ファーストキス 1ST KISSのレビュー・感想・評価
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結婚は、両者が教官の教習所
ここまでコミカルな作品とは思ってなかった。
導入はやや退屈で、2.5次元舞台っぽいのにあんなに予算と労力を使った理由も分かりません。
最初に過去の駈と出会った際に、どういうつもりで接していたのかもまったく読み取れなかった。
しかし、タイムトラベルのテンポが上がると面白くなる。
やはり松たか子はコメディの方が好き。
ズレた会話、抜けた行動など思いのほか笑わされた。
駈が16歳も離れたカンナに惹かれることに関しては、“ミルフィーユ理論”でなんとなく納得できる。
どの時間軸の話かもカンナの髪の長さと服装で判断できたり、色々と上手い。
反面、やや雑なところも散見された。
過去の自分と接触しなければいいだけなので、日を跨いでみないことに疑問が浮かぶ。
ベビーカーを落とさせない方向を試さないのにモヤモヤ。
また、脱線事故のパターンでも駈が死んでるのはおかしいのでは。(自責の念で自死したとかなら分かるが)
『STEINS;GATE』と違い時空転移のきっかけが駈の死ではないため、改変できない説得力も薄い。
演技に関しては総じて満足。
松村北斗は年齢で、森七菜もちょい役なのにヒロイン役の時とは声色を変えていたのはポイント高い。
「結婚しないこと」に辿り着いた後の部屋を出るまでの数秒の間は、近年稀に見る最高の“余白”だった。
結末は安易なハッピーエンドよりは好みだが、最後のカンナは我々が見てきたのとは別?元の彼女は??
コミカルさが後を引きすぎて、シリアスへの切り替えが上手くいかなかったのも惜しい。
駈の選択はカンナの悲しみを無視したエゴでもあるし。
現実的には、あれくらいのキッカケで15年間も夫婦円満になるわけないとも思ってしまい…
最後に、僕ならショートボブの吉岡里帆という最強キャラを前にして松たか子は選べません。
松たか子要素に加点
坂本裕二に塚原あゆ子、多分アイリッシュマン的CGだと思うが若い顔の松たか子カワイイので一点加点。あと森七菜の若者が良かった。松村北斗は悪くないけど硯くんのキャラがちょっとわからんかった。
タイムスリップの大筋はまあ良いけど、個人的には生き続ける方に二人して努力して行った方が健康だと思う。あと離婚寸前で届まで書いて出す日だった(出してなかったようだが)って設定はイラン。ラストで違う未来を描くための伏線なんだけど、二人がしっくりこなくなって話し合いを始めた位にしておかないと、やり直すモチベーションに無理が出てる気がした。
日常を大切に
前半はクスリと笑える所も多く、まぁ現実的には20代の若者が40代の初対面の女性をお茶に誘うか?と疑問は有るけど、そこは映画の話。動物嫌いを告白しちゃう面白い感性に興味を引かれたのだろう。
何度も会うのに毎回新鮮に恋に落ちる硯くん。勿論、硯くんにとっては毎回初なんだけど、俳優さんって凄いな。実年齢なんて関係ない。20代のカンナも40代の硯も何の違和感も感じない。2人とも本当に自然。
後半の怒涛の会話劇、引き込まれてずっと泣いてた。次の日目が腫れるくらいボロッボロ泣いた。
結末は予想がついてて、逆に喪失感が大きくなったんじゃないかって心配してしまうけど、幸せな思い出は人を強くさせるのかもと思ったり。
後悔しないように夫を大切にしなきゃなって改めて思いました。
印象4つ選びたかった泣けて笑えて悲しくて幸せ
松たか子さん、最初老けメイクでしたか?
