「本質は」ファーストキス 1ST KISS ピースさんの映画レビュー(感想・評価)
本質は
まず、アイドル松村北斗ではなく「俳優・松村北斗」がすごすぎた。比べたり名前を出すのは良くないけど上手く言葉が出ないのですみません、とてつもなく二宮和也を感じた。
私の中で二宮くんのイメージは「役を生きる」というか、そのキャラクターが本当に実在するようなリアルさを感じることが多く、硯駈にもそれをとても感じた。
目線・呼吸・ちょっとした表情の変化・そして驚いたのは44歳の佇まい。背中だけであんなにも44歳を匂わせられる?とビックリ。本当に44歳のサラリーマンがそこにいた。
松さんは言わずもがなですがそれに負けず劣らずの松村北斗、この先数え切れない賞を手にするんだろうなと思った。映画の感想でなくすみません。
何度も繰り返しタイムスリップして、どうにか未来を変えたかったカンナだけど、最後のタイムスリップで駈が放った「変えるべきは結婚した事実ではなく、結婚して過ごした15年間だと思う」というのがこの映画の本質なんだと思った。
見ている私もタイムスリップの度に、帰ったらどうか駈が生きていますように と思いながら見ていたけど駈の言葉でハッとさせられた。
目の前の事に夢中になって、大切なことを見落としてしまっていたと思う。
過去・現在・未来は繋がっている、赤ちゃんの自分とおばあちゃんの自分は同じ時間を生きている、といった台詞があったが、それは即ち15年後に駈が死んでしまうことが既に決まっているということ。今回、駈はカンナのタイムスリップにより自分の死を知ることが出来たために15年間をできるだけ後悔がないように過ごそうと自分を変えられたわけだけど、現実では自分の死を知ることなんて不可能。だから、今隣にいる人、家族、恋人、友達、沢山の繋がりを大切にして生きたいと思えた。この映画の本質は、恋ではなく、愛なのだと思った。
個人的に、塚原あゆ子さんの作品は大好きなので今回もとても満足でした。