「人間を描いた映画」金子差入店 わっさんの映画レビュー(感想・評価)
人間を描いた映画
ちょっと生々しいくらいに人間を描いている映画。
主人公だけでなく、登場人物全員が様々な思いを抱え、感情をこちらに突き出してくる。とにかく2時間ずっと、誰かの感情が波打っている。ひっきりなしに誰かが涙し、誰かが怒り、誰かが塞いでいる。平和な時間は少ない。
登場人物も少なくないし、エピソードもそれぞれあるので、情報量が過多である気もしなくもないが、個人的には、ぱんぱんに詰め込んだギリギリのラインという感じだった。これだけ詰め込まれているが「なんでこうなった?」がほぼなく、感情の流れについて行くことができた。2時間5分の上映時間できちんとまとまっているイメージだ。
ただ結構頑張らないと振り落とされるので、ポップコーンを食べる暇はない。私は観終わったときへとへとになっていた。そういう意味ではやや覚悟して観ることをおすすめする。けど、観たら観てよかったな、となると思う。
主演の丸山隆平さんがアイドルとしてのイメージとは少し離れた演技をしていたのがよかった。北村匠海さんの怪演もみどころ。個人的にはヤクザ役の岸谷五朗さんと、犯人の母親役の根岸さんがよかった。
最終的に、人間は人間なんだなと思わされる。
傷ついたり、誰かを責めたり、攻撃したり、僻んだり、そういうものが人間。
だけど、少しの勇気や真心や優しさを持つこと、誰かを許容すること、それも人間。
自分はどこでどう生きるべきか、と考えさせられる。
人間が好きな人、人間と関わって生きてきた、生きていくつもりの人におすすめしたい。
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