本作品楽しく見ました。ただ、下記点は整理してもらえると良かった。
1) 若い頃のカンナ(松たか子さん)があの日あの場所で駈と出会うこと
2)あの頃のカンナは、「先生」と呼ばれているが、まだ駆け出し。と言うか、物語全体でデザイナーとしてどれくらいの地位と稼ぎなのか
3) いがみ合って、別れたのではない
4) キスは嫌がるのに、告白はスマホで録音
する事
まあ、もう少し単純にした方がよいかと。
それで、とても知りたいのが、最初のカンナは老けメイクしてました?終わりの方のカンナ(45才)は若くてきれいに見えました。
どなたか教えて下さい。
カケルの15年
何度も何度も何度も何度も失敗を繰り返すカンナ。その度にカケルと「はじめまして状態」になるのは面白かった。
でももしその一回でも成功していたら。カンナが戻った時生きているカケルはやっぱり2本のペンが触れ合わず真っ直ぐに置かれた状態の、寝室を別にしてまともに話さない夫だったと思う。
失敗の中の失敗。付箋をカケルに見られる予想外のミス。でも、だから話も生まれた。15年離れているのにしっかり夫婦の会話になっているのには笑ってしまったが。
その後現在に戻ったカンナは幸せな15年を過ごした二人、という感情になっているのだろう。気になったのは将来を知ったカケルの方だった。冷たい関係になるまいと夫婦で生き、カンナも最初のカンナとは違った妻になったと思う。
でもカケルは自分の命日を知っていた。知りながら15年を過ごした。やはり一日一日とその日が迫るのは怖かったのでは。そこだけは少しかわいそう過ぎないかと思ってしまう。遺影の表情が全く変わっていたことにかろうじて救いがあるが、カケルが送った15年に重さを感じる。
一生一緒に居たい、の解
駈がカンナにした、「一生一緒に居たい」というプロポーズ。
初めはそんな気持ちだったのにすれ違いや嫌な所が見えて2人の関係は冷めていき、離婚届の判子を押すに至る。
では最初の人生の2人には何が足りなかったのか
それがこの映画の本筋なのかなと感じた。
「一生一緒に居たい」
そう感じる瞬間は、2人で居る"今"の時間がずっと続けば良いのに、そんな事を思った時に出る言葉では無いかと思う
ただ、本編で駈が辿り着いた「一生一緒に居たい」は
15年後の妻の姿を見て、2人の時間を過ごして、
この人とまた会いたい、大切な人が歳を重ねていく姿を見続けたい、そんな気持ちから出た言葉では無いのかなと思った
わたしはこれは最上級の愛なのでは無いかと思う。
わたしの大切なこの人はどんな姿のおじいちゃんになるんだろう、時間が許す限り側にいて幸せそうな姿を見続けたい
そんな事を自分が思える日が来たら、わたしはその人と一生一緒に大切にしたい、そう思う。
パラレルワールドの処理が今一つ。
もうあらすじについては予告編でも公開されているわけですが、妻が電車事故で亡くなってしまう夫を助けるためにタイムスリップを繰り返してポイントとなっているイベントを変えてその後の運命を変えようとする話です。
ツッコミ所満載ですが、松たか子さんと夫役のSixTONES松村北斗君の自然な演技とコミカルな展開で一気に退屈する事なく映画を楽しめました。化粧技術とCG処理を差っ引いても若い頃の松たか子さんは美しくて松村君が一目惚れすることに違和感無かったです。
ただ、パラレルワールドの描き方にはもう少し工夫が必要かと思いました。
意外とコメディ
過去に戻り、夫が死なない未来にするために妻が奮闘する話と、思った通りだったが意外とコメディだった。ラストは少し泣かせるが、タイムトラベルの仕組みが曖昧なために、あと一歩。せめて、ふてほどのようなタイムホールの設定がほしかった。それを考えずにコメディ部分を楽しんだらラストも泣けると思う。
松たか子の若い時の美しさはCG?15年後との年齢差を感じさせるが、そこを化粧や服で補う力技が、また笑わせる。パラレルワールドならば夫が死なない未来もあるはずだが、カンナの世界が変わらないのは元の世界に戻っただけだから?
駈の未来は変わらないが、他の設定(トウモロコシは皮ごと茹でるなど)は変わる。どうなっているのか?バック・トゥ・ザ・フューチャーのドクは、未来を変えた。これにはパラレルワールドが存在しないから?
一番変わったのは、15年間の二人の過ごした時間。人を思う気持ちが、一番大事ということか。最近、会話が少なくなったカップルや夫婦向け。
分かる方がいらっしゃいましたら教えてください
変に臭くなくて面白かった。
映画で時間が限られているから強引な展開なのは仕方ないとして
分からないところがひとつあります。
何をしても死ぬ運命なら、何をしても離婚するのが運命じゃないですか?
