「食パン on the コーヒー」ファーストキス 1ST KISS TSさんの映画レビュー(感想・評価)
食パン on the コーヒー
皆さんは、朝はパン派ですか?ご飯派ですか?
実家は米を作っているのに、私の家はパン派なんです。不思議ですね。
硯家の朝食は、妻はパンとコーヒー、夫はご飯と味噌汁。普通はどちらかに合わせると思うんですが、それぞれの好みを貫いていると。
結婚・同居というシステムは、非常に不可思議なものだと思うのです。かなり難しいことを強いられている気がする。
元々他人だった2人が、1つ屋根の下で暮らす。血の繋がった家族でさえ、居心地が悪い、折り合いが悪いことだってあるのに、他人と生活するのです。育った環境が違う二人が関係を良好に保つにはお互いの努力(我慢ではない)が必要です。
でも努力って、なかなか続かない。習慣化できない。続ける原動力ってなんだろうと考えました。この作品を観て。
「初心忘るべからず」かな。
カンナはある目的でタイムトリップを繰り返すわけですが、一回り以上年上の自分に好意を寄せてくれる若き日の夫の言葉に「グッ」とっきて何回か同じシチュエーションを再現してしまう(←これ、めっっちゃ、うれしいわな。痺れるわ)。
だんだんと、駈と出会った15年前のあの日、どんな出会いでどんな感情を抱いたのかを思い出していったのではないかと。何度も会う15年前の駈の言動をみて、それを鏡として、気づいていく。自分が忘れていた大事なことに。
そういうお話なのかな、と思いました。
夫がいなくなって一人で食べる朝食は、相変わらずの、食パン on the コーヒー。
ソファーを独り占め・・・はやめて、隣の席を空けて。
松たか子の飾らない演技がとてもいい。とてもいいです。松村北斗も。
吉岡里帆はちょっともったいなかったな。ピストルさんは、ちょい役でも存在感出すね。
全編通して、少しコミカルな味付けだけど静かに感情に訴えかけてくる、湿っぽさのない雰囲気。
役者と脚本と演出がいい塩梅で上手く噛み合った、イイ作品でした。