ファーストキス 1ST KISSのレビュー・感想・評価
全711件中、501~520件目を表示
坂元裕二版『素晴らしき哉、人生』
「戦争」「差別」と同じぐらい「いちゃつくカップル」が嫌いな人間なもので、映画の中で男女のいちゃつくシーンが出てきたら今まで目からビームを出してスクリーンを焼き尽くしてきたわけですが、そんな俺様を「仲睦まじい夫婦」のシーンで涙させるなんて、この映画、やるじゃないか。
本作、良いシーンは後半に集中しているため、前半は楽しく観れつつもアラが気になった。
「夫の死後、15年前にタイムトラベルし、出会う前の夫と接触して夫の嗜好が変化するような行動を取り、現在に戻って夫が生きている世界になっているか確認、それを何度も試行」という設定は面白い。
しかし、「タイムトラベルの理屈が謎」「夫の死亡する日の行動が詳しく描かれないので、夫がコロッケを買わなくなると、それで何故悲劇が回避できると考えたのかがいまいちよく分からい」「写真を撮る子供二人がご都合主義すぎる」など、引っかかるところは満載。
タイムトラベルで好きな人の若かりし頃に会いにいく話はありがちだと思うが、不仲で顔も見たくない夫の若い頃に出会うというのは新鮮。
妻の方は+15歳の状態で若い頃の夫と出会うわけだが、それでも夫の方は妻に惚れてしまうというのは面白い発想。
逆に、妻の方から積極的にアプローチを仕掛けると、若き日の夫から相手にされなくなるというのもリアルに感じた。
前半、凄いと思った場面は、妻・カンナと夫・駈が結婚してから離婚するまでをダイジェストで描いた数分間。
まるで2021年公開『花束みたいな恋をした』の短編版。
仕事のせいでパートナーを気遣う余裕が無くなっていくところがそっくり。
「家庭内別居」という言葉を聞いたことはあったが、映像化されたものを観たのは初めてで、なかなかの衝撃。
さすが坂元裕二脚本というべき戦慄の場面だった。
前半にこの場面があるおかげで、後半出てくる「夫婦が同じテーブルで食事する」というシーンが、平凡な光景なはずなのに、それがとても尊いもののように感じられてしまい、自分でも思いがけないほど感極まってしまった。
「ありふれたもの」を「かけがいのないもの」に感じさせるこの作りは、個人的生涯ベスト映画の一つ『素晴らしき哉、人生』を思い起こさせるものがあった。
この映画の中だと駈は困った人がいたら助けずにはいられない利他的な人間として描かれるが、そんな彼が結婚後、妻に対して冷たい態度を取るようになるのが、本作で一番引っかかったところ。
でも逆に言えば、そんな彼でも酷い人間になってしまうほど、夫婦関係というのは難しいものなのかもしれないとも思った。
後半、駈が付箋を拾った後の、カンナと駈の会話が凄かった。
この映画の中でしかあり得ない複雑な感情のやり取りをしていて、「こんな会話、坂元裕二にしか書けないのでは?」と思わせる凄みがあった。
もしかしたらこの映画の結末は、カンナにとってはより残酷なものになったのかもしれない。
でも、それでも個人的には駈の選択を支持したい。
駈が「それも悪くない」と言った時、自分が若かった頃はその考えが理解できなかったと思うが、今の自分ならその気持ちがわかる気がしたので。
カンナが何度挑戦しても結局悲劇は繰り返され、悲劇を回避することの困難さが描かれていたが、それに比べれば好きな人に思いやりを持って接し続けるなんて簡単なことでしょ?というメッセージをこの映画から感じた。
脚本を差し替えていき主役なのに裏方として走り回って造られるドラマ
輪廻転生
7つの贈り物
何度でも変えに行く
貴方の為に
ミッション系
カルマ
不合格だったテストをイカサマが起きて合格点を取るようなこと
上質な映画、脚本
松たか子さんまさに役得!
