「鑑賞後の余韻が暖かい」リアル・ペイン 心の旅 グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞後の余韻が暖かい
痛いというのか、面倒くさいヤツというのか、なんかイライラさせられるヤツというのか、自分を同類だと周りの人に思われたくないし、巻き込まないで欲しい。
うまく言えないけれど、というより、私の語彙不足でベンジーの人柄を変な方向で誤解されると困るのだけれど、とにかくそんな感じの人と人生のある段階で出会うことって結構あると思う。しかも困ったことに、そういう人を否定的に捉えたり、時には自分より〝下の人〟(絶対口にはしないけれど)だと決めつけて優越的な感情を持ってしまったりすることもある。なのに、そんなことを思ってしまった後は、大抵の場合、本当はオレだってあんな風に振る舞えたらどれだけいいだろう、と重い自己嫌悪に陥ることになるのだから堪らない。
ベンジーのような人にイライラしてしまうのは、どこかで、自分の嫌らしい負の感情や家族や友達には知られていない自分の醜い部分を気付かされてしまうような気がするから。
日本で言えば、〝被爆三世〟に当たる世代の二人の旅。底流にある重いテーマとは別に、今を生きる若者の漠然とした不安や苛立ちにそっと寄り添う、とても暖かい作品だと思います。
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