「俳優陣の会話劇としては最高」ファーストキス 1ST KISS かずきさんの映画レビュー(感想・評価)
俳優陣の会話劇としては最高
主演2人の20代、40代の演じ分け。
何度もループする松さんに毎回初めましてのリアクションと会話。
毎回写真を撮られるギミックとかもいいな、と。
この手のタイムリープ物を観る上で、細かな辻褄などは最低限でいいと思ってます。
突き詰めると完全に整合性とるのって無理だと思うので。
この映画で気になってしまったのは大きく2点。
①硯くんの運命に対する姿勢が緩過ぎない?
何回ものループにより、最終的に自身の運命を伝える事に成功。それまでの過程により、本来起こるべき流れを変える事が出来る事も分かっている状態。
なのに彼は、15年間の結婚生活を幸せに送る事は努力するが、死の運命から逃れる事に対してはアッサリ過ぎる、、
結果として、それほど愛していた相手を結局残して死ぬ事になる訳で、この心理的矛盾が気になって全く感情移入できない!
ベビーカーも助けて自分も助かる方法、もっと考えられるでしょう、、
②本来のテーマがどうも、、
本来のテーマとして「夫婦愛」って事なんでしょう。
とりわけ「相手を尊重し、大切に思う気持ちを忘れない」と言った所。
いいんですけど、全てを理解した硯くんとの改めて送られる幸せな15年。
これ、カンナの方は当然やり直しの認識はない訳で、初回と同じ対応するはず。
つまり、基本的に硯くんの努力によって幸せな15年が築かれた事になる。
なんか描かれ方としてフェアじゃないな、と。
細かな事で言えば「元の世界線のカンナはどうなった?」とか「最後の手紙は、そのカンナが読んでも意味分からんくない?」とかあるが、本質部分に直接関わらないので良い。
けど本質部分に関わる心理描写がおざなりなのはな、、ラストシーンありきで作られたんだろうな、と冷めてしまいました。
出会って死ぬか出会わず生きるか、駈の命か赤ちゃんの命か…
何故か二者択一しかないのが気になりました。
2時間近く追ってきた主人公の結末が描かれないのも、スッキリしないですね。