そして全てに運営が適応されるなら、また過去にタイムスリップするところで映画が終わってほしかった。
離婚を合意した男性がなぜ別人格のような良い旦那に変わったのかが分かりませんでした。
ラブラブの時に将来離婚することを知っても、長年の結婚生活による引き算の積み重ねで離婚すんじゃないでしょうか?
もともと当初はラブラブで、それでも離婚したんでしょ?
松たか子がイラつかせない奥さんに性格変わったってこと?
ロマンチックな映画だからそういうストーリーてことでしょうか。
現実世界で「僕はいつ死ぬか分からない。いつ奥さんに嫌われるか分からい」と毎日考えていたら夫婦円満になりますか?
手紙は視聴者の想像に委ねる
ラスト、夫からの手紙を朗読するシーンはいらないと思いました。
手紙の内容は視聴者のそれぞれの思いに委ねたほうが余韻がたなびくように思えました。
鑑賞動機:塚原あゆみ&坂本裕二9割、予告1割
予告でもちらほらその様子はあったのでおそらく大丈夫だろうとは思ったが、かなりコメディ色が強くて良かった。出版年を確認するところ吹いた。
この最早ありふれたネタをどう捌いて味付けしていくかが腕の見せ所何だと思う(偉そう)。これで安直な作りだったら、感想が「うへえ」で終わるところだったが…。
いやそういう方へ行きそうでもあるんだけど…行かない。ああ、そっちかあ。個人的には生存至上主義だし、「運命」など無いし、「シュレーディンガーの子猫」圧倒的支持の立場なので、相入れないところもある。(回避しようとすると、より悲惨なことになるから、自罰的だったり諦念とはちょっと違うのだけどね)
タイムトラベルの仕組みほかもろもろがゆるすぎるのは好きじゃない。逆に状況設定や脇役、小道具の使い方、それと何といってもセリフ周りは、すごいなあしか言葉が出てこない。
松さん、やっぱりすごいわあ。松村くんをちゃんと観て認識したのは初めてだけど、松さん相手にここまでできれば上出来でしょう(さらに偉そう)。
大切な人と過ごす時間を大事にしたくなる映画!
よくあるタイムリープものではなく、
自分の生き方を見直してみたくなる素敵な映画でした!
松たか子さん、松村さんは2つの年齢設定を違和感なく演技されていて、魅力的でした。
また、最後の手紙を読むシーンでは思わず涙が止まりませんでした…
同じギョウザでも冒頭のシーンと最後のシーンでは違ってみえて、心が温まる映画でした!
振り返ると物凄く深くて心温まる
坂元裕二さんの作品は、映画見終わったあと数日間、もしくはふとした時とかに思い出す、あの余韻が、物凄く心温まる。
だから坂元裕二ファンなのよなー。
ストーリー的には平凡。内容的に面白くなるサプライズも特にないと思う。でも、細々と入り込む日常の些細な亀裂とか幸せとかの表現が本当に素敵。大豆田とわ子と三人の元夫のときのようなコメディも沢山入ってた。
個人的にはカンナがめっちゃ勉強して振り向かせようとするところがツボだった笑
恋と愛の違いとか、その言葉はもうプロポーズとか、過去現在未来の捉え方とか、ほんと好き。
過去に戻り出会った頃の若い夫と恋をし直すラブストーリー 夫を救うため繰り返し過去に戻るループものの面白さと 松たか子のコメディエンヌとしても魅力的
結婚15年目にして夫の駆を失ったカンナは、駆を事故から救うために過去にタイムスリップするが…。
あらすじからは良く有る話にしか思えないが、話の中心はそこだけではない。
何度も過去に行き、好きだった若い頃の夫と恋愛し直すときめき。
何回繰り返しても結ばれてしまう展開、後半からは未来を知った夫の視点に変わって、愛情いっぱいに過ごす生活が愛おしい。
夫を救うため、わちゃわちゃと行動する、松たか子のコメディエンヌとしての魅力全開!
