「危うくて純粋な困ったヤツ」リアル・ペイン 心の旅 ひでちゃぴんさんの映画レビュー(感想・評価)
危うくて純粋な困ったヤツ
ジェシー・アイゼンバーグ監督・脚本・製作&デヴィッド役という
素晴らしい才能とキーラン・カルキンのベンジー役での突出した演技に
打ちのめされる作品でした。
冒頭のデヴィッドの描写からベンジーと空港で落ち合って以降の
ベンジーの描写が対比として、まさに真逆といって過言ではない二人の
キャラクターの旅がどんなものになるのか期待感がありつつ、
飛行機の中でのベンジーの言動に、「?」がつく絶妙な導入でした。
ホテルで二人でハッパを吸いに屋上に登ったりすることで
デヴィッドがベンジーに振り回されていることがわかります。
ツアー中も自由且つ純粋なベンジーの言動にツアー参加者も振り回されるんですね。
電車内、お墓。そして強制収容所の帰路で号泣するベンジー。
ツアー最終日前日のツアー客との夕食時でも自由な振る舞いのベンジーですが、
ベンジーが離席している間、デヴィッドが溢れる思いを止められず、
ツアー客たちに語るシーンが、この作品のもっとも見どころでしょう。
ここで、デヴィッドはベンジーのことを、めちゃめちゃ殺したいくらい憎いけど、
めちゃめちゃ愛している、といったことを語るんです。
大いなる矛盾ですが、ベンジーを見ていれば、そういう感情になることも実によくわかるし、
Painだったりもするのだと思います。
ラストに空港で別れるふたり、
デヴィッドは自宅にベンジーを誘いますが、ベンジーは断り、空港に残るんですね。
家に帰りたくないのかな、寂しい思いを噛み締めているのかもしれません。
冒頭の空港での待ち合わせも、ずいぶん早く到着していたベンジーですから、
よほどデヴィッドに会いたかったのでしょう。
終始精神的に不安定なベンジー(デヴィッドも不安定で薬を飲んでいました)の
ラストショットは実に心配になります。
大丈夫かな!?ベンジー。ちゃんと生きていて欲しい。
そう思いながら幕を閉じました。
劇伴のショパンも作品を極上にしていた素晴らしい要素だと思います。
なんとも言えない心に沁みる鑑賞後感でした。
ごもっともです。 でも 素直になれない悪人の私は『なんで 母親存命なのにそうなるかぁ 仕事セイ』という邪悪な思想になってしまいます。 心の機微の名作は相違ないです。イイねコメントありがとうございました😊😊