してあのような接し方で終わらせたのはもったいなかったように思う。
できればそこの関係修復や、割り切る描写があってもよかった。
夫婦や家族のバランスはとてもよく出来ていて、むしろそちらに惹かれた。
真木よう子はなぜあんなに滑舌悪いのか不思議だったが、夫の短気で幼いとまでいえる社会性の無さを補う
まさに母の立ち回りができており、そこに救いがあるように思えた。
特殊な仕事
タイトルの字面を見た時は、商店街とかのホンワカ映画?…というのが一瞬頭をよぎったが、全く違った。
重いものを背負った人々の話である。
世の中にはまだまだ知らない職業や物事が沢山ある。(「あまろっく」なんかもそう。知りませんでした)
それを学べる映画の力に感謝です。
依頼に従い、物品の差し入れや手紙の代読などをする差し入れ店を伯父から引き継ぎ営む金子(丸山隆平)。しかし対象の場所は刑務所、受刑者面会の差し入れともなれば、そう簡単にはいかない。被害者がいる以上、非難する人もいるなかなか厳しい仕事だ。
自身も受刑者だったことから、償いや家族とのやり直しの意味もあるだろう。妻と協力して暮らしを立てながら、息子を可愛がる姿が印象的だった。
劇中の2つの殺人事件には、いずれも歪んだ家族が登場する。小島(北村匠海)も佐知(川口真奈)も罪を犯しながらも、自身も親から被害を受けており、心が壊れている。
また、横川(岸谷五朗)と佐知の関係には泣けてしまった。そっちの道で生きてる人も人を思う一面があり、本当に生まれ育つ環境がいかに大事かを思い知らされる。
本来、代行が細かな事には立ち入れないと思うが、差し入れているのは、人との繋がりや、人生を見つめ直すきっかけなのでないか。少なからずも救いになっているのではないか。そして、金子本人も自身に向き合って…そんな感想を抱いた。
*****
最近、様々な代行業があるものだなと思っていた。
退職代行なども初めて聞いた時は、そんなことも
人に頼むのかと驚いたが、本作の差し入れ代行も同じで、諸事情あるにせよ、当事者同士が直接コミュニケーションを取れない状況はどうなんだろうと考えてしまった。助かる人がいて、平日は行かれないとか、時代や環境もあるから一概に言えず難しい。
*****
丸山君の特別ファンとかではなく、ドラマ1作しか見たことないけど、昔からお顔に惹かれます(*^^*)
イケオジになっていくのではと思います。
ハードな内容なのに鑑賞後には心が温まる映画
とてもハードな内容なのに、鑑賞後になぜか心が温まり前向きな気持ちになる不思議な映画。
同時進行で描かれる2つの事件が解決するような爽快なサスペンス映画では無い。
しかし、この事件を通して変化する人間の心情の変化を繊細に受け取ることができる。
劇中には、様々な親子が出てくるが母と子の関係、現代の家族のあり方が裏テーマになっているのかな?と思う。
観て良かった!誰かの為に寄り添える 人の繋がりとやる意味を知る。
囲われた拘置所。訳があって拘留者へ親族より依頼されて差し入れ業を行う人。
それが 金子差入店である。
へぇ~ そんな職業が有るんだと言う思いが最初はした。
今日は「金子差入店」を観に行きましたよ。
出ている俳優陣はどなたも凄い!
