「本当に欲しいモノがあるのなら本気で取りに行こう。出会いの約束をしたのならその場所を目指して全力で走りだそう。その心は時代を超えて観る者へと良く伝わってきます。」大きな玉ねぎの下で もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
本当に欲しいモノがあるのなら本気で取りに行こう。出会いの約束をしたのならその場所を目指して全力で走りだそう。その心は時代を超えて観る者へと良く伝わってきます。
最初はノーマークの作品だったのですが
大きな玉ねぎの正体とか爆風スランプとか
出演者に気になる人が多く出てるなぁ と
気付いたら映画館に来てました。・_・♪ またかー
というわけで鑑賞です。
30年前と現在。
平成と令和という二つの時代の流れを縦軸に
それぞれの時代で起きる人間模様を横軸に
武道館ライブを観に行くはずだった、平成・令和それぞれの
時代のカップルの恋愛模様を描き出した作品です。
光の描き方がとても匠で綺麗。・_・デス
登場する人物の感情表現も共感しやすく描かれていて
最後まで作品の世界に入り込んでの鑑賞でした。
主な登場人物は
・堤丈流 (神尾楓珠) 大学4年正。就職活動はどうした…
・村越美優(桜田ひより) 看護学生。 ツンデレ。
この二人のバトルを描いたのが令和パートです。 …他に平成パート
その他の主要人物として
丈流の両親(原田泰造・西田尚美)
丈流の友人
丈流と美優のバイト先の店の人など一杯登場。
他にも沢山の人物が登場しますが、ヘタな紹介を書くとネタバレ
に直結しそうなので省略。 @_@ (本当は書きたい…うずうず)
せめてお話の冒頭だけでも…(あきらめの悪いヤツ と、自爆)
◇
酒の席で、友人の就職内定を祝う丈流。
友人から丈流の就職活動の状態を聞かれ、こう答える。
” 全ては偶然の結果だから ”
そんなことを友人に話していたところ、隣の席の女子から
丈流に声がかかる。
どうやら、丈流の話が聞こえていての反応らしい。
それも、丈流の主張の矛盾を指摘する突っ込みだ。 むむ
丈流とその女子との声のトーンが上がっていく。
” まあまあまあ ” と、丈流の友人その2が割って入り仲裁。
…しようとして、その場に倒れる。
” えっ ” どうしよう…まずい
固まる丈流たちを横目に、昏倒した友人に冷静に処置したのが
先程の丈流に突っ込んだ女子だった。、
店の人に救急車手配を依頼し、状況を知るものとして救急車に
乗り込んで言ってしまう。 ただ呆然とするだけの丈流。
応急手当が良かったらしく、友人は無事退院。ほっ
お前はオロオロするだけだった と丈流に文句をぶちまけて
” 俺に代わって、命の恩人を食事に誘え! ”
と、正論とも理不尽ともつかぬことを依頼する急アルの友人。
” なぜ俺が? ” という気持ちは当然あるが、あの場に
彼女=美優が居合わせなかったら、友人を一人失ったていたの
かもしれない。美優の連絡先は、急アル友人がナンパ(?)した
美優の友人から聞き出していたようだ。
「お礼」ということで、美優と一緒に食事をすることに。
食事の席の後もギクシャクとした丈流と美優だったが
ふとしたことで、互いに共通のサイトのファンであることが
分かる。思いがけず、親密度が徐々に上がっていくのだが…
以降、そう単純な展開ではありません。・_・デス
丈流の父親の話や、30年前の高校での出来事とか
過去から現在につながるエピソードを散りばめながら
最初はぼんやりとした、ストーリーの骨格が次第に明らかに
なっていくのを一緒になって体験した気分です。
あと、この作品での重要アイテムが「交換日記」。 ← …違う
丈流と美優、実は同じ場所でアルバイトをしていた。
同じ場所…に違いはないのだが、店としては別々。
同じ店舗を使って、昼と夜とで別の店として営業しているのだ。
昼はケーキ屋で夜はバー。(オーナーが同じなのかな?)
二人は昼と夜それぞれの店でアルバイトをしているのでした。
互いにそのことを全く知りません。
昼の店と夜の店とで、相互に連絡事項(落し物とか)を共有するため
の「連絡ノート」を準備し、申し送りする運用が始まります。
昼の部からの連絡を記入するのは、美優。
夜の部からの連絡を記入するのが,丈流。
本来は業務連絡用の日誌のはずが、次第にそれ以外の内容を書き込ん
だもの(日記のような)になっていきます。
ノートの中では、相手が誰だか分かりません。
知らない気安さもあり、励ましや悩み相談のようなこともしばしば。
顔を合わせれば、なかなか素直に相手を認められない二人が
ノートの中では心の交流の親密度が深くなっていくのですが…。
以降、そう単純な展開ではありません。・_・; デスヨ
というわけで、
作品が気になる方は是非、劇場で確かめてみて下さい。・_・☆
個人的には、作品に入り込める良い作品でした。
充分満足です。・_・☆
◇あれこれ
■タマネギといえば
パタリロを思い浮かべました。タマネギ部隊。・_・
舞台にもなっていたとは知りませんでした。
■丈流クンの就活
結局 就職できたのかなぁ…。
結果が描かれなかった気がして、気になってます。
■配役の妙
丈流の父(原田泰造)の現在と30年前。似てます。
丈流の母(西田尚美)の現在と30年前。こちらも違和感無し。
それぞれ似た役者さんを良く探しましたね。
■桜田ひよりさん
一番最近観た作品では、フライパンが武器でした。(ウソ)
今回の作品でも、自分の考えることを主張する自立した女性を
好演。「おかえり寅さん」で満男の娘役で初めて観たときは、
大人しめの雰囲気を纏っているように感じたのですが、むしろ
活発な役の方が似合うのでしょうか。
今後も要チェックです。
■原田泰造さん
誠実で実直。そんな中年男の役が似合うなぁ と、改めて認識し
ました。個人的には出演作を観るのが久しぶりでしたので、
充分満足いたしました。
◇最後に
ノートに書いたことだけが、相手に直接伝わる訳なので
読む方は文字通り「白紙状態」の「先入観なし」で相手の
イメージを作り上げていくことになります。
この「作り上げたイメージ」って、「本人が自覚している
自分」よりも、より本質に近いことがあるのでは? と
そんな気もします。
リアルの相手を知っていたら書けないようなことも、ノート
の中の相手には書けてしまう。 うん、これも分かります。
人と人との関係って、単純そうで面倒臭いです。
面倒臭いのになかなか切れないのも人の縁・_・デス
◇最後に その2
作中、以下のようなセリフが出てきたかと想うのですが…
” 自分の感情にウソは付けない ” (…うろ覚え)
” 理屈より感情が大切なことも ” (…さらにうろ覚え)
理屈では無い何かで人は動く。ということを描いた
この作品の監督さんは誰だろう? と思い、後で確認したところ
「アイミタガイ」の監督さんでした。
あぁ なるほど。と、腑に落ちた気がしました。
この監督の次の作品も要チェックです。・-・/☆
◇追伸
鑑賞後、気がつくと「大きな玉ねぎの下で」を脳内で再生して
います。良い歌ですね。・_・♪
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。