最近はレビューを見てから観に行くようにしているので、行くかどうかとても迷いました。かなり賛否両論あったので。
正直言うと、あんなにがんばったんだから、死を回避して欲しかったです。冷え切った夫婦でも一方が亡くなったら悲しいのに、仲の良い夫婦なら‥それもまだ若いのに‥死なないとなるとベビーカーの親子が死んでしまうからでしょうか。脱線事故は‥どうしても無理でした。思い出してしまいました。
松たか子さんは45歳でも美しくて魅力的で羨ましいです。松村北斗さんもメガネが素敵で理想のカップルでした。
15年後に死ぬとわかっている人生はどんな感じだろう、意外と充実して生きられるのかもしれないなと考えてしまいました。
人間は愛で出来ている⁈
松村北斗が事故に巻き込まれてしまう(赤ん坊を電車から守る)というのは、私から見たら人間愛だと思えました。そして松たか子という家族のために、もし赤ん坊を助けなかったらそれはエゴかもしれない。こんなことを考えさせられるかなり深刻な映画のようでありながら、ストーリー展開は極めてコメディタッチで笑う場面も多かったです。松のエゴとしては、松村をなんとかして事故に遭わないように何度もタイムスリップするのですが、最終的には叶わないのです泣。それがとても辛くてモヤモヤしました。やがて松が20代の松村に全部種明かしをしてしまうのですが、その話を聞いた松村の出した答えに、青天の霹靂のような感動覚えました。15年後にその事故に巻き込まれることをあえて選んだのです。そのことによって、彼の生き方は鮮烈なほど丁寧で松を心から愛し続けるのです(タイムスリップする前には実際には仲が悪くて離婚するくらいだったのに)。素晴らしい15年に大拍手!!よく言われるのは、結婚とともに壮絶な修行?の人生が始まるということを、この映画では次のように触れています。恋愛は相手の好きを探す時代、結婚は相手の嫌いなところを探す時代であり、何もしなければ二人は無の関係になるという説がめちゃくちゃ腑に落ちました笑。この無の関係を松村は宝の時間に変えたのです(人間の解釈次第でいつでも幸せになれるという証明でしょう)。また、最後の手紙の夫婦のあるあるには大号泣必須でした。いずれにしてもツッコミ部分が色々あれど、120点をつけたいほど感銘した作品です。人間は愛でできているのですね。感謝!
追記 松さんの若い頃の演技、とても綺麗で感激です。こんなに可愛かった?のかと感嘆しきり!
秀逸な脚本、時間のミルフィーユ
また観たい
テレビサイズなお話
主演のお二人が好きなので鑑賞しましたが正直このお二人でなかったら観るに耐えない駄作だと思いました。
タイムリープの不自然さは、まあいいとして奥さんである松たか子さんが旦那さんを死なせたくなくて何度も必死に行く割には全く悲壮感がなく、ただ同じことの繰り返しでうんざり・・・その度に初めましてな松村さんの演技は爽やかでしたけど
結婚生活でのすれ違いで愛情がなくなるっていうのももうちょっと深掘りしてほしかった
エピソード薄いな、、、って思ってました
何よりも納得できなかったのが結婚生活やり直して仲良しのまま亡くなった旦那さんに対する松さんの態度?想いみたいなものがあまり以前と変わって見えなかったこと
トースターのくだりとかはあったけどイマイチ効果的じゃなかった
多分当て書きだと思うし、松さんのサバサバした感じを出したかったんだろうけど嫌な人にしか見えなかった
嫌な人なのか良い人なのかわからない教授とその娘さん(吉岡さんの使い方もったいなさすぎ)にしろ何もかもが中途半端な映画、、、というか映画じゃなくてお正月特番みたいなテレビドラマ
この監督さんもう映画作りはいいのでは・・・?
ベタなタイムトラベルものも、この脚本家、監督だと…
自分の日常を考える
うーーーん。これは・・・
高評価の嵐のところを書きにくいけれど、私の好みじゃなかったです。
理由を一言で言うと
「ほらほら、女性は(とくにある一定以上の年齢の女性は)こういうのが好きなんだろ~」
という全編に漂う空気に胸やけしたから。
こう思う私は、心がひねくれてしまったのかもしれません。
(逆に高評価をつけられるような人間でいたかった、とも思う)
タイムスリップものとしては私には難しく感じたのでそこは深く考えず、主人公2人と同じくらいの年数の結婚生活を送る者として共感できる部分があるかなと思ったのですが。
私自身は夫と楽しく暮らしているので、結婚生活の格言?(靴下がどうちゃらとか教官がなんちゃらとか)を聞いても「???考えすぎでは・・・」と思うばかり。
「花束みたいな恋をした」を思い出しても、坂元裕二さんって男女関係に悲観的過ぎじゃないだろうか。こんなの独身者が見たら結婚生活が怖くなってこの国の未婚率はますます高まりそう、なんて、映画を観ながら余計なお世話を焼いてしまった。
2度目の結婚生活(って言い方もおかしいが)では2人で楽しく過ごし、ついに駈が亡くなる日が来て後日残した手紙をカンナが読むシーンは、私もウルッときました。
が、裏を返すと「ここまで衝撃的な経験(自分の死期を自覚する)をしなければ仲良い結婚生活を送ることはできないのか」とも思ったり。
ただ主人公2人のかけあい、日常のささいな会話の妙やちりばめたエピソードはさすがの一言です。
すごいよね、こういうの。日々書き溜めてストックしているんだろうか。
あと、若い頃のカンナや老けた駈の化け具合もびっくり!!