大御所の方多目ですね。
最初 パッとチラシ見た時 主は濱田岳さんなのかと。
だが違った、丸山隆平さん(SUPER EIGHT)でしたね 良く見たら。
ちょっと心配したけど全く大丈夫。両脇に前後を大御所ベテランさん達が支えてて
そこの連携が功を奏したと感じます。
社会の抱えてる闇を描いており、加害者と被害者。そのどちらでも無い家族。
一見無関係に見えるが 加害者側への援助支援をお金を取って業を行うと
被害者から見れば その支援が仇となり、敵視されてしまう。
この関係性を見事に描いています。
つまり 人の心に抱えている弱さですね これは。
ちょっとした行動が理不尽になって行く様が描かれてます。
この差入する人に まさかの焦点を当てた作品が生まれるとは 立派な取り組みに感じますね。
こう言う視点的作品 好きですわ。
映画”正体”とかは 面白がってカッコつけてる感じするので好きじゃないですね。
(感じた所)
・出だし 主の金子真司が拘置所にいて、妻(美和子役:真木よう子さん)が差し入れしてる場面がある。
そこで 子供が生まれた事を知るのだ。
大半差し入れは許可されないが、情報だけは伝える事が出来る。
自分たちの子供を夫に抱かせたら、きっと命の大切さを知って真面目に生きて行くだろうと 妻の思いが有って そこは見事な狙いだったと思う。
ただ この場面、丸山さんが力入り過ぎて 誰か??分からんかった。
ここの流れ もうちょっとアシスト表現欲しかったかな。
編集が粗く切り替わるんで、その波にこっちが最初感情 乗れなかったです。
・どうしようも無い母(金子容子役:名取裕子さん)の存在。
お金をせびって来ては 若い男に貢いでしまう母親。
真司は母を絶対に絶対に許さない。心の底から憎んではいるのだが。
ある時 叔父(星田辰夫役:寺尾聰さん)から この家業の話を聞いた。
まさか身内のお前が拘置所に入って そこへ差入するとは思わなかった、
でも そうさせたのは、お前の母親の ”何か差し入れでもしてあげたら”
その言葉が有ったからだった。未だに代金は払ってくれて無いけども・・・。
ここの 話、実はジ-ンと来るんよね。
母の感情がやっぱり存在していた証拠なんよね。そう思う。
それを 真司は知って、憎む母の事を理解して 生きて行くのだと思うのよね。
人が憎く思う(成る)前は やっぱり相手は普通の感情の持ち主と思うのよ。
この思いが、学生を殺す殺人者(小島高史役:北村匠海さん)にもあって、
また 娘へ強制売春させていた母を殺す殺人者(横川哲役:岸谷五朗さん)にもあってなんだと感じますね。
最後に小島の話相手に成って行く~ 金子の姿をみて その理解を得たんだと思うんだな。
・拘置所の管理官への手渡し場面。
ここの 金銭渡して融通させていた場面は ダメですね。
現実問題、有るのか無いのかって言ったら 無しでしょう。当たり前ですが。
気心加えてたと成ったら大問題。作品だから良いけどもね。
でも これを駆け引きにして 二ノ宮佐知(役:川口真奈さん)を
横川哲に面会させる手にでるのだ。
金子のそうしなきゃ ダメだと言う思い、誰かの為に 何かをする。
その強い思いが そこに在ったと感じます。
中々 パッと見では避けられそうな作品テーマですが
ご興味御座います方は
是非 劇場へどうぞ!!
視点により
視点により評価が変わる作品ですね。
今まで知らなかったことを知ることが出来た。
ただやはりそういう性質の方々なのか・・。
と思ってしまう人には評価されないのではないかと。
最後の少女のシーンも評価を二分するかも?