生前、よく夫の靴下を間違えて、死後も続けて履き続けるところに愛を感じる。
主人公のルーズなところなんか、歳を重ねた松たか子が本当に魅力的。
若い頃の姿も美しく、逆にCGによる多少の違和感がいい感じです。
「結婚とは、夫婦とは?」を問う新たな視点のタイムリープもの。
「靴下の片方と恋愛感情はいつかなくなる」
「結婚生活は互いが教習所の教官」(←ちょっと違うかも)などなど、
今回も飛び出す、坂元裕二の名言の数々。
“恋愛結婚は結婚する時がピークだからあとは落ちていくだけ”なんて言葉はよく言われる。結婚は恋愛感情がなくなった後からが勝負。他人が一緒に生活して生涯を共にするって、難しいし、いやな部分が見えてしまうのも当然のこと。「結婚は忍耐だ!」なんて言葉があるくらいに、結婚生活を維持するのには努力が必要。
何度も「あるある!」と、首がもげそうなくらいに頷く場面が盛り沢山。
かけるの死は変えられなかったけれど、カンナが何度も2009年にタイムリープして会いに行ったことで15年の結婚生活は大きく変わった。
人は遅かれ早かれいつか死ぬ。
だったら後悔しないようにその時その時を懸命に生きよう、愛する人と濃い時間を過ごそうという新たな視点で、描かれている。
前半の冷め切った夫婦像、後半の何年経っても仲良しな夫婦像が対比されるように描かれていたが、これもちょっとした心の持ちようで変化するんだよね。とはいえ、子どもが生まれるとまた全然変わります。
キュンキュンする場面もあれば、クスッと笑えるシーンもあったり、涙涙な場面もあり。松たか子は相変わらず可愛いし、松村北斗はかっこいい。
三組に一組が離婚する現代において、結婚とは、夫婦とはのテーマを投げかける良作。
美味しい餃子が焼けますように
ズルズル泣いた。
坂元裕二の世界にどっぷりと浸り込みながら、次から次へと湧き出てきたのは、どうしても重ねて考えさせられる自分たち夫婦関係のこと。
気に入らないときもあれば、ケンカするときもあるけれど、それも含めて、今の妻のかけがいのなさを改めて思い起こさせてもらった。感謝。
松村北斗がいい。
「夜明けのすべて」の山添と近い雰囲気でもあったが、今回は年齢差のある役柄も、とても自然に(声だけでも)演じ分けており、キネマ旬報の主演男優賞に恥じない演技だった。
もちろん松たか子は、申し分なし。坂元裕二との相性だけでなく、30歳頃のキュートさや青さが、40代の時にも、時折顔を覗かせるような演技の深さがさすが。
今作は、「死」がストレートに描かれる。ドラマづくりやエモさのために、安易に「死」を扱ってないかい⁇…と言いたくなる作品もあるが、今作は「死」ではなく、その反対の「生きること」がテーマなのだなと素直に納得できた。
自分の中では、孤独の中での老いとの向き合い方を描いた「敵」と対をなす、夫婦(パートナー)と共に、いつかくる互いの終末にどう向き合っていくかを描いた作品と感じた。
★以下、内容に触れています。ネタバレを避けたい方は、以下はお読みにならないでください。
映画を観終わって考えたのは、オリジナルの世界線のカンナが、最後のタイムリープを終えて現在に戻り、やっぱり駈がいなかったことを確認した時に、どんな気持ちになったんだろうということ。
でも、きっと、それまでの20回ほどのタイムリープ時とは違った受け止めができたんじゃないかなぁと思う。
この映画の中で一番泣けたのは、夫婦生活のすれ違いや離婚に至ったいきさつまで、まだ現時点では付き合ってすらいないカンナの口から聞かされて、なおかつその内容は、今は何もアクションを起こしていない自分自身の未来の行動についてであって、どうもカンナにだって非がありそうなのに自分ばかりが責められて…という駈が発する、「僕は結婚したい。なぜなら、もう一度君に会いたいから。結婚しなければ、今の、15年後の君に会うことはできないから」というセリフだった。
ああ、これだ…と思った。
ぶつかることはダメなことと思いこんで、よかれと、ぶつからないように我慢しあった結果、取り返しのつかない所まで行ってしまったのが、オリジナルの世界線の「離婚」なんだろう。
