劇場公開日 2025年2月7日

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「ティーンウケする恋愛映画の、気恥ずかしさの正体。」大きな玉ねぎの下で ソビエト蓮舫さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ティーンウケする恋愛映画の、気恥ずかしさの正体。

2025年4月27日
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鑑賞方法:映画館

幸せ

昭和から平成初頭くらいまでは、
文通相手を見つけるために、専門雑誌に住所を公開していた。
当時の日本人は、何かのネジが外れていた事を表す一事例だが、
それでも治安秩序が、一定の範囲内で治まっていた事の表れでもある。

今日もまたオードリー若林のネタ話を注入。
平成の恋愛指南雑誌「ホットドッグ・プレス」を、
古本屋でゲットした事に端を発した平成リバイバルが、若林の中でマイブームを起こし、
高校時代のアメフト雑誌ゲットを目標に、「古本屋の街」神保町へ馳せ参じた若林。

そこのスポーツ雜誌専門店で、
母校日大二高のアメフト試合記事が掲載された雜誌を手に入れたら、
なんと、対戦相手が錦鯉の渡辺さんが所属する、日大一高だったらしい。
なんともエモい芸人達の青春回顧エピソードだったわけだが、
この雜誌にもまた、試合録画のビデオテープを求める、
交換所的な役割を果たすために、住所を晒す者が数多存在してたというのだから、恐れ入る。
私も、同様の目的で神保町に足繁く通った時期があった。
80年代のプロ野球選手名鑑入手の為だ。
最初は本の入手だけが目的だったが、80年代の選手名鑑は、選手の住所も公開されている事に途中で気づき、
目的が変わってしまったのだ。

恐ろしいプライバシー意識の時代なのだが、
映画の話に戻すと、プライバシーへの興味以上に、
文通相手という、人との出会いを多くの人々が欲していた、という事なのだろう。

物語の縦軸が2つあり、
昭和の文通相手との物語と、令和の仕事上の業務連絡帳を通したペンフレンドとの物語。

主の物語は令和の方で、ペンフレンドとしては互いを思いやれて、素敵な関係なのに、
現実では、実は顔見知りの仲でギクシャクした関係でありつつ、
2人ともペンフレンドの相手だと全く気づいていないという初期設定。

そこから話が進んで、恋愛ストーリーの展開があって、
日本武道館という目標が用意されて云々かんぬんと続いていくのだが、、、

恋愛物語としては、普通の恋愛話で可もなく不可もなくだったが、
なんというか、10代20代の恋愛脳というのは、
脳内の95%がそれで独占されている感じがして、
瞳を凝視したら、赤色ハートマークが見えちゃうような「おめでたさ」があり、
傍から見ていてやっぱり恥ずかしい心地になる。

頭ん中の「空っぽさ」というか、「お気楽さ」が透けて見えるのは、
それはとてもピースフルな環境で、幸せな事で、結構な事なんだけれども、
同時に、膝下までしか水に浸らないような、浅いプールでのお戯れにしか見えないので、
そのプールでのお戯れって、果たして水泳と呼んでいいのかしら?
みたいなシラケを感じる。

泳げない大人が、深いプールに怖くて入れず、
ずっと浅いプールで幼児達と一緒にいるのを、傍から見ている時のあの感じ。

当人が楽しければそれでいいし、泳げない人を無理矢理深いプールにぶっ込むのも、
ハラスメントだからするつもりもないが、
子供用プールで戯れてた大人が、
「あ〜今日はめっちゃ泳いだなあ〜。水泳って疲れるよなあ〜。」って呟いてたら、
やっぱりそれはそれで、見ていて気恥ずかしさを感じる。

10代20代にウケてる恋愛映画、
脳内の95%が恋愛で埋め尽くされてる人々の恋愛映画って、
つまりティーンウケしそうな恋愛映画って、
そういう「おめでたさ」が気恥ずかしく感じるので、
青春映画でも、恋愛に大きく寄せて来られると、ちょっと抵抗感がある。

大前提として、プールに大きいも小さいも、浅いも深いも無いのだけれどもね。
ただまあ、なんというか、つまりその、
おめでて〜なって話。

ソビエト蓮舫
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