いい映画ではあるけど、素直に楽しむことが出来なかったので
罪を犯した者にも、その人を思いやる人がいる
今年の劇場版「名探偵コナン」に、「刑務所の近くには差入店がある」みたいな台詞があったが、それが、実際にどんな職業なのかは、本作を観るまで知らなかった。
刑務所への差し入れの代行業というと、受刑者の身内等にはありがたいのだろうが、犯罪の被害者にとっては、加害者に肩入れしているようにも見えてしまうので、映画の中で描かれているように、反感を持たれたり、非難されることがあるのかもしれない。少なくとも、「誰からも感謝されるような仕事ではない」ことは確かなので、それに従事する上での苦労や葛藤があることは、容易に想像することができる。
ただ、罪を犯した者であっても、その人を思いやる人はいて、そんな、依頼人の「思い」を受刑者に届けること、あるいは、受刑者に、「あなたを思っている人がいる」ということを知らせることも、差入店の重要な仕事であるのは間違いない。
劇中、主人公が、主に関わるは、彼の一人息子の友達を殺した若い男と、娘に売春をさせていた母親を殺した元ヤクザの2人の受刑者で、それぞれを演じている北村匠海と岸谷五朗が、共に強い印象を残している。
若い男の方は、「100匹の蟻」の話を持ち出して自分を正当化し、少しも改心する様子はないし、彼の母親にしても、情緒が不安定で、「二十歳を過ぎた子供の責任は取れない」みたいなことを言い出して、どちらにも、同情することも、共感することもできない。
一方、元ヤクザの方は、少女を救い出すために母親を殺したということが分かってくるのだが、売春の事実を表沙汰にさせないという配慮から、少女は、元ヤクザとの面会を拒絶され続けている。
終盤、主人公が、少女と元ヤクザの面会を実現させる場面では、自分のことを助けてくれた元ヤクザに、必死で「生きて」と訴える少女の姿に、思わず目頭が熱くなったのだが、これこそが、「思い」を差し入れるということなのだろう。
その一方で、主人公が、若い男と面会する最後のシーンからは、たとえ、人間として許せないクズであっても、業務として差し入れを続けるという職業人としての「矜持」は感じられるものの、サイコパスには「思い」は届かないという無力感も覚えてしまった。
ここは、そんな殺人犯でも、母親は「罪を償って立ち直ってほしい」と願っていて、そんな「思い」が、わずかながらでも彼に届いたみたいな展開になっていたならば、もっと感動できたに違いないと、少し残念に思ってしまった。
それから、主人公自身が元受刑者で、受刑者の心情を理解できるということが、比較的重要な設定になるのだろうと思っていたのだが、そうした背景が、まったくと言っていいほど物語に活かされなかったのは、一体どうしたことだろうという疑問が残った。
「おくりびと」から17年。新たな知られざるお仕事映画の誕生!
おくりびとで助監督を務めた古川豪さんの脚本そして初監督作品だという。構想から公開まで10年以上かけた作品とのこと。
思いを込めたデビュー作なのだろう。僕の苦手な誇張された感情表現もなく、しかしとても重たいさまざまな登場人物の感情を丁寧に描写映画であった。この映画での脇役岸谷五朗と川口真奈のエピソード回収場面は素晴らしく、泣かされてしまった。
古川監督が助監督を務めた「おくりびと」、調べてみたら2008年公開。そんなに前だったかな。
納棺師という職業について、初めて多くの人が知ることになった映画だった。単に棺に納める仕事ということにとどまらない職業の持つ意味や、倫理観、働く人の誇りと美意識。そう言ったものを見事に伝えた「お仕事映画」の最高峰の一つだと思う。
おそらく古川監督は助監督を務めた「おくりびと」からヒントを得て構想し、本作の主要モチーフ「差入れ屋」という仕事を発見し、10年以上かけて構想を深めたのだろう。
刑務所に差し入れができるのはなんとなく知っていたが、それを代行する仕事というのは聞いたことがなかった。収監された犯罪者に会えるのはおそらく家族や弁護士や、なんらかの関係者だけのはずだ。
その中で、なんらかの事情で面会できない、あるいはしない、家族の代わりに差し入れをする人というのは、物の差し入れをするだけではない、家族や関係者、そして当の犯罪者のケアに関わる人であるという監督の見立てはとても素晴らしく意義ある啓蒙でもあると思った。
物の差し入れだけでなく手紙の代読も許されているとのことだから、心の交流の代理人でもあることが映画の中でも描かれる。