それに対して、最後のタイムリープの時にカンナの口から出てきたのは、「結婚は減点方式で、教官同士の教習所」とか、2本のボールペンの例え話とか、ここぞとばかりに駈にぶつけるマイナスの言葉だらけなのだが、それは同時に、駈に生きていてもらうために、何回も何回もタイムリープをリピートしてきた末に生まれた、自分と結婚させないための言葉な訳でもあって、きちんとカンナの言動の奥にある気持ちを受け止められた駈に泣けたし、カンナの振る舞いが、自分も愛おしかった。(あのロクでもない教授のいけ好かない娘に譲ってまでも、駈を生かそうとするところとか…)
自分が死ぬとわかりながらも、迷わず赤ん坊を助ける駈の心情も、想像するだけで泣ける。一瞬躊躇するだけで、赤ん坊は助からなくなるかもしれない中やり遂げた訳で…。
カンナに「赤ん坊はどうなった?」と尋ね、無事だったことを聞いて安堵の表情を浮かべたときから、カンナも、駈はきっと自分が死ぬとわかっていてもまた助けるのだろうと思ったに違いない。でも、そういう清廉さと勇気を持った駈だから、やっぱりカンナは「家族に悲しい思いをさせて…」と恨みごとを言いながらも愛していたんだと思う。
この映画の中で、正確には覚えてないが、「寂しいって気持ちは、愛おしさがあったからこそ」のような言葉が出てきた。「あれ? 最近、別の映画で似たようなセリフに出会ったぞ」と思ったら、アットザベンチで、生方美久が書いた脚本の中に、「寂しいという気持ちは、楽しい時間があったから」みたいな表現があったことを思い出した。
生方美久といえば、坂元裕二のファンであることを公言しているが、同じようなセリフを同時期に執筆したであろう脚本の中でシンクロさせるなんて…と思ったら、鳥肌が立った。
いずれにしても、「死」は、誰も避けることができないものだし、多くの場合、そのタイミングについては誰も知らない。
ならば、我々ができることは、生きている間、どれだけ愛おしく楽しい充実した時間を過ごせるか、そしてそれを、愛する人たちと悔いなく分かち合えるかどうか、そこしかないということだろう。
オリジナルの世界線のカンナも、ラストシーンのカンナも、それぞれ美味しい餃子が焼けるといいね。
“私は15年前、未来の夫と再び恋に落ちる”であり“僕は今、15年後の君に恋をする”
こういう恋愛ものはほとんど劇場で観ない。
遡って調べてみたら、“THEラブストーリー”を劇場で観るのは同じ松たか子主演の『ラストレター』以来。
別に恋愛ものが苦手な訳じゃない。劇場へ観に行く気恥ずかしさはあるかもしれないけど。
だけど本作は監督と脚本家に惹かれた。
塚原あゆ子と坂元裕二。
塚原あゆ子は『わたしの幸せな結婚』『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』が連続ヒット。坂元裕二も『花束みたいな恋をした』をヒットに導き、『怪物』でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞。近年、ヒット作や話題作続く二人が初タッグ。
出演作にほとんど外れナシの松たか子(新春SPドラマ『スロウトレイン』も良かった!)と俳優として躍進著しい松村北斗(『夜明けのすべて』でキネ旬主演男優賞!)の魅力的なW主演。
こ、これは…! 食指が動いた。
“THEラブストーリー”を劇場で久々に。
ラブストーリーではあるが、+αの要素も。
結婚15年目のカンナと駈。(ちなみに駈は“硯(すずり)”という珍しい名字)
が、夫婦仲はすでに冷えきっており、会話もほとんど無く、寝室もご飯も別。
離婚届を提出しようとした日、駈は駅のホームに落ちた赤ちゃんが乗ったベビーカーを助け…。
気まずいままの突然の別れ。
周りは駈の行動を称え、ドラマ化の話も。
しかしカンナは、悲しみや失意より憤りすら感じていた。
妻より他人…? 他人を救うのは尊い行動だけど、残された者は…? 私の事は考えてくれたの…?
