劇場公開日 2025年1月31日

「他者の営みの先に生きている」リアル・ペイン 心の旅 海渡さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0他者の営みの先に生きている

2025年2月22日
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鑑賞方法:映画館

難しい

ハートフルいとこ旅的な気持ちで見に来たけれど、想像以上に重くてずっしりした。

繊細で表情豊かで人に好かれるも定職に就かずフラフラとマリファナを吸う陽キャと、美人嫁と可愛い息子がいるも他者の目が気になって仕方なくて社会に馴染むのに必死や陰キャ。

わたしは後者にめちゃくちゃな親近感を覚えて、共感性羞恥を味わった。
記念写真ではしゃぐの、無理だもんな。

なんというか、当たり前なんだけれども、私が今住んでいる家に住んで私という歴史を紡いでいるのと同じように、歴史の上に生きた人々もその人の歴史を毎日毎時間毎秒紡いでいたんだよな、と改めて思った。
そりゃそうだろと言われたらそりゃ、そうなんだけどさ。
例えばこう、徳川家康が豊臣家を滅ぼしました!と聞いても、ふーん、としかならないけれど、そこには徳川家康という人間と、豊臣秀吉、茶々、秀次、秀頼、……みたいな人間が当たり前だけど存在していて、それを刺して、頭を切り落とした人がいるわけで、もっといえば、兵糧攻めで苦しんだ人だっているわけで…みたいな気持ちになった…………

歴史って授業で習うものだし、年号なんて覚えてもどうせ何か新事実が発覚する度に変わってゆくのだから、と思っているけれど、そこには当たり前だけど、当たり前に人の営みがあって、その先で私は生きているのよな、と思った。
ただ、これをずっと考えながら生きるのはあまりにも重いから、難しいけれど。

それから、万人に好かれていてコミュ強だったとしても、幸せな家庭に身を置いていたとしても、どんな人だって、どんな過去があってどんな事を後ろに抱えて、生きてるなんて、言わなきゃ伝わらないし、聞かねばわからん。その抱えているものが、どのくらい大きいかなんてのも人によって感じる重さは違う。

とかなんかそういうことをいっぱい考えた。
いや、ずっと、考えてるとこ。

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海渡