さまざまな関係者が重層的に描かれる脚本の整理も素晴らしい。ただ、主人公が元服役囚であるという設定、また途中で描かれる殺人事件の被害者と関係がありつつ、加害者の家族の仕事を受けるという設定は、この映画のドラマ性を高めている一方で、本作で多くの人が知ることになる差し入れ屋という職業への掘り下げを浅くしてしまったような気がしている。
経験した人がとても少なく、まだ知られていない仕事であるだけに、その職業の持つ意味や意義、独自の職業倫理といったものがあるはずで、その辺りを掘り下げて欲しかったと感じた。
寺尾聰演じるおじさんがその職業の主人公の師匠でありメンターのはずなのだが、同居しているにも関わらず、主人公に対して十分な継承が行われていないようだった。
その継承が行われた上で、この職業の意味と持つべき倫理を身につけた主人公が、その倫理を超える決断をするという描写があったら、差し入れ屋について深く知ると同時に、その職業倫理の難しい壁を主人公が職を失う覚悟をしてまで、守ろうとする、あるいは越えようとするという大きな成長物語にもなった気がする。
10年以上もかけた監督の素晴らしいお仕事に敬意を感じた作品だから、こんな感想はなんか素人の身勝手な意見でおり、勝手な願望だ。
とにかく、主人公だけでなく周辺の人物の描写が見事で、相当な取材をされた脚本でもあるのだと思う。感情が揺さぶられる映画である。
魂のぶつかり合い
物語の最初から最後まで人間の悲しみ、哀れみ、喜びがぶつかり合って、交差する話でした。
悲劇的な事件を軸にその事件に関わる被害者、加害者、警察や弁護士、検察を描いた物語は数多いですが、拘置所への差入店という今まで描かれなかった視点から、ある2つの違う事件に翻弄されていく家族を描きます。
出演する俳優陣は皆、演技派の方々で豪華メンバーです。なので、各々の魂の叫びを見事に演じきって、ぶつけ合っているように思いました。
その中でも寺尾聰さんは、イケじいじですね。存在感がえげつないですし、真木よう子さんの演技力はさすがです。
物語は2つの異なる事件に関わることになった差入店の家族が翻弄され、その中で改めて絆に気づいていく話。
2つの事件は1つは起きた背景・原因に周囲の人が気づきながらもある少女を守るものに対して、もう1つの事件は背景・原因の真相はもはや犯人個人にしか理解できないもの。この2つの事件がコントラストを描くことで差入店の主人公と家族の揺れ動く姿が描かれています。
そして、みんなが自分自身の居場所を必死で探し、守っている、、だからぶつかり合うと激しく反応する。だから居場所があることが人としてとても大事なんだと思いました。
ラストの1つの事件の犯人役の岸谷五郎さんと主人公役の丸山隆平さん、高校生役の川口真奈さんの拘置所の謁見室のシーンは圧巻ですよ。
少し変われたら見方は変わる。
刑務所や拘置所に収容される人へ差し入れ代行をする金子差入店・金子真司に起こる話。
小学生の息子・和真の幼なじみカリンが1人塾へ行ったきり帰って来ず、翌日河川敷で殺害され見つかる、…数日が過ぎた頃カリンを殺した犯人は捕まり、それから少し経ち犯人の母から殺人犯である息子へ差入れをして欲しいと依頼され受けることになるが…。
刑務所、拘置所、留置所に差入れする代行ってあるんですね。本作観て知りました。
この作品と同様差入れ屋をやってる事でホント恨まれたり、…確かにありそうですね。
小さい頃から見てる息子の幼なじみの女の子の死、それだけでもショックなのに犯人母から犯人への差入れ依頼、仕事と割り切っても割り切れない金子真司の苦悩、この仕事をしてる事で小学校の友達、近所のママ友からの見られ方が何とも悲しいしイラッとしたかも。
あの傷ついた女子高生の彼女の表情が明るくなった時は泣けた。
命の差し入れ
幼女を殺害した小島が語る二割の働かない蟻の話。どんな社会でも必ずルールからはみ出す人間は存在して、そんな人間は生きる価値はないのかと問いかけてくる。
真司の母容子はどうしようもない母親で真司は忌み嫌うが妻の美和子や叔父の星田は生きているだけでもありがたいとして彼女をかばう。
美和子の両親はすでに他界しているのだろう。生きてる間しか親孝行できないからと何かと容子に気遣う。星田も今自分が甥の家族と暮らせるのは真司を生んでくれた容子のおかげだとそこだけは感謝しているという。
