「過去の受難を通して知る今の受難」リアル・ペイン 心の旅 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
過去の受難を通して知る今の受難
しばらく疎遠だった従兄弟のデヴィッドとベンジーが亡き祖母を偲ぶため、彼女の故郷ポーランドを旅するツアー旅行に参加し…
ジェシー・アイゼンバーグの前監督作は未見だが、地味ながらも評判が良いと聞いていた。結論から言うと、本作も地味ながらも味わい深い1本だった。
社交的で言いたい事をズゲズゲ言うベンジーに、デヴィッド同様に観る者も気が気でなくなってくる。しかしこれには事情があり、実はデヴィッドにも現代社会で生きていく事に受難=リアル・ペインを抱えている。ホロコーストを生き延びたとしても、ユダヤ人のその後の人生は受難続きなのか、と余計な勘繰りをしてしまったのは『ブルータリスト』を先に観たからかもしれない。
とにかくベンジー役のキーラン・カルキンが好演。当初はアイゼンバーグが演じる予定だったのを替えたのは、プロデューサーのエマ・ストーンのアドバイスだったらしいが、これは見事なグッジョブ。もしアイゼンバーグが演じていたらマーク・ザッカーバーグの二番煎じになっていただろう。あとジェニファー・グレイも出ていたとエンドクレジットで知りビックリ。
安直なハッピーエンドにしていないあたりも、いかにもインディペンデントな作品。
コメントする