今の松たか子にメイクを施せばこんなにイケるのか??(失礼!)と、じーっと見入ってしまった。
駈の老けメイクはそれよりは難しくはないだろうけど、声もちゃんと老けてるし。
目をつぶって聞くと、高橋克典?という感じでした。
さらに余談ですが「ファーストキス」ってタイトル。
これも「ほらほら、エモいだろ~」って意図が見え隠れしますが、それよりもこっぱずかしい気持ちの方が強かったです。
映画館でスタッフに聞きたいことがあったのだけどそこでタイトルを口に出す時、小声になってしまった笑
振り返ると、塚原あゆ子さん監督の映画って、この半年で3本見ていることになるようです。売れっ子ですねー。しかも、ジャンルがどれもかぶらないのがすごい。
今回はちょっと違うなと感じてしまいましたが、次回作に期待してます!
2人にしかできない会話劇と空気感
製作陣の豪華さに加え、安定の松たか子に昨年の「夜明けのすべて」で印象的だった松村北斗というキャスティングで公開前から期待値の高かった作品。
初日の時点でクチコミ評価の高さに驚きながら2日目に劇場へ。
松たか子のチャーミングさとコミカルさがやはりすばらしく期待を裏切らなかった。
テンポよく進んでいく前半に、後半これから何を描いてくれるのか?と期待が高まった。
タイムトラベルをすることによる、タイムパラドックスやその仕組みや現代における影響などが気になってしまうとのクチコミを見かけたが、今作においてその説明は不用に思えた。
無理やりと言ってしまえばそれまでなのだが、そこを突き詰めるSFではないし、重要なのは過去に戻ることで起きる気持ちの変化のみであると感じたし、主演2人の芝居はそこに説得力を持たせていたと思う。
後半の硯駈のセリフにも「生きるか死ぬかよりもそれまでどう過ごしたか」が重要だというようなものがあり、タイムトラベルのことに言及するのは野暮ではないかと感じる。
また、この作品において硯駈の葬儀等のシーンやそれに関わる硯夫婦の両親や親戚•友人がなかったのも良かった点の一つと感じた。
葬儀等のシーンで残された側の感情や置かれた状況を表現するのはありきたりと感じることもあるし、そこを見せないことで想像力が掻き立てられる。
そこに変わって「死亡届の提出」を描くのは、配偶者との死別において、葬儀等のシーンよりもリアリティがとてもあるし、より別れを実感する生々しいものではないかと感じた。
後半のホテルのソファのシーン。
塚原監督によると台本12ページに及ぶ長いシーンだ。
2人だけのあのシーンを演じきった主演2人は見事だった。
15年後からきたカンナに伝えられた事実を、だんだんと受け入れていく様が駈の様があまりにも素晴らしかった。
「そんなあっさり受け入れられるのか」と思いそうな展開だが、松村北斗の演技が全く違和感を感じさせない。
考古学を研究している、どこかロマンのある人で過去•現在•未来は同時に存在するという説を信じている人という設定の上で、初対面のはずのカンナに対して、好意を抱いているのがわかりやすいのできっと納得するんだろうな、と。
その描写は多いわけではないのに駈のカンナへの好意は松村北斗の目だろうか、こちらがなぜか照れてしまうような、初恋を思い出させるような気持ちにさせられた。
かき氷屋の行列で後ろに並ぶ女の子2人に、駈の好意が気づかれてしまうのも納得である。
カンナが後の自分の結婚相手と気づいてからの、駈の口調や表情の変化も素晴らしかった。
自分はまだ出会ってすらいないはずなのに、隣にいることへの違和感のなさや、「ファーストキス」のシーン。
クスッと笑いながらも結末を予想すると涙なしに見られないシーンであった。
そして、なぜかこちらも恥ずかしくなるような初々しさと、長年連れ添った夫婦がするキスとの両立が不思議であった。
松村北斗の色気がすごくて、これはアイドルだというのにファンの子は大丈夫なのか?と思うほど。
事実を受け入れた駈が、作品の中では少ししか描かれてないが自分が死ぬまで15年間をカンナと幸せに過ごせるように努力し続けたんだなというのが泣けた。
きっと15年の歳月の中でカンナにイラッとすることもあっただろうし、嫌な態度をとってしまうこともあっただろうに、そこをしっかり修復しながら別ルートから結末にたどり着いた努力を思うと、、、。
冷凍餃子が着払いでなくなっていたのにも愛を感じる演出。
説明的なよくありがちなシーンを削ぎ落として、大事にしたかった部分を存分にみせてくれて満足感の高い作品。
もう一度観たい。
この2人でよかった
歳の差恋愛モノは納得感が難しいけど、松たか子さんがとてもキュートで全く違和感なく観れた。たった数時間で恋に落ちる駈。赤い糸が繋ぐ運命の人=パラレルワールドでの夫婦ならありえると思わされる。駈が振られるシーンのみるみるしょんぼりして行く演技に痺れた。
