「わたしは時間旅行系に相応しくない観客です。」ファーストキス 1ST KISS だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
わたしは時間旅行系に相応しくない観客です。
タイムリープ?スリップ?トラベル?どれがふさわしいかわからんけど、時間を遡ったりする物語には、基本興味がない系です。
なので、脚本:坂元裕二、主演:松たか子でなければ見ていなかっただろう作品。
坂元裕二らしい会話は楽しめた。きっと脚本にあるのであろう、夫の靴下を履いているとか、意地でも皿を出さずにトースト食べるとか、動物嫌いとかも面白かった。
かき氷屋の行列の、後ろの若い女性たちとのやり取りも可笑しかった。
好きで結婚したけど、結婚生活はうまくゆかず、離婚届を出すことにしていた日に夫が死んで、法的な離婚はしていないっぽい硯カンナさん。
首都高のトンネル落盤事故?(三宅坂ジャンクションって実在するのか知らんけど)のせいなのか、元?夫と初めて会う日の数時間前に車で行けるようになったので、彼が死なない未来を作りたくて、夫に働きかける…というお話。
自分と出会わないことで、夫は2024年7月10日以降も生きるだろうからそういう未来を作りたいけどうまくいかず、硯駈さんに未来から来たことを話す。で、硯駈さんは、死なない方がいいけど、結婚生活をやり直したいので、一時間後に2009年のたかばたけカンナと出会うことにし、2回目の結婚生活は充実していたけどやはり2024/7/10(だったよね?)に駈は死ぬ…というオチでした。
楽しめたし、ちょっとうるっとも来たけど、我々はぜったいに過去に戻って未来をやり直すなんてできないじゃん?
戻れないから後悔しないように頑張れっていいたいんだろうけどさあ…
過去の自分と未来の自分が同じ場所(見える場所?)にいたらおなか痛くなるとかも陳腐って思ったし。
あと、自分の命日知りながら、それを妻にも誰にも共有せず、落ち着いて、ラブレター書いてシュンって死んでいく硯駈さんが、リアリティなくって。死んだ理由は別だったかもだけど。
そんな心境に人間はたどり着ける?エイリアンなの?って思い、そこでだいぶ醒めてしまったのです。
告白のセリフとか、そういうのはよかったんです。切実でリアリティが感じられるから。
でもさあ…
もう私は、時間を遡る系は見たらあかんのでしょう。観客として相応しくない。