ある日首都高を走っていると、トンネルが突然崩落。
その時何かが起こり、気付くと…
全く別の場所に居た。
季節は冬だった筈が、真夏。厚着姿では暑い暑い。
何処か観光地。
カンナは来た覚えが…。
そう、ここで…。
再び会う。それとも初めて…?
駈。まだ出会う前の駈。
カンナは15年前にタイムトラベルしていた…!
タイムトラベル×ラブストーリーもよくあるジャンル。
ユニークなのは、そのタイムトラベルの仕方。車に乗って、首都高を走って、崩落事故に遭ったその先に。戻る時も首都高から。車でのタイムトラベルは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を意識…?
タイムトラベル先は同じ日、同じ場所。
自分の意に反してではなく、自分の行きたい時に。“こっち”と“あっち”を言ったり来たり。
ここら辺、『時をかける少女』っぽい…?
フリースタイルのタイムトラベルはちょっと目新しい…?
何度か駈に会いにタイムトラベル。
あちらは初対面だけど、こちらは幾度も会う内に、改めて気付く。
やっぱり私、夫がまだ好きだ。
出会いをやり直す。
未来(現在)が少しながら変わっている事にも気付く。
ならば…。運命を変えられるかもしれない。
夫との出会いをやり直し、夫が死なない未来を…。
大切な人を死の運命から救う。
すでに比較で挙げられている通りタイムトラベルの名作『バタフライ・エフェクト』と通じるものがある。
時間を遡り運命を変える事は、その世界や宇宙そのものを滅ぼしかねない危険性もあり。故に悲劇を迎える事多々。
しかし本作は結構コメディ要素が濃い。
筋金入りのSFファンからはあまりにも緩すぎてSF考証もなってないと指摘受けそうだが、軽やかな作風で間口は広い。
夫を死の運命から回避させる為、後々それに繋がりそうな些細な事を自然に変えようと。行き着けのコロッケ屋とか。
上手くいったり、失敗したり。失敗したらまたやり直し。何だかちょっと『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を思い出した。
タイムトラベルするカンナには幾度もチャレンジだけど、駈はその都度その都度初対面。
駈の気を引こうとアプローチも。
それも成功したり、失敗したり。
ある時は、カンナが既婚者である事を知り、駈は動揺。カンナは“別れた夫”の事を話す。
夫の嫌だった所をチクチクと。うわぁ…って顔するけど、いやいや、あなたなのよ。
そんな二人のやり取りが楽しい。
夫との出会いを変えた。死に繋がる事柄も変えた。
現在に戻ったら、きっと…。
が、駈は死んだまま。
運命は変えられないのか…?
ただ一つの方法を除いて。
夫と結ばれない。
そうすれば駈は別の人生を歩み、死ぬ事もない。(『バタフライ・エフェクト』に通じるのはまさにここ!)
しかしそれは、苦渋の決断。
夫との出会いをやり直す度、夫への想いが増していた。
救いたいけど、結ばれないなんて…。
一方の駈。
会う度に初対面だが、いつタイムトラベルしても同じだった。
駈も年上の不思議なこの女性に惹かれていた…。
重暗い立ち上がりから、タイムトラベルしてからはユーモア溢れ、しんみりと自然に感動へ誘う。塚原あゆ子の巧みな演出が冴える。
坂元裕二の脚本も共感たっぷり。些細な会話、日常のあれこれ、マニアックな古生物の話まで織り交ぜて。
リアルな考証のタイムトラベルではないかもしれないけど、時の流れには過去も現在も未来も無い、全てが同時に存在しているという理論は私のSF心をくすぐる。
これは『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』っぽく、坂元裕二が古今東西のタイムトラベルの魅力や要素を詰め込んだかのよう。
豪華なキャストが脇を固めているが、ほぼ松たか子と松村北斗の二人芝居。
松たか子の15歳若返り演技が巧いのか、松村北斗の15歳老け演技が巧いのか、ナチュラルな演技、軽妙なやり取り、年齢差を感じさせない二人の温かなケミストリーに魅せられる。
舞台は明確にされていないが、静岡や山梨で敢行したというロケーションが素晴らしい。
豊かな自然、行列のかき氷店も評判になりそう。季節が真反対なのも別の次元に来た感じをさせる。
ここのロケーション巡り、してみたいなぁ…。
駈からの想いに気付きながらも、カンナはきっぱり断る。
あなたへ“好き”の感情は微塵もない。
あなたを救う為、本当の気持ちを押し殺して…。
駈はカンナの衣服に付いていた付箋に気付き、それを見て不審がる。
これ、どういう事…? 僕、2024年に死ぬの…?