螺旋のオブジェレシートとと付箋とビニール紐とハサミ。トウモロコシと餃子とポラロイド写真と遺影。
小道具たちも良い。
現代部の舞台、銃のシーンの必要性が分からなかった。パンフレットに書いてあるといいな。
“夫婦”について共感と学び
松たか子は“推し”ではないけど、好感は持っているのと、予告編に興味が湧いて観賞。
【物語】
偶然の出会ったカンナ(松たか子)と駈(松村北斗)は忽ち熱い恋に落ち、出会ってからわずか1か月婚約し、結婚する。しかし、2人の距離は様々なすれ違いから徐々に大きくなり、15年後には離婚を目前にしていた。そんなある日、駈は駅のホームで他人を救うために危険を冒し、亡くなってしまう。
呆然自失となったカンナだったが、新たな人生を歩み出そうとしていた矢先、深夜に仕事で呼び出され、車を走らせているとトンネルの中で異常な感覚に襲われ、トンネルを抜けると15年前の駈と出会った場所に居た。
そこで若き日の駈と再会し、15年前の思いが蘇る。 その後現代と15年前を行き来する方法を知ったカンナは、未来を変えて駈の事故を回避しようと考えるが、思うようには変わらず、何度も15年前に足を運ぶ。
【感想】
最初に書いておくが、本作はタイムスリップものだが、SF色は極めて薄い。一応、設定は考えられてはいるものの、scientificとは言い難く、fantasyのみ。つまりはおとぎ話。そこ(理屈)はどうでもよいものとして扱われているので、そこを突っ込んではいけない(笑)
結婚して30年以上経った俺には刺さるラブストーリーだった。
事故前には冷え切った夫婦仲だったにも拘わらず、必死に駈の命を救おうとするカンナ。もしかすると、未婚の若い人は不可解に思うかも知れないが、夫婦ってそういうものかなと思った。
一緒に暮らせばお互い嫌なところも目に付くようになり、長く暮らせばそれが繰り返されるから、婚約当時の関係とは違って来る。それでも、日々積み重ねられるものはあって、突然共に暮らしている相手を失ったら、「ああ、清清した」とは決してならないと思う。少なくとも俺はそうだ(妻も同じと信じたいが、自信はない(笑))。
終盤カンナが15年間の不満を駈にブチまけるシーンも身につまされるものがあった。身に覚え、“ありあり”だ。そこから結末への展開も良かった。「なるほど、そう来たか」と、じんわりと温かい思いが込み上げて来た。
役者について言うと、
松たか子ならではのちょっとお茶目なカンナが魅力的。 “ラストレター”でも見せたこのお茶目さは松たか子の真骨頂だと思う。「駈を死なせない」ために奮闘するわけだが、そこに悲壮感は皆無で、作品全般をとても楽しい気分で観られる。
また、20代を演じるシーンがあるのだけど、無理を感じなかった。メイクやライティング等々撮影技術もあるのだろうけど、実年齢47歳の彼女の若々しさにも感心した。
松村北斗はアイドル・グループのメンバーなんですよね。そちらの活動を見たことが無いし、ここ数年ドラマ、映画で度々見かけるので、俺の中では“俳優”。今回も悪くないと思う。決して演技が上手いとも思わないけど、こういう熱くもなく、冷たくもない、ニュートラルな感じを出せるところに特徴があると思う。この作品でもちょっと煩いカンナの対比として上手くフィットしている。
本作は20代から高年齢層まで幅広い層の方が楽しめると思うけど、やはり夫婦生活を長く経験している中高年層に響き易い作品のように思う。「最近冷めかけてる」夫婦に一番ピッタリかも(笑)
ツッコミどころはあるけど
試写会にて鑑賞。「夜明けのすべて」で認知した松村北斗さんに惹かれた部分が大きい。
タイムスリップの類の概念?について考えていたら一生この作品に集中できないだろうと思い、考えないことにした。
自分の性格が悪いからか、未来を変えずに家族を捨てて他人を助ける行動に最後まで納得できず、うーんとなってしまった。
赤ちゃんを助けることが駈の人間愛ということなのだろうか。
真意を読み取れない私はまだまだ未熟ということだろう。
夫婦円満だった結果からなのか、それに納得して前向きになっていけるカンナが普通にすごいと思ってしまった。
主人公達が良くも悪くも純粋であることで成立する物語では無いだろうか。
技術的な話としては、光の使い方が個人的に好みでした。
ストーリーは普通に面白かった。もう一度鑑賞し、1回目で気づけなかった部分などをじっくり探してみたりしようと思う。
全711件中、501~520件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。