元ヤクザの横川は出所したそばから殺人を犯し再び刑務所に戻ってしまう。もはや人生は終わった、こんな自分は生きる価値はないとして独房で首を吊ろうとする。そんな彼に毎日のように面会に訪れる佐知。彼は自分を救ってくれた。真司が機転を利かせたおかげで面会を果たせた彼女は横川に生きてくれと何度も呼びかける。真司は命を差し入れしたのだ。
残虐な殺人を犯しなんの悪びれる様子もない小島との面会は真司には応えた。なぜこんな人間が存在するのか、こんな人間に生きる価値があるのか、できるなら自分の手で殺してやりたいとまで真司は思った。
小島との面会で精神的に追い詰められた真司にさらに息子のいじめの問題が追い打ちをかける。彼は息子を愛するあまり学校でトラブルを起こす。かつて激高しやすいその性格から過ちを犯したころの記憶がよみがえる。
こんなどうしようもない自分を妻の美和子は見捨てなかった。彼が立ち直れたのは家族の存在があったからこそだった。美和子や星田があんなどうしようもない母容子をかばう気持ちがわかった気がした。人はそこに存在してるだけで価値がある。生きる価値のない人間なんてこの世には存在しない。たとえ残虐な殺人を犯した人間であろうとも。
本作は問いかける。生きる価値のない人間なんてはたしてこの世にいるのかと。今の社会は何かと生産性だの人間の価値を数字で推し量ろうとする時代。障害者や犯罪者のような存在は社会のお荷物として何かと排除対象とされてしまう。しかし二割の蟻のようにそれらを排除してもまた新たに排除対象は生まれてくるだろう。排除対象などと考えている限りは。二割の蟻を排除し続ければやがて蟻はすべていなくなってしまうかもしれない。
人間は生きてるだけで誰かの心の支えとなっている。誰かを支えとして生きているその人はまた誰かの支えになっている。誰かは必ず誰かの支えになっているから存在してるだけで価値があるのだと本作は訴える。生きているだけで価値があると本作はそう訴えている。
本作を鑑賞して相模原事件で犠牲になった寝たきりの障害者の子供を持つ母親がただ生きていてほしかったと涙ながらに話していたことが思い出された。
本作はあえて小島のような誰が見ても忌み嫌う存在を観客の目の前に提示してこんな人間でも生きる価値はあるのかと問いかける点が秀逸だった。
地元に近い大阪都島区には大阪拘置所がある。元首相銃撃事件の犯人や和歌山カレー事件の犯人として収監されてる人物がいる拘置所のすぐ隣には普通の住宅地やら高層マンションが立ち並んでいる。
その高くそびえたつ拘置所の壁を隔てて全く異なる空間が広がっている。そしてそのそばには本作で描かれたような差し入れ店の丸の家がある。その外観はやはり本作のような普通の日用雑貨店の佇まいだ。
昔からこういう差し入れ店があるのは知っていたが、刑務所によって差し入れの規則は細かな点で異なるという。
差し入れを代行する商売があるのは理解できるが、弁護士でもないのに受刑者との面会を親族から依頼されて行うというのは現実にありうるんだろうか。特別な事例で関係者のみが認められるケースがあるにしても商売として継続的に行えるとはとても思えないし、また弁護士のような高額報酬も得られないのに生涯守秘義務を負うとか凶悪犯罪者との面会などストレスの大きな仕事を一般人にやらせるだろうか。そういう点で本作のリアリティラインをどこにひけばいいかわからなくなってしまった。
おそらく内容的には差入店に着想を得た監督によるかなりの部分創作がなされた作品なのだろう。そのせいか劇中での差入店を営む主人公たちへの周囲の偏見などはあえて物語性を高めるためなのか無理に作られた感じがする。ご近所さんは主人公の真司に前科があるのは知らなさそうだし、逆に収監された小島がなぜ真司の前科を知っていたのか。あの弁護士が喋るはずはないし刑務官が喋ったとしか思えないが、その辺も少し脚本が甘い気がする。刑務官を買収してるシーンなどあれは問題にならないのだろうか。
などなどいろいろと疑問に思うことが多い映画ではあるがそれを抜きにしても人間ドラマとしてはそのこめられたメッセージといい、役者陣の素晴らしい演技といい、総合的にみて良い作品だった。
作品ラストのラスト、壊された植木鉢を淡々と掃除する真司の姿は、たとえ小島のような人間でも受け入れた彼の心情を表したのものであろう。
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