君は誰…? 何処から来たの…?
カンナは全てを打ち明ける。
15年後から来た事、私たちは夫婦になる事、離婚する事、あなたが死ぬ事…。
ショックを受ける駈。タイムトラベルや自分が死ぬ事は受け入れても、カンナと離婚する事は信じたくない。
だって、こんなに好きなのに…。
最初はそうだった。でも、いつしか…。
付き合ってる時は互いの好きな所を探すが、結婚すれば互いの嫌な所を探してしまう。
独身の私の胸にも痛々しくこの言葉が突き刺さった。
ならば、結婚って何…? 夫婦になるって何…?
現実を知るカンナと、夢理想を信じる駈。
例え死ぬ事が分かっていても、君と夫婦になれるなら…。
新しい出会いからの二人の歩みに、運命はきっと変えられる…。
そう信じて。カンナは元の時代へ。駈はこの時代のカンナと出会い…。
幸せな結婚生活。それは15年経っても。
ここでユニークなのは、事情を知ってるカンナが15年前の駈に会いに来ていたが、新たな結婚生活ではカンナとの出会いがあって事情を知ってる駈が何も知らぬカンナと暮らしている。
ちょっとややこしいが、この物語に身を委ねていれば、自然と難なく。
そして運命の日。
自分の運命を知っている駈は運命を回避したのか…?
否。自分の運命を知っていても、駈は駈だった。駅のホームに落ちた赤ちゃんを見捨てる事は出来なかった。
それは尊い事だが、残されたカンナは…?
この時間軸のカンナには突然の不幸だが、観てる我々からすれば2度同じ悲劇に見舞われたカンナを見ているだけで胸が痛い…。
OPのカンナは突然死んだ夫へ憤りを感じていたが、ラストのカンナは失意と悲しみ…。
運命は変えられず…いや、変えず、カンナも観てる我々も救われぬままなのか…?
偶然見付けた夫の隠し手紙。そこに記されていたのは…
君と出会えた幸せ。
君と共に過ごせた幸せ。
他愛ないけど、日常に満ち溢れた幸せ。
君の癖、君の好きなもの、全て。
君の事がどんなに好きか。
君への溢れんばかりの感謝。
ありがとう。
OPとラストは同じシチュエーション。
しかし、伝わってくるものはまるで違う。3年越しの餃子の味も格別だろう。
あなたを失って悲しいながらも、あなたの温もりと優しさに包まれて。
恋はデジャ・ブ‼️
この作品は、タイム・トラベルものの新たな名作だと思います‼️タイム・トラベルと言うよりは、同じ日を何度も繰り返すビル・マーレイ主演の「恋はデジャ・ブ」に近いような気がします‼️事故で亡くなった夫の未来を変えるため、松たか子さんの妻が同じ日に何度もタイム・スリップ、若き夫との出会いを繰り返す‼️タイム・トラベル理論的には矛盾点が多々あるのですが、今作を鑑賞するにはそんな矛盾点は忘れたほうがイイでしょう‼️離婚するくらい最悪になってた夫婦関係‼️しかし15年前の夫との再会、改めてのラブストーリーが展開‼️夫は愛し始めた女性が未来の妻である事、自分の身に何が起きるかを知ってしまう‼️結論から言うと夫の運命は変えられなかったけど、15年間の新たな、そして幸福な結婚生活を手に入れた夫婦‼️そして3年越しのギョーザも‼️なんか幸せな気分にしてくれる作品ですね‼️ラストの夫から妻への手紙のシーンは破壊力バツグン‼️そして松たか子さん‼️夫を助けるため、一生懸命奔走する姿がホントに魅力的‼️そして15年前の若かりし姿‼️ハリウッド映画みたいにCG処理してるのかな⁉️凄まじい若さと